2025.09.09

【骨盤のゆがみ】では説明できない腰痛の本質

【骨盤のゆがみ】では説明できない腰痛の本質

「腰痛は骨盤のゆがみが原因」と耳にしたことがある方は多いでしょう。

 

確かに骨盤は体の土台であり、上半身と下半身をつなぐ重要なハブですが、単純に「形がゆがんでいる=腰痛の原因」と考えるのは早計です。実際には、骨盤には誰にでもわずかな左右差があり、それ自体が直接痛みを生み出すわけではありません。

 

本当に問題になるのは、「骨盤の形」ではなく「骨盤を介して神経や関節がどう働いているか」なのです。このコラムでは、骨盤のゆがみを超えて見える腰痛の本質について解説します。

 

■ 骨盤は“器”としての役割を持つ

骨盤を英語で “pelvis” と呼びますが、その語源はラテン語で「器」「鉢」を意味します。その名の通り、骨盤は内臓を守り、全身の重さを受け止める“器”としての役割を果たしています。

 

しかし、骨盤は単なる器ではありません。寛骨・仙骨・尾骨が組み合わさった「リング構造」は、歩行や姿勢保持のたびにわずか1〜2mm動き、股関節や脊柱と連携して衝撃を吸収しています。特に仙腸関節の微細な可動性は、腰椎に負担を集中させない安全装置のような働きを担っています。

 

さらに骨盤帯は、下肢から心臓へ戻る血流やリンパの循環を助ける“ポンプ”としても重要です。骨盤が硬直すると下半身の循環が滞り、むくみや冷え、内臓機能の低下にもつながります。つまり骨盤は「守る器」であると同時に、「動いて調律する器」でもあるのです。

 

歴史的にも、骨盤は生命を支える象徴として重視されてきました。西洋では「pelvis=命を育む鉢」と表現され、日本でも産道を通して新しい命が生まれる場として尊ばれてきました。現代人の生活習慣でこのリングが硬直すれば、“器”が機能不全に陥り、腰痛や全身の不調の土台になってしまいます。

 

■ 神経は繊細で、痛みは“遅れて出る”

コロラド大学の研究では、神経は非常に繊細であり、10円玉ほどのわずかな圧力が加わるだけで、その流れが6割も阻害されることが分かっています。驚くことに、その段階でも痛みを感じない人がいるのです。

 

つまり「痛みが出ている」ということは、実際にはそのずっと前から神経に負担がかかり、防御反応が積み重なってきた結果だと考えられます。痛みとは、体から脳への「今、体に負担が掛かっているから、これ以上負担を掛けないでください」というSOSのサインなのです。

 

しかし、ここで大切なのは「痛みがあるから悪い」「痛みがないから治った」という単純な話ではないということです。痛みはあくまで体が脳に送るサインのひとつであり、防御反応が解除されていなくても一時的に感じなくなる場合があります。逆に、神経の負担が続いていても痛みを感じないこともあります。

 

だからこそ、痛みの有無だけで健康を判断するのではなく、神経伝達の状態や関節の機能性を評価し、根本的に整えていくことが重要なのです。

 

■ 骨盤と腰痛:神経が守ろうとすると筋肉も関節も固まる

「骨盤がゆがんでいると神経に負担が掛かる」と説明されることがありますが、実際にはその逆です。

神経に負担が掛かっているからこそ、関節は動きを制限し、筋肉は硬直して周囲を守ろうとします。これは単なる異常ではなく、体が神経をこれ以上傷つけないように必死で働かせている防御反応です。

 

関節の動きが制限される運動病理、筋肉が固まる筋肉病理、さらに情報の伝達そのものが乱れる神経病理──これらは別々に起こるのではなく、すべて神経を守るために連動して現れます。つまり「骨盤のゆがみ」として見える変化の裏には、体が治ろうとする力が作動している証拠が隠れているのです。

 

■ 腰痛改善におけるカイロプラクティックの強み

カイロプラクティックケアの目的は、この防御反応を無理に抑え込むことではなく、神経伝達の乱れを整えて脳と体の情報交換をスムーズにすることにあります。その結果として、防御反応は自然に解除され、骨盤は「支える」役割を回復し、股関節や腰椎は「動かす」役割を取り戻します。

 

当院ではガンステッド・システムを軸に、体表温度検査・視診・静的触診・動的触診・レントゲン評価という五つの検査法を組み合わせ、全体の連動性を評価したうえで、サブラクセーション(根本原因)を正確に特定します。必要最小限のアジャストメントで神経ノイズを取り除き、脳と体の情報伝達を回復させていきます。

 

ここで重要なのは、カイロプラクティックは「骨盤の形を整えること」や「筋肉をほぐすこと」を目的にしていないという点です。形や筋肉は結果として現れているに過ぎず、その背景にある神経の働きこそが本質です。筋肉を直接ゆるめても、一時的には軽くなりますが、神経の流れに乱れが残っていれば再び同じ緊張が起こります。骨盤の角度を矯正するだけでも同様で、神経の回路が整わなければ「支える器」としての役割は長続きしません。

 

神経が正しく働き出すと、これまで防御反応として固まっていた筋肉や制限されていた関節は、外から力を加えなくても自ら解放されていきます。そして、自律神経の切り替えが正常化することで血流や代謝も改善し、炎症の長期化や慢性化を防ぐ体内環境が整います。

 

さらに、神経伝達を早期に整えていくことには予防的価値もあります。痛みが強く出てから対処するのではなく、神経のサインが小さいうちにケアを行えば、防御反応の悪循環が積み重なるのを防ぎ、再発リスクを大きく下げることができます。実際に、腰痛を繰り返していた方がカイロプラクティックケアを継続することで「以前のように不安なく歩ける」「デスクワークのあとも腰が重くならなくなった」と変化を実感されています。

 

このように、カイロプラクティックは腰痛を「骨盤のゆがみ」や「筋肉の硬さ」といった表面的な現象で説明するのではなく、神経機能を回復させることで全身の連動性を取り戻していくアプローチです。結果として、骨盤は支える力を発揮し、股関節や腰椎は動きを取り戻し、腰痛は改善するだけでなく全身の安定性や生活の質そのものが大きく変わっていくのです。

 

■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ

「骨盤がゆがんでいると言われた」

「矯正してもすぐ戻ってしまう」

そんな悩みは、形の問題ではなく神経の問題かもしれません。

 

カイロプラクティックケアで神経を整え、骨盤本来の役割を回復させ、腰痛を根本から改善する一歩を踏み出しましょう。

 

📍前田カイロプラクティック藤沢院

神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 第一興産28号館402

【営業時間】9:00〜12:00/14:00〜18:00

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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