【腰痛と足首の関係】足元の不安定さが腰に及ぼす影響

腰痛の原因を「腰そのもの」に探してもなかなか変化が出ないことがあります。そんなとき、見落とされやすいのが足首です。
足首は地面と体をつなぐ唯一の関節で、立つ・歩く・方向を変えるあらゆる瞬間に、姿勢の微調整を担っています。土台が揺らげば、その上の骨盤や脊柱は余計な緊張でバランスを取りにいき、いつの間にか腰が疲れ切ってしまいます。腰痛がぶり返す背景に、足首の働きの低下が潜んでいることは珍しくありません。
このコラムでは、腰痛と足首の関係について解説していきます。
■ 足首は“姿勢のセンサー”であり“衝撃を吸収して分散する装置”
足首の周囲には、関節の角度や速さ、圧力の変化を感じ取る小さなセンサーが多数あります。これらが「いま足がどの方向に、どれくらい傾いているか」「床にどう接地しているか」という情報を脳へ送り、脳はその情報を頼りに膝・股関節・骨盤・脊柱の働きを瞬時に調律します。
もう一つの重要な役割が、地面から伝わる力の吸収と分散です。かかとからつま先へ体重が移るたび、足首と足裏のアーチがバネのように働き、衝撃を和らげて全身へやさしく伝えます。これらがうまく機能している限り、腰に過剰な負担はかかりません。
ところが、長時間の座位や過去の捻挫、合わない靴、平坦で硬い地面ばかりの生活が重なると、足首の動きは単調になり、センサーから脳へ届く情報の質が落ちていきます。着地の衝撃も吸収しきれず、ブレーキの効きが悪い車のように、腰が常に身構える状態に入ります。
■ 足首が硬い/緩いと腰で何が起こるのか
足首が硬く、特につま先を上げる動き(背屈)が出にくい人は、歩行でかかと接地が浅くなります。前へ進みにくいため、体は骨盤や腰を大きく使って「前に出す」動きを増やします。これが一日に数千歩単位で積み重なると、腰椎や周囲の靭帯に小さなストレスが続き、夕方ほど重だるさや張りが増えます。
反対に、靭帯が伸びて足首がぐらつきやすい人は、立っているだけでも微細な揺れを抑えるために腰と体幹の筋肉が過剰に働き続けます。「動いていないのに疲れる」「じっと立っていると腰がつらい」と感じる訴えは、足元の不安定さに由来することが少なくありません。
■ 「痛みはないのに、足元の情報が足りない」という現象
昔の捻挫が今は痛くないとしても、その後の年月で“足の位置や傾き”を脳へ伝える情報が目減りしていることがあります。脳は足元の状態を正確に把握できないと、「安全とは言い切れない」と判断し、腰や背中の筋肉を固めて身を守ります。
これが、じわじわとした腰のこわばりや、動かなくても感じる疲れの土台になります。言い換えれば、腰を揉むより先に、足元から「大丈夫だ」という安心材料を脳に届けることが、遠回りに見えて近道になるのです。
■ 靴・地面・生活習慣が足首の働きを鈍らせる
現代の地面は平らで硬く、靴は厚く柔らかいものが増えました。便利さの裏で、足首が自力で姿勢を調律する機会は減っています。長時間のデスクワークはふくらはぎのポンプ作用を弱め、足首周囲の循環を落とします。
夕方のむくみや足の重さは翌日の足首の動きをさらに鈍らせ、その影響が腰の重さとして跳ね返ります。腰痛の改善は「腰のケア」だけでは片手落ちで、「足首が日常の中で働ける環境づくり」まで視野に入れる必要があります。
■ 腰痛を変える鍵は「足元からの安心情報」を増やすこと
体は、危険だと感じれば固まり、安全だと感じれば緩みます。足裏の接地が安定し、足首がなめらかに動くほど、脳は「倒れない」と確信を強め、腰の過剰な緊張を手放せます。
階段で一段上がる瞬間、ゆるい坂道を歩く瞬間、方向を変える瞬間――そのたびに足首が細かく働けば働くほど、腰は“守り”から“自由な動き”へと戻っていきます。ここで大切なのは、形を固めることではありません。
体が自分の力で微調整を取り戻していく余地を作ることです。形ではなく機能を取り戻す。この発想が、長く続く腰の軽さにつながります。
■ 日常でできる、足首にやさしい小さな工夫
難しい体操や根性論は不要です。信号待ちの数十秒、つま先と踵の体重移動をゆっくり行うだけで、足首のセンサーは目を覚まします。エレベーターの代わりに一階分だけ階段を上がる、平らな道だけでなく、わずかに傾いた道も選んで歩く。座り仕事の合間に足首を前後に数回やさしく動かす。
こうした「安全な範囲のゆらぎ」を日常生活に少し足すと、足首は自分の役割を思い出し、腰は守りを解きやすくなります。固めるより、通す。形より、機能。これが、腰痛を長い目で変えていく道筋です。
■ カイロプラクティックができること
カイロプラクティックの目的は、脊柱(背骨や骨盤)を診て、神経の流れを整え、脳と体の情報のやり取りをスムーズにすることです。腰痛と足首の関係が疑われるときも、まずは脊柱(背骨や骨盤)を丁寧に評価します。
ここが整うと、足首からの情報は脳に届きやすくなり、逆に脳からの指令も足元へ伝わりやすくなります。土台(足)と柱(脊柱)は常に双方向で支え合っています。
当院ではガンステッド・システムを用い、体表温度検査、視診、静的触診、動的触診、レントゲン評価を総合して、サブラクセーション(関節の機能不全による神経の妨げ)を特定します。
必要最小限の精密なアジャストメントにより神経のノイズを減らし、体の調律機能が自力で働ける環境をつくります。これにより、腰の「守りの緊張」がほどけ、歩き出しの一歩が軽くなり、段差や方向転換でも腰が身構えにくくなっていきます。
足首そのものを強くいじらなくても、脊柱(背骨や骨盤)から神経の通り道が整うと、足首は“使える関節”として再び働き出します。接地の安定感が増し、着地の力を上手に吸収・分散できれば、腰椎や骨盤帯の負担は目に見えて減ります。
結果として、仕事終わりの重さが和らぎ、翌朝の動き出しも滑らかになります。これは単なる一時的な「軽さ」ではなく、日によって波が小さくなっていく“安定した軽さ”です。安定感が積み重なるほど、再発は遠ざかります。
■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ
「腰はケアしているのに、どうしても軽くならない」「立っているだけで腰がつらい」そんな方は、足元に解決の糸口が隠れているかもしれません。神経の働きを整えるカイロプラクティックケアで、足首から腰へつながる調律を取り戻しましょう。
📍前田カイロプラクティック藤沢院
神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 第一興産28号館402
【営業時間】9:00〜12:00/14:00〜18:00
【休診日】月曜日・火曜日午後・金曜日・第3日曜日(前日土曜日は午前のみ)
📞0466-21-9624
【LINE予約】下記QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とお送りください。
ご予約・お問合せはお電話またはLINEから
- お電話での予約
- TEL:0466-21-9624
- LINEでの予約
- QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。

執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。
笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。