2025.07.05

【便秘と女性ホルモンの深い関係性】〜腸とホルモン、自律神経のトライアングル〜

カテゴリ: 健康通信
【便秘と女性ホルモンの深い関係性】〜腸とホルモン、自律神経のトライアングル〜

「毎日出ていないのが当たり前」
「数日に1回しか出ない」

そんな“便秘”の悩みを抱える女性は少なくありません。実は、便秘には女性ホルモンや自律神経の働きが密接に関わっていることをご存知でしょうか?

 

今回のコラムでは、便秘の根本的な原因を「ホルモン」と「神経」の視点からお伝えしていきます。

女性ホルモンと便秘のつながり

女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二つの主要な性ホルモンの影響を大きく受けています。これらのホルモンは月経周期の各段階で分泌量が変化し、子宮や乳腺だけでなく消化管機能にも作用しています。

 

特に、排卵後から月経直前までにかけて分泌量が増加するプロゲステロンは、平滑筋の緊張を緩める作用を持つため、腸管のぜん動運動(腸の内容物を送り出すリズム運動)を抑制する働きがあります。この影響により腸の動きが緩慢になり、便が長時間腸内にとどまることで水分が過剰に吸収され、便秘を引き起こしやすくなるのです。

 

エストロゲンは腸の粘膜の健康を保ち、水分の保持や再吸収の調整にも関与しています。

 

エストロゲンが十分に分泌されていると腸内の粘液の分泌が促されるため、便が滑らかに移動しやすくなります。また、腸内に適度な水分が保たれることで、便の硬化を防ぎ、スムーズな排便が可能となります。

 

しかし、更年期を迎えるとエストロゲンの分泌が大きく低下します。その影響で腸粘膜のうるおいが失われやすくなり、腸内環境も乾燥傾向になります。これにより、便の水分量が減少して硬くなり、排便時のいきみや痛みを感じやすくなるのです。こうした変化は、慢性的な便秘へとつながる大きな要因のひとつです。

 

このように、女性ホルモンの周期的な変動や加齢によるホルモンバランスの乱れは、腸の運動性や内容物の性状に直接的な影響を及ぼし、ホルモンの変化がそのまま腸機能の変化へとつながっているといえます。

自律神経と腸の働き

腸の運動機能、つまりぜん動運動をはじめとする消化管の活動は、自律神経系によって精密に制御されています。自律神経は交感神経と副交感神経から構成されており、この二つがバランスを取りながら全身の内臓機能を調整しています。

 

腸の働きにおいては、副交感神経が優位な状態のときに腸のぜん動運動が活発になり、排便がスムーズに行われやすくなります。反対に、交感神経が優位になると腸の動きは抑制され、内容物の移動が遅くなることで便秘につながるのです。

 

現代社会においては、長時間のデスクワーク、スマートフォンやパソコンによる光刺激、慢性的なストレス、睡眠不足、不規則な生活などが重なり、交感神経が常に高ぶっている状態が続きがちです。このような状態では副交感神経の働きが十分に発揮されず、腸の活動は低下し、便秘、腹部膨満感、ガスの溜まりやすさなどの症状を引き起こします。

 

また、交感神経の過緊張状態が続くと、腸だけでなく消化酵素の分泌や腸内細菌のバランスにも悪影響を及ぼし、腸内環境全体が乱れることによって便秘が慢性化するリスクも高まります。

ホルモン×自律神経のダブルパンチ

女性の腸の働きには、女性ホルモンと自律神経の両方が大きく影響しています。
ホルモンバランスの変動によって腸が緊張状態になりやすくなる一方で、自律神経の乱れによって腸の動きが抑制されるといった、二重の負担が腸にかかることから、女性は便秘を引き起こしやすい状態に陥りやすいのです。

 

特に注意すべき時期は、まず生理前です。この時期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が高まり、腸のぜん動運動が低下しやすくなるため、便秘になりやすい傾向があります。

 

次に挙げられるのが更年期で、この時期はエストロゲンの分泌が大きく減少することに加え、自律神経のバランスも乱れやすくなるため、腸機能全体が低下しやすくなります。

 

また、妊娠中も注意が必要です。ホルモンの急激な変化に加え、胎児の成長による腸への物理的な圧迫が起こるため、腸の動きが鈍くなり、排便困難を感じやすくなります。

 

さらに、慢性的なストレスが続く日常も便秘の大きな要因になります。ストレスにより交感神経が過剰に働くことで副交感神経の働きが抑えられ、腸の運動が低下してしまうのです。

 

このように、ホルモンと自律神経のダブルの変化が重なるとき、女性の腸は最もデリケートな状態となり、便秘のリスクが高まるといえるでしょう。

便秘は「体からのメッセージ」

便秘は、ただの消化トラブルではなく、「体内のリズムが乱れている」というサインでもあります。
女性ならではのホルモンのリズム、自律神経のバランスを見直すことで、便秘だけでなく心や肌の調子も整っていくのです。

 

あなたの便秘、もしかしたら「ホルモンと神経の乱れ」が原因かもしれません。
しっかりケアして、内側からの健やかさを取り戻しましょう。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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