【アスリートとホルモンバランス】パフォーマンスに欠かせない“見えない力”

「最近疲れが抜けにくい」、「試合前になると体調が崩れる」、「集中力が続かない」と感じている、経験したことがあるアスリートの方も多くいると思います。
スポーツや競技の世界では筋力や技術だけでなく、「ホルモンバランス」がパフォーマンスに大きな影響を与えています。
ホルモンと聞くと「女性特有の問題」と思われがちですが、実はすべてのアスリートにとって非常に重要な役割を担っています。
今回のコラムでは、アスリートにおけるホルモンバランスと自律神経のつながりについてお伝えしていきます。
ホルモンがアスリートの体に与える影響
ホルモンとは、体内のさまざまな機能を調整する「メッセンジャー」のような存在です。アスリートの体には日々、筋肉の修復、ストレスへの対応、疲労回復、体温調節など、膨大な調整作業が求められていますが、それを陰で支えているのがホルモンです。
たとえば、筋肉の成長や回復にはテストステロンというホルモンが深く関わっており、トレーニング後の身体の修復には成長ホルモンの働きが欠かせません。また、ストレスを受けた際にはコルチゾールというホルモンが分泌され、炎症を抑えたりエネルギー供給をサポートしたりします。女性アスリートにとっては、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが月経周期や体温調節、集中力にも影響を与えます。
つまり、ホルモンバランスが乱れると、パフォーマンスの低下や体調不良を引き起こしやすくなるということです。
ホルモンと自律神経の深い関係性
ホルモンの分泌をコントロールしているのが「自律神経」です。自律神経は、私たちの意思とは関係なく働き、呼吸や消化、血流、内臓の動き、そしてホルモンの分泌にまで影響を与えています。
自律神経には、活動や緊張に関わる交感神経とリラックスや回復を促す副交感神経があります。通常はこの2つがバランスよく働くことで心身が安定し、ホルモンも必要なときに適切な量が分泌されます。
しかし、過剰なトレーニングや試合によるプレッシャー、生活の乱れ、睡眠不足などによって交感神経が優位になると、身体は常に「戦闘モード」になり、コルチゾールなどのストレスホルモンが多く分泌されてしまいます。その結果、睡眠の質が低下したり、筋肉の回復が遅れたり、女性の場合は月経不順や無月経といったトラブルにつながることもあります。
心身ともにパフォーマンスを安定させるためには、「鍛える」だけでなく、「整える」「回復する」ことが非常に重要なのです。
カイロプラクティックと神経とホルモンバランスの関係性
カイロプラクティックは、背骨や骨盤での神経圧迫を取り除き、神経の流れをスムーズにし、身体全体の機能を高めることを目的としています。特に自律神経は、脳から背骨(脊髄)を通って全身に信号を送っているため背骨のバランスが崩れることで、その伝達が乱れてしまうことがあります。
自律神経と深く関わ背骨や骨盤のバランスを整えることで神経の流れが整い、自律神経が安定し自然治癒力を最大限に発揮する身体の状態をつくることにつながります。睡眠の質が向上したり、疲労が抜けやすくなったり、ホルモンバランスが整いやすくなったりするのです。
これはアスリートにとって、非常に大きなメリットです。どれだけ良いトレーニングを積んでも、土台となる神経とホルモンのバランスが乱れていては結果につながりません。
アスリートのパフォーマンスには、技術や筋力以上に、「回復力」「調整力」といった“内側の健康”が求められます。そのためには、ホルモンバランスと自律神経の安定が欠かせません。
身体の土台である神経とホルモンのバランスに目を向けてみてください。カイロプラクティック・ケア見えない部分を整えることで、パフォーマンスという“見える結果”は必ず変わってきます。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。