「その腹痛、なぜ起こる?」 緊張とお腹の意外な関係性とは?

突然の腹痛、ヒヤッとする大きな音、はたまた緊張でキリキリ…。
日常の中で「お腹が痛い」と感じる瞬間は、意外と多くあります。そのとき私たちの体の中では一体何が起きているのでしょうか?そして、「緊張するとお腹が痛くなる人」と「ならない人」がいるのはなぜなのか?
今回のコラムでは、緊張とお腹の不調と自律神経の働きの関係性についてお伝えしていきます。
緊張するとお腹が痛くなる? 自律神経の仕組み
「大事な発表の前や、初対面の人に会う前にお腹が痛くなる」そんな経験はありませんか? これは、自律神経のバランスが関係しています。
私たちの体の機能の多くは、意識せずに自動で働いています。心臓の鼓動、呼吸、発汗、そして消化活動など…。この「自動運転」を司っているのが自律神経です。
自律神経には大きく分けて次の2種類があります。
交感神経:緊張・興奮・ストレスに反応して働く神経。心拍を上げ、血流を筋肉に集め、「闘争・逃走モード」に体を切り替えます。
副交感神経:リラックス時や睡眠時、消化中に優位になる神経。腸のぜん動運動や消化液の分泌を促進し、内臓を整えます。
緊張状態になると交感神経が優位になり、副交感神経の働きが抑えられるため、腸の動きが低下し、お腹の不調(腹痛や下痢)につながりやすくなるのです。
冷えと腹痛の意外な関係
「お腹を冷やすと痛くなる」というのも、よくある体験の一つです。実はこれにも、自律神経と腸の関係が関係しています。
体内に冷たいもの(冷水や冷えた食べ物)が入ると、腸内の血流が悪くなり、ぜん動運動が低下。腸の動きが鈍くなることで腹痛や不調が生じやすくなります。
体温は、私たちの臓器が最も効率よく働けるように保たれています。体が冷えることで自律神経のバランスが乱れ、結果的にお腹に影響が出るというわけです。
カイロプラクティックと自律神経の深い関係
「緊張しないように」と自分に言い聞かせても、なかなか難しいものです。それは、自律神経が無意識のうちに働いているため、自分の意志だけでコントロールできないからです。
カイロプラクティックでは、背骨と骨盤部での神経圧迫が神経系、とくに自律神経の働きに影響を与えると考えられています。
背骨の中を通っている脊髄は、脳からの神経伝達を全身に届ける大事なルートです。このルート上にゆがみや神経圧迫が生じると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなり、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経が乱れることで、消化器系の働きも不安定になりやすく、慢性的なお腹の不調や腹痛につながるケースも少なくありません。
カイロプラクティックの施術では、背骨や骨盤の神経圧迫を取り除き、神経の流れを整えることで神経の流れをスムーズにし、自律神経の安定を図ることができます。これにより、ストレスに強い体、緊張しても崩れにくい神経系の土台を作ることが可能になります。
お腹の不調は、心と体のバランスを映し出す鏡のようなものです。
「ストレスでお腹が痛くなる」「冷えると調子が悪い」といったサインは、体からの大切なメッセージです。
カイロプラクティックの施術を通して、日常的に自律神経の働きを整えておくことは可能です。リラックスしやすい体の状態をつくり、腸や内臓がきちんと働く環境を整えることが、腹痛を予防する第一歩になります。
症状をただ抑えるのではなく、その背景にある「神経の乱れ」や「生活習慣のバランス」にも目を向け、自律神経の働きを整えるカイロプラクティックケアを、健康管理の一環として取り入れてみましょう。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。