2026.07.14

身体はなぜ痛みを出すのか?痛みが持つ本当の役割とは

身体はなぜ痛みを出すのか?痛みが持つ本当の役割とは

「痛みなんてなければいいのに…。」

腰痛や肩こり、頭痛などのつらい症状を抱えていると、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。痛みがあることで仕事や家事に集中できなかったり、趣味を思い切り楽しめなかったりと、日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。

しかし、ここで一つ考えてみてください。

もし人間がまったく痛みを感じない身体だったとしたら、本当に健康だと言えるのでしょうか。

実は、痛みは単なる「嫌な症状」ではありません。私たちの身体を危険から守るために備わった、とても重要な防御システムの一つです。もし痛みを感じなければ、ケガや病気に気づくことができず、身体は今よりもはるかに大きなダメージを受けてしまう可能性があります。

では、身体はなぜ痛みを出すのでしょうか。そして、痛みにはどのような役割があるのでしょうか。

今回のコラムでは、身体が痛みを出す本当の理由や、痛みを身体からの大切なメッセージとして捉えることの重要性について解説していきます。

■ もし人間が痛みを感じなかったらどうなるのでしょうか?

私たちは普段、痛みを「できるだけ早くなくしたいもの」「身体にとって悪いもの」と考えがちです。しかし、本当に痛みがまったくない身体だったら、私たちは健康に生活できるのでしょうか。

例えば、熱い鍋に触れたとき、私たちは反射的に手を引っ込めます。また、画びょうを踏めば足を上げ、転んで足首を捻れば自然とその足をかばうようになります。これらはすべて、痛みを感じることで身体を守ろうとする防御反応です。

もし痛みを感じなければ、熱い鍋を持ち続けてやけどが悪化したり、骨折していることに気づかず歩き続けたりするかもしれません。つまり、痛みがあるからこそ私たちは危険を察知し、自分自身を守る行動を取ることができるのです。

実際に、先天的に痛みを感じにくい病気では、小さなケガに気づかず重症化したり、関節に大きな負担がかかっても使い続けてしまったりすることが知られています。このことからも、痛みは決して不要なものではなく、人が健康に生きていくために欠かすことのできない大切な仕組みであることが分かります。

このように考えると、痛みは単なる「悪者」ではありません。身体が危険を知らせ、自分自身を守るために備わった、大切な防御システムの一つなのです。

では、その痛みはどのような仕組みで生まれ、私たちに危険を知らせているのでしょうか。

■ 痛みは身体からの「危険信号」です

私たちの身体には、外部からの刺激や身体の異常を感知し、その情報を脳へ伝える仕組みが備わっています。例えば、関節や筋肉に大きな負担がかかったり、組織が傷ついたりすると、その情報は神経を介して脳へ送られます。そして脳が「このままでは身体に危険が及ぶ」と判断すると、私たちはそれを「痛み」として感じます。

つまり、痛みとは身体を壊しているものではなく、身体を守るために脳が発している警報だと考えることができます。

例えば、足首を捻挫したときに痛みを感じることで、私たちは無意識のうちにその足をかばい、安静にしようとします。その結果、傷ついた組織が修復される時間を確保し、さらに大きな損傷を防ぐことができます。もし痛みを感じなければ、そのまま動き続けてしまい、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

しかし実際の臨床では、組織の損傷が回復しているにもかかわらず痛みが続く方や、レントゲンやMRIなどの画像検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず、強い痛みを感じている方も少なくありません。

これは、「痛み=組織が壊れている」という単純なものではないことを示しています。同じ腰痛や肩こりであっても、痛みの感じ方や現れ方が一人ひとり異なるように、身体の中で起きていることも決して同じではありません。

だからこそ、痛みという結果だけを見るのではなく、その痛みを身体がなぜ出しているのかという背景を考えることが大切になります。痛みには必ず役割があります。その役割を正しく理解することが、自分の身体と向き合う第一歩になるのです。

■ 痛みは、「治っていない」という意味ではありません

痛みが続くと、「身体はまだ悪い状態なんだ」と考えてしまう方は少なくありません。しかし実際には、痛みと身体の状態は必ずしも一致するとは限りません。

痛みは、骨や筋肉そのものが感じているわけではなく、身体のさまざまな場所から送られてきた情報を脳が受け取り、「危険がある」と判断したときに初めて生まれる感覚です。つまり、痛みとは身体そのものではなく、脳が身体を守るために作り出している防御反応なのです。

例えば、同じ姿勢や同じ動作をしていても痛みを感じる方と感じない方がいます。また、大きなケガをしても興奮状態では痛みを感じにくいことがある一方で、組織の修復が進んでいても痛みだけが長く残ることもあります。このような現象が起こるのは、痛みが単純に「壊れている場所」を教えているのではなく、脳や神経系が身体を守るために総合的な判断を行った結果として生じる反応だからです。

だからこそ、カイロプラクティックでは「痛い場所だけ」を見ることはありません。身体全体のバランスや神経系の働きを総合的に評価し、身体がなぜ防御反応として痛みを出さなければならない状態になっているのかを考えることを大切にしています。そのため当院では、体表温度検査、視診検査、静的触診、動的触診、レントゲン評価を組み合わせ、一人ひとり異なる身体の状態を詳しく確認しています。

私たちが目指しているのは、痛みだけを追いかけることではありません。身体が本来持っている自然治癒力を十分に発揮できる状態を目指すことです。その結果として、身体が危険を感じる必要がなくなれば、防御反応としての痛みも、その役割を終えていくことがあります。

痛みは、あなたを苦しめるために存在しているのではありません。身体がこれ以上負担を受けないよう守るために発せられている、大切なサインです。そのサインを単に抑え込むのではなく、「なぜ身体はこの反応を起こしているのか」という視点を持つことが、身体と向き合う第一歩になります。

ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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