疲労のメカニズムと、カイロプラクティックケアの寄り添い方

日常生活の中で十分に眠ったり適度に休んだり、軽い運動を取り入れてもなかなか疲れが抜けないと感じることはありませんか?
疲労の原因とそのメカニズムを理解することが適切な対策を講じるための第一歩です。私たちが疲れを感じるのは、神経の働きが関係しています。神経には感覚神経、運動神経、自律神経の3種類がありますが、特に疲れと密接な関係にあるのが自律神経です。
このコラムでは、自律神経と疲労、カイロプラクティックの関係性についてお伝えしていきます。。
自律神経と疲労の関係
自律神経は、生命維持のために体のさまざまな機能を無意識に調整する役割を持っています。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、バランスを取りながら体の機能を維持しています。交感神経は活動を促進しエネルギーを消費する働きを担い、一方の副交感神経は休息や回復をサポートする役割を果たします。
このバランスが崩れると体にさまざまな不調が現れます。その最初のサインが「疲労感」です。また、自律神経の乱れによって頭痛や動悸、めまい、胃腸の不調、不眠、冷えなどの症状が引き起こされることもあります。
疲労の種類
自律神経の働きによって、疲れの感じ方には大きく2つのタイプがあります。
交感神経が過剰に働くタイプの疲労
交感神経が優位な状態が続くと、体が常に緊張し休息をとってもなかなか疲れが抜けにくくなります。この疲労は段階的に進行し、初期のうちに適切な対策をとることが大切です。
最初の段階では、ストレスによって体が緊張し呼吸が浅くなることが特徴です。この状態では、軽い疲れを感じるものの、まだ大きな不調は現れません。しかし、放っておくと血流が悪化し筋肉のこわばりやこりが生じやすくなります。この段階では、軽い運動を取り入れることで血流を改善し疲れを和らげることが可能です。
さらに疲労が進行すると、全身のだるさやイライラが強くなり代謝が落ちることで肌荒れや吹き出物が出ることもあります。この状態では、睡眠の質も低下しやすく、疲労の回復が難しくなります。そのため入浴や温熱療法を活用して体を温め、リラックスできる時間を意識的に作ることが重要になります。
疲労がさらに深刻化すると、慢性的な疲れが抜けず、体の炎症や自律神経の乱れが顕著になります。この段階では、頭痛や胃腸の不調、不眠などの症状が現れ、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。症状が悪化すると病院での診察や専門的な治療が必要になることもあります。
このように、交感神経が過剰に働くことで引き起こされる疲労は、段階的に悪化していきます。できるだけ早い段階で深呼吸や軽い運動、体を温める習慣などを取り入れ、自律神経のバランスを整えることが大切です。
副交感神経が過剰に働くタイプの疲労
副交感神経が過度に優位な状態が続くと体の活動レベルが低下し、徐々に疲労が蓄積していきます。このタイプの疲れは、交感神経が優位な場合とは異なり「だるさ」や「無気力感」として現れることが特徴です。
初期の段階では、過眠や運動不足の影響で体を動かすことが億劫に感じるようになります。何かを始める気力が湧かず、活動量が減ることでさらに体力が落ちるという悪循環に陥りやすくなります。この状態を改善するためには、まず日光をしっかり浴びることが大切です。朝に太陽の光を浴びることで体内リズムを整え、軽い運動を取り入れることで徐々に交感神経の働きを活発にすることができます。
さらに疲労が進行すると、血流が悪化し朝起きたときから疲れを感じるようになります。十分な睡眠をとってもスッキリせず、一日中体が重く感じることが多くなります。この段階では、生活リズムを意識的に整え適度な活動を増やしていくことが重要です。決まった時間に寝起きし、日中に適度な運動を取り入れることで、体の代謝を徐々に回復させることができます。
さらに症状が悪化すると、筋力の低下が目立ち始め、長時間立っているのが辛くなったり、少しの運動でもすぐに疲れを感じたりするようになります。活動量が低いために体が支えられなくなり、疲れが慢性化することが特徴です。この状態を改善するには、短期間で無理をするのではなく数カ月かけて少しずつ運動習慣を身につけることが大切です。最初は短い散歩や階段の上り下りなど、負担の少ない運動から始め、徐々に体力を回復させることが理想的です。
さらに進行すると、知覚過敏やアレルギー反応が強くなり、金属や特定の食物に対する過敏症が出ることもあります。この段階では、疲労だけでなく皮膚の炎症やアレルギー症状が現れることがあり、病院での診察が必要になる場合もあります。
このように、副交感神経が過剰に働くことによる疲労は、徐々に体の機能を低下させていきます。できるだけ早い段階で日光を浴びる習慣をつけたり、生活リズムを整えたりすることで症状の悪化を防ぐことが重要です。
疲労対策のポイント
疲れの兆候を早い段階で察知し、適切に対処することが重要です。
また、神経の働きを正常に保つことも大切です。脳は神経を通じて体の状態を把握し、環境に適応するように指令を出します。神経の情報伝達がスムーズでないと、体の状態を正しく認識できず、不調が続くことがあります。
日々の生活の中で自律神経のバランスを整え、適度な運動や生活習慣の見直しを取り入れることで、疲れにくい体を目指しましょう。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。