2026.08.19

検査では異常なし。それでも下痢と腹痛が続くのはなぜ?│腸と自律神経の深い関係

カテゴリ: 健康通信
検査では異常なし。それでも下痢と腹痛が続くのはなぜ?│腸と自律神経の深い関係

「血液検査や便検査では異常がないと言われたのに、下痢や腹痛がなかなか治まらない。」
「食事に気をつけたり、整腸剤を飲んだりしているのに、またすぐにお腹が痛くなってしまう。」
「外出先や仕事中に急にトイレへ行きたくなったらどうしようと、いつも不安を感じている。」

このような原因のはっきりしない下痢や腹痛で悩んでいる方も少なくありません。

下痢や腹痛が長期間続いている場合、まず大切なのは医療機関を受診し、感染症や炎症性腸疾患など、消化器そのものに問題がないかを確認することです。しかし、血液検査や便検査などを受けても明らかな異常が見つからず、それでも下痢や腹痛が続くことがあります。

その代表的なものの一つが、過敏性腸症候群(IBS)です。過敏性腸症候群では、腸に明らかな炎症や腫瘍などが確認されなくても、腹痛や腹部の不快感、下痢、便秘などが繰り返し現れることがあります。

今回ご紹介する症例でも、半年ほど原因不明の下痢が続き、ほぼ毎日4〜5回トイレに駆け込む状態になっていました。血液検査や便検査では特に異常が見つからず、医療機関では過敏性腸症候群(IBS)の可能性を指摘されていました。

仕事中や外出時にも突然の腹痛や便意が起こるため、常にトイレの場所を気にするようになり、次第に外食まで避けるようになっていました。

では、検査で腸そのものに明らかな異常が見つからないにもかかわらず、なぜ下痢や腹痛が繰り返し起こることがあるのでしょうか。

ここで大切になるのが、腸の「構造」だけではなく、「どのように働いているのか」という視点です。腸の働きには自律神経が深く関わっており、脳と腸も互いに情報をやり取りしながら影響し合っています。

検査で異常が見つからないからといって、実際に起きている症状まで否定されるわけではありません。原因のはっきりしない下痢や腹痛について考えるためには、腸そのものに病変があるかどうかだけではなく、腸の働きを調整している仕組みに目を向けることも大切です。

このコラムでは、検査では異常が見つからないのに下痢や腹痛が続く理由と、腸と自律神経の深い関係について解説していきます。

■下痢や腹痛が続くときに考えられる原因とは?

下痢や腹痛は、食べ過ぎや飲み過ぎ、冷たい物の摂り過ぎなどによって一時的に起こることがあります。このような場合には、腸の状態が落ち着くことで、数日程度で症状が治まることも少なくありません。

一方で、下痢や腹痛が何週間、何か月と続いている場合には、一時的なお腹の不調とは分けて考える必要があります。慢性的な下痢や腹痛には、細菌やウイルスなどによる感染症、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、食物不耐症、薬剤による影響など、さまざまな原因が考えられます。

そのため、症状が長期間続いている場合には、まず医療機関を受診し、必要に応じて血液検査や便検査、内視鏡検査などを受けることが大切です。特に、血便や発熱、急激な体重減少、夜間にも目が覚めるほどの下痢、強い腹痛などがみられる場合には、自己判断で様子を見続けず、適切な検査を受ける必要があります。

しかし、こうした検査を受けても、下痢や腹痛の原因となる明らかな異常が見つからないケースがあります。その代表的なものの一つが、過敏性腸症候群(IBS)です。

過敏性腸症候群では、腸に明らかな炎症や腫瘍などが確認されなくても、腹痛や腹部の不快感とともに、下痢や便秘などの便通異常を繰り返します。下痢が中心となる人もいれば、便秘が中心となる人、下痢と便秘の両方がみられる人など、その現れ方はさまざまです。

また、「通勤電車に乗るとお腹が痛くなる」「大切な会議の前になるとトイレへ行きたくなる」といったように、精神的な緊張やストレスと症状が関係している場合もあります。これは決して「気のせい」ということではなく、腸の働きが脳や神経系とも密接に関係しているためです。

つまり、慢性的な下痢や腹痛を考える際には、まず病気や病変の有無を適切に確認することが重要です。そのうえで、明らかな異常が見つからないにもかかわらず症状が続いている場合には、「腸に何があるのか」だけではなく、「腸がどのように働いているのか」という視点も必要になります。

では、腸そのものに明らかな異常が確認されなくても、なぜ腹痛や下痢が繰り返し起こるのでしょうか。次の章では、腸の働きを調整する自律神経と、脳と腸が互いに影響し合う「脳腸相関」について解説していきます。

■検査で異常がなくても下痢や腹痛が続くのはなぜ?腸と自律神経の関係

私たちの腸では、食べ物を先へ送り出す蠕動運動や消化液の分泌、血流など、さまざまな働きが絶えず調整されています。こうした働きは自分の意思で直接コントロールしているものではなく、その調整に深く関わっているのが自律神経です。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、身体の状態や周囲の環境に合わせながら内臓の働きを調整しています。そのため、精神的な緊張やストレスが続いたときにお腹が痛くなったり、急に便意を感じたりすることがあります。

さらに、脳と腸は一方的な関係ではありません。脳から腸へ情報が送られるだけではなく、腸から脳へも絶えず情報が送られており、両者は双方向に影響し合っています。このような関係は「脳腸相関」と呼ばれています。

例えば、大切な予定の前になるとお腹が痛くなったり、通勤電車に乗ると急にトイレへ行きたくなったりすることがあります。反対に、下痢や腹痛が続くことで「またお腹が痛くなったらどうしよう」「外出先でトイレに行きたくなったらどうしよう」という不安が強くなり、その緊張がさらに腸の働きへ影響することもあります。

だからこそ、血液検査や便検査などで腸そのものに明らかな病変が確認されなかった場合には、腸だけではなく、その働きを調整している神経機能まで含めて身体を考えることが大切です。

カイロプラクティックでは、脳と身体との情報交換を担う神経の働きを重要視しています。身体から送られてくる情報を脳が受け取り、その情報をもとに現在の身体の状態を把握し、必要な指令を再び全身へ送り返すことで、私たちの身体は絶えず調整されています。

そしてカイロプラクティックでは、この神経伝達を阻害する状態を「サブラクセーション」と呼んでいます。当院では、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を行い、神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極めます。

必要な箇所へアジャストメントを行うことで神経の働きを整え、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくる。そして、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる状態を目指すことが、カイロプラクティックの目的です。

これは、「サブラクセーションが下痢の原因である」「アジャストメントをすれば下痢が止まる」という意味ではありません。当院が目的としているのは下痢や腹痛を直接取り除くことではなく、症状が出ている場所だけにとらわれず、その人の身体全体を詳しく評価することです。

では実際に、血液検査や便検査では明らかな異常が見つからず、半年ほど腹痛を伴う下痢が続いていた方には、どのような経過がみられたのでしょうか。

次の章では、毎日4〜5回トイレへ駆け込むほどの下痢に悩まされていた30代男性の症例をご紹介します。

■原因不明の腹痛と下痢で毎日4〜5回トイレに駆け込んでいた実際の症例

実際に当院へ来院された30代の男性は、半年ほど前から原因の分からない腹痛と下痢に悩まされていました。次第に毎日4〜5回トイレへ駆け込むようになり、仕事中や外出先でも「また急にトイレへ行きたくなったらどうしよう」という不安から、常にトイレの場所を確認するようになっていました。

医療機関で血液検査や便検査を受けても特に異常は見つからず、過敏性腸症候群(IBS)の可能性を指摘されました。整腸剤や下痢止めを服用しても大きな変化はみられず、外食を避けるようになるなど、日常生活にも大きな影響が出ていました。

当院で身体を詳しく検査すると、左仙腸関節と上部腰椎の可動域制限、骨盤部から上部腰椎にかけての体表温度の左右差、浮腫、腰部起立筋の過緊張など、複数の所見が確認されました。そこで、これらの検査結果からサブラクセーションを見極め、神経機能を整えることを目的としてカイロプラクティックケアを開始しました。

ケアを継続する中で、それまで毎日4〜5回あった下痢や朝の腹痛に少しずつ変化がみられるようになりました。その後は仕事中に突然トイレへ駆け込むことも減り、便の状態も安定する日が増えていきました。さらに、以前は避けていた外食も楽しめるようになるなど、日常生活にも変化がみられました。

この症例で重要なのは、下痢や腹痛が起きている腸だけを見るのではなく、その方の身体全体を詳しく評価したことです。当院では、症状を直接取り除くことを目的とするのではなく、神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、必要な箇所へアジャストメントを行うことで、その人自身が持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる環境を整えることを大切にしています。

この方の詳しい来院経緯や検査結果、カイロプラクティックケアによる経過については、以下の症例報告で詳しくご紹介しています。

▶ 原因不明の腹痛を伴う下痢で毎日4〜5回トイレに駆け込んでいた詳しい症例報告はこちら

▶ その他の消化器系のお悩みに関する症例報告はこちら

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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