更年期になると腰痛が増えるのはなぜ?睡眠の質と自律神経から考える身体の変化
「最近、夜中に目が覚めることが増えた」
「以前は朝まで眠れていたのに、眠りが浅くなった気がする」
「朝起きたときから身体が重く、腰痛まで感じるようになった」
40代以降になると、このような身体の変化を感じる女性も少なくありません。特に更年期を迎える頃には、これまでとは違った体調の変化を感じることがあります。寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝すっきり起きられなかったり。「年齢だから仕方がない」と考えて、そのまま過ごしている方もいるのではないでしょうか。
しかし、睡眠は単に身体を休ませる時間ではありません。眠っている間も、身体の中ではさまざまな調整が行われています。そして、睡眠の質が変化すると、日中の疲労感や身体の重さなど、思わぬところに変化を感じることがあります。その一つとして、腰痛を感じるようになったという方もいます。
では、なぜ更年期になると睡眠の質が変化し、それが腰痛などの身体の不調と関係してくるのでしょうか。
ここで注目したいのが、自律神経です。自律神経は、呼吸や心拍、体温調節など、私たちが意識しなくても行われている身体の機能を調整しています。更年期にはホルモン環境が大きく変化するため、睡眠や体調の変化を感じることがあります。
ただし、「更年期だから腰痛になる」「睡眠不足だから腰痛になる」と単純に結びつけられるものではありません。
大切なのは、睡眠、自律神経、ホルモン環境、そして身体の状態を切り離して考えないことです。長年の生活の中で積み重なってきた身体への負担に、ライフステージによる変化が重なることで、これまで気にならなかった身体の変化を感じるようになることもあります。
「腰が痛いから腰だけを見る」のではなく、「なぜ今、腰痛を感じるようになったのか」という視点から身体を考えてみる。そこには、これまで気づかなかった身体からのサインが隠れているかもしれません。
今回のコラムでは、更年期に起こる睡眠の質の変化と自律神経との関係を踏まえながら、腰痛を含めた身体の不調をどのように考えていけばよいのかについてお伝えしていきます。
■ 更年期になると、なぜ睡眠の質が変化するのか?
更年期を迎える40代後半から50代にかけては、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が大きく変化します。
この時期には、ほてりや発汗、疲れやすさ、気分の変化など、さまざまな身体の変化を感じることがあります。その中の一つが、「以前より眠りにくくなった」「夜中に目が覚めるようになった」といった睡眠の変化です。
睡眠には、身体や脳を休ませるだけでなく、日中に受けた負担から身体を回復させる大切な役割があります。私たちは一日の中で、仕事や家事、運動などさまざまな活動をしています。身体を動かしている間だけでなく、精神的な緊張やストレスなども含めて、身体にはさまざまな負担がかかっています。そのため、十分な睡眠をとることは、翌日の身体を整えるうえでも重要です。
ところが、更年期になると「眠りたいのに眠れない」「眠っているはずなのに休んだ感じがしない」と感じることがあります。
例えば、夜中に汗をかいて目が覚めたり、ほてりによって眠りが妨げられたりすることがあります。また、年齢や生活環境の変化、ストレスなど、ホルモン以外の要素が睡眠に影響することもあります。そして、睡眠の問題は「眠れない」という感覚だけにとどまりません。
睡眠が十分にとれていない状態が続けば、日中の眠気や疲労感につながったり、身体の回復が追いつかないと感じたりすることがあります。
ここで関係してくるのが自律神経です。
自律神経は、心拍、呼吸、体温調節、消化など、私たちが意識せずに行っている身体の機能を調整しています。睡眠中にも自律神経は働いており、活動しているときとは異なる状態へ身体を切り替えながら、休息と回復を支えています。
そのため、更年期における睡眠の変化を考えるときには、ホルモンだけを見るのではなく、睡眠と自律神経、そして日中の活動や疲労などを含めて考えることが大切です。そして、こうした睡眠の変化を感じている時期に、これまで気にならなかった腰痛や身体の重さを感じるようになる方もいます。
ただし、睡眠の質が低下したことが直接腰痛を引き起こすと決めつけることはできません。腰痛にはさまざまな原因があり、睡眠との関係も一人ひとり異なります。だからこそ、「更年期だから腰が痛い」と単純に考えるのではなく、現在の身体全体がどのような状態にあるのかを考えていくことが重要になります。
■ 腰痛は「年齢」や「ホルモン」だけの問題?睡眠と自律神経から考える新しい視点
更年期になって睡眠の質が変わり、同じ頃から腰痛も気になるようになると、「更年期だから腰が痛くなったのかな」と考える方もいるかもしれません。また、「眠れていないから身体が疲れているだけ」「腰の筋肉が硬くなったから痛い」と、原因を一つに絞って考えてしまうこともあります。
しかし、慢性的な腰痛を考えるとき、一つの原因だけですべてを説明できるとは限りません。私たちの身体は、睡眠中も含めて常にさまざまな調整を行っています。
日中は仕事や家事、運動などによって身体を活動させ、夜になると休息へと切り替わります。この切り替えには自律神経などが関わっています。
ところが、睡眠の質が変化すると、「寝たはずなのに疲れが取れない」「朝から身体が重い」と感じることがあります。こうした状態が続けば、日中の活動量や身体の使い方にも変化が生じる可能性があります。
例えば、疲れているために身体を動かす機会が減ったり、無意識に腰をかばうような動作が増えたりすることがあります。すると、身体を動かすことで保たれていた機能にも変化が生じ、結果として腰の不調を感じるきっかけになることがあります。
もちろん、これは「睡眠不足が腰痛の直接的な原因になる」という単純な話ではありません。ここで大切なのは、腰痛だけを切り取って考えないことです。
更年期を迎える時期には、ホルモン環境が変化するだけではなく、睡眠、疲労、ストレス、運動量など、日々の生活にもさまざまな変化が起こります。それらが重なった結果として、「以前は気にならなかった腰痛が気になるようになった」ということも考えられます。
つまり、「腰が痛い」という現在の症状だけを見るのではなく、
「最近、睡眠はどうだろう?」
「以前と比べて疲れやすくなっていないだろうか?」
「身体を動かす量は変わっていないだろうか?」
と、少し視野を広げて自分の身体を振り返ってみることが大切です。腰痛は腰だけに起きている出来事とは限りません。
身体はそれぞれの機能が独立して働いているのではなく、神経系を介して互いに関係しながら一つの身体として働いています。
では、前田カイロプラクティック藤沢院では、このような更年期の女性に起こる腰痛をどのように考えているのでしょうか。
次の章では、腰そのものだけを見るのではなく、脳や神経を含めた身体全体の働きから腰痛を考えるカイロプラクティックの視点について解説していきます。
■ 腰痛だけを見るのではなく、睡眠や自律神経を含めて身体全体を考える
更年期を迎えてから睡眠の質が変わり、同じ頃から腰痛も気になるようになると、「ホルモンバランスが変化したから腰が痛くなったのではないか」と考えることがあるかもしれません。
しかし、カイロプラクティックでは、腰痛を一つの要因だけで考えるのではなく、脳や神経を含めた身体全体の働きに目を向けることを大切にしています。
私たちの身体は、脳からの指令によって動き、筋肉や関節などから得られた情報が神経を通じて脳へ伝えられることで、姿勢や動作、さまざまな身体の働きを調整しています。
睡眠についても同じです。
眠っている間も身体は休んでいるだけではなく、さまざまな機能を調整しています。そのため、睡眠の質が変化しているときには、単に「眠れない」ということだけを見るのではなく、現在の身体全体がどのような状態にあるのかを考えることが大切です。
特に更年期は、女性ホルモンの変化だけではなく、仕事や家庭環境、生活リズム、運動量などにも変化が起こりやすい時期です。これまでと同じように生活しているつもりでも、身体が以前と同じように対応できなくなったと感じることもあるでしょう。
だからこそ、「更年期だから腰痛になった」「睡眠不足だから腰が痛い」と一つの理由に当てはめるのではなく、睡眠、疲労、生活習慣、身体の使い方、そして神経の働きなどを含めて、今の身体を考えることが重要になります。
カイロプラクティックでは、症状が出ている場所だけに注目するのではなく、身体全体の状態を確認し、神経の働きを妨げている要因を考えながらケアを行います。
これは、腰痛そのものだけを追いかけるという考え方とは少し異なります。「腰が痛いから腰を見る」のではなく、「なぜ今、この身体で腰痛が現れているのか」という視点から身体を捉えていくのです。
もちろん、腰痛にはさまざまな原因があり、すべての腰痛を自律神経やホルモンバランスで説明できるわけではありません。強い痛みが続く場合や、脚のしびれ・筋力低下などがある場合には、医療機関で適切な評価を受けることも大切です。
更年期という時期は、身体が大きく変化する時期だからこそ、これまで当たり前だと思っていた身体の状態を見直すきっかけにもなります。
「最近、眠りが浅くなった」
「朝起きても疲れが残っている」
「以前より身体が重く感じる」
「運動すると腰が痛くなるようになった」
こうした変化を、単なる年齢のせいとして片づけてしまうのではなく、身体からの一つのサインとして捉えてみることも大切なのではないでしょうか。
睡眠の質、自律神経、ホルモンバランス、腰痛。これらを別々の問題として考えるのではなく、一つの身体の中で起きている変化として見つめ直してみる。そして、「今の自分の身体は、以前と何が変わったのだろう」と考えてみることが、これからの身体との付き合い方を考えるきっかけになるかもしれません。
更年期は、身体が衰えていく時期というだけではありません。これまでの生活を振り返り、これから先も自分らしく過ごすために、自分自身の身体に目を向ける大切なタイミングともいえるのではないでしょうか。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。


