新陳代謝アップのカギは“甲状腺ホルモン”と“神経の流れ”
身体の新陳代謝について気にされている方は多いと思います。健康には欠かせないワードといえますね。新陳代謝は、古い細胞から新しい細胞に変わる時に必要なものを新たに取り込んで、古くなったものを排出するためのエネルギーを使う体の物質交代の働きです。
この新陳代謝には、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが大きく関係しています。あまりよく知られていない甲状腺ですが、体にとっては大切な働きをしています。今回のコラムは、甲状腺の働きとカイロプラクティックの関係性についてのお話です。
甲状腺の働きと甲状腺ホルモン
甲状腺は、喉ぼとけの直下にあり、気管を覆うように喉の前に位置しています。蝶々が羽を広げた形をしていて、通常は柔らかいので外からは触っても分かりにくいものです。
甲状腺ホルモンは、サイロキシンとトリヨードサイロニンの2種類があります。このホルモンは、ヨウ素を材料として作られています。甲状腺では主にサイロキシンがつくられています。その後、肝臓でトリヨードサイロニンに変換されることでホルモンとしての働きを発揮します。多くのヨウ素が含まれていることが甲状腺ホルモンの大きな特徴です。
甲状腺ホルモンは血液に分泌されることで、全身の細胞へ伝達されて新陳代謝を促すよう働きかけます。人間は食べ物で摂取されたタンパク質や脂質、炭水化物を体のエネルギー源として利用しますが、甲状腺ホルモンはこのような新陳代謝過程を刺激して促進させる作用があります。人間だけではなく、他の生物でも甲状腺から分泌されるホルモンが活用されています。熊が冬眠することができるのもこのホルモンの働きによるものです。
甲状腺ホルモンは、他にも骨や神経、精神状態、子供の成長や発育にも関係しているため、とても重要な役割といえます。甲状腺ホルモンは新陳代謝に関わるホルモンのため、これが増えすぎても少な過ぎても体には影響が出てきてしまいます。
甲状腺の働きとカイロプラクティック
人の体では様々なホルモンが作られていますが、これらのホルモンは自律神経によってコントロールされています。甲状腺が正常に機能するためには、脳が甲状腺の状態をしっかりと把握していなくてはなりません。そのためには神経がとても重要な働きをしています。新陳代謝も同様に自律神経が大きく関係しています。
一般的に代謝を高めるためには、体を冷やさないようにする、食生活の改善やサプリメントを取り入れる、運動時間を確保するなどが挙げられると思います。
たしかに食事も運動もとても重要です。でも止めてしまうと、また体が戻ってしまう。そして、また代謝を高めるために努力する。しかし、体の外にだけ目を向けても根本的な原因解決とはなりません。
ホルモンの分泌で一番重要なのは“神経の流れ”です。神経は、脳と体の各組織が連携し合うために必要なものです。甲状腺ホルモンは、司令塔である脳が体全体の状態を把握していることでバランスが保たれています。ホルモンは分泌量が多すぎても、少なすぎても役割を果たすことは出来ません。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や、甲状腺機能低下症(橋本病)なども甲状腺ホルモンが適切な働きが出来ていない状態となります。カイロプラクティックは、神経の流れを正常に機能できる状態にすることを目的としています。そうなることで体が自然に甲状腺ホルモンを分泌したり抑制したり、適切に働くことが出来たら、新陳代謝も自然と整っていきます。
どんなに良いものを取り込んでも体が受け入れてくれなければ、また外へ排泄されてしまいます。体の内に意識を向けて、体の本来の働きを高めたうえで食事や運動をすることで、より効率よく体は必要なものを吸収してくれます。
代謝の役割は、老廃物を排泄、細胞を更新する、体温の調整など、人が生きていくうえで絶対に欠くことができない体の機能です。正常な甲状腺ホルモンのバランスを保つためには、神経のサイクルを整えることがなによりも大切なことです。新陳代謝を高められるように、甲状腺ホルモンの機能を最大限生かせるよう、日頃からのカイロプラクティックケアで本来の健康を手に入れましょう。
執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持ち、日本で最も歴史あるカイロプラクテック学校「シオカワスクール」のセミナーを受講。勉強していく中で、カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、カイロプラクティックの世界へ飛び込むことを決意。