冷えと睡眠の関係とは?手足が冷たくて眠れないと悩んでいる方へ

日本人の成人の約5人に1人が、冷えによる睡眠の悩みを抱えていると言われています。眠れない原因として環境の変化や精神的ストレス、病気や薬の影響などがよく挙げられますが、実は「体温調節」が深く関わっています。
今回のコラムでは、手足が冷たくて眠れない方のために、その原因と改善策をカイロプラクティックの視点からもお伝えしていきます。
眠りと体温のメカニズム
私たちの体温は、朝起きて活動を始めると徐々に上昇し、夜になると下がるリズムを持っています。この体温の変動が睡眠の質に大きく影響します。特に、寝つきが悪い人や更年期によるほてりで眠れない人は体温調節がうまくいっていない可能性があります。
眠くなるのは、体温が下がり始めるタイミングです。深い睡眠に入るほど体温は低下し、脳の疲労が回復します。体温調節の役割を担っているのは、自律神経(交感神経と副交感神経)です。昼間は交感神経が活発になり体温が上昇し、夜になると副交感神経が優位になり体温が下がります。
しかし自律神経の働きが乱れると、このリズムが崩れ、夜になっても手足が冷たいままになり眠りにつきにくくなります。
手足が冷たくて眠れない原因
眠るときに手足が冷たくなるのは、体の中心に熱がこもり外にうまく放出できないためです。本来なら赤ちゃんが眠くなると手足が温かくなるように、血管が広がり体内の熱が外へ逃げることで体温が下がり、自然と眠りに入ります。しかし、自律神経の乱れがあると体の緊張や血流の悪化、手足の血管が収縮したままとなり熱が逃げにくくなります。その結果、寝つきが悪くなり睡眠の質が低下してしまいます。
冷えによる睡眠トラブルの改善策
電気毛布や暖房をタイマー設定
布団を温めると一時的に眠気を感じやすくなりますが、温めすぎると深部体温が下がらず、熟睡しにくくなります。電気毛布や暖房はタイマーでスイッチが切れるように設定し、適度な温かさを保ちましょう。
ぬるめのお風呂や足湯を活用
寝る前にぬるめ(38〜40℃)のお風呂に浸かると、血管が広がり手足から熱が放散されやすくなります。熱すぎるお風呂は逆効果になるため注意しましょう。足湯も効果的です。
軽い運動を取り入れる
運動不足が続くと自律神経のバランスが乱れ、体温調節がうまくできなくなることがあります。夕方に軽いストレッチやウォーキングを行うことでスムーズな体温調整が促され、質の高い睡眠につながります。
適切な食事で体のバランスを整える
「陰性の冷え性」の人(甘いものや冷たい飲み物が好きな人)は、血流が滞りやすく、体が冷えがちです。「陽性の冷え性」の人(動物性食品を多く摂る人)は、血管が収縮しすぎて血流が悪くなります。
陰陽のバランスを考えた食事を意識し、陰性の冷えには温かい食べ物を、陽性の冷えにはやや冷性の食品を取り入れることで、体温調節がスムーズになります。
カイロプラクティックで自律神経を整え、冷えと睡眠の質を改善する
カイロプラクティックは、背骨や骨盤での神経圧迫を取り除き神経の流れをスムーズにし、体の機能を本来の状態に戻すことを目的としています。それによって自律神経のバランスを整い、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになることでさまざまな体調不良の改善が期待できます。
自律神経と体温調節の関係
自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」があります。健康な状態では日中は交感神経が活発に働き、夜になると副交感神経が優位になって体を休める準備をします。この切り替えがスムーズに行われることで夜になると自然に手足の血管が広がり、体内の熱を放出しやすくなります。その結果、体温が緩やかに下がりスムーズな入眠へと導かれます。
しかし、ストレスや姿勢の悪さ、生活習慣の乱れなどが原因で自律神経のバランスが崩れると夜になっても交感神経が優位のままになり、血管が収縮して手足の冷えを引き起こします。そのため、体温が十分に下がらず、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりするのです。
カイロプラクティックによる自律神経の調整
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤の神経の伝達を正常に戻し自律神経のバランスを回復させます。特に、背骨の中を通る脊髄は自律神経の司令塔である脳と密接に関係しているため、背骨の歪みを調整することで神経の流れがスムーズになり、交感神経と副交感神経の働きが適切に切り替わるようになります。
これにより夜になると副交感神経がしっかりと働き、手足の血管が拡張しやすくなります。血流が良くなることで体の内部の熱が適切に放散され、眠気を感じやすくなり自然と深い眠りに入ることができるのです。
血流改善による冷えの緩和
カイロプラクティックは、血流の改善にも大きな効果を発揮します。背骨や骨盤で慢性的に神経に負担がかかっている状態は、筋肉が過度に緊張し血管を圧迫してしまうことがあります。その結果、血液の流れが滞り手足の冷えや肩こり、腰痛などの不調につながります。
カイロプラクティックによって背骨や骨盤の神経の流れがスムーズになることで、筋肉の緊張が和らぎ、圧迫されていた血管が解放されます。これにより全身の血液循環がスムーズになり、特に末端の手足までしっかりと血流が行き渡るようになります。その結果、体がポカポカと温まり冷えが緩和されるのです。
冷えによる睡眠の悩みは、体温調節の仕組みを理解し、適切なケアを行うことで改善できます。カイロプラクティックによる神経の調整を取り入れ、質の高い睡眠を手に入れることで日々の生活をより快適に過ごしましょう!

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。