【朝だけ腰が痛い理由】椎間板の“夜間膨張”が引き起こす、もうひとつの腰痛メカニズム

「朝、起きた瞬間だけ腰が痛い」
「動き始めると痛みは和らぐのに、また翌朝には戻ってしまう」
このような寝起き限定の腰痛は、年齢や寝具だけでは説明できません。鍵を握るのは、寝ている間に起こる椎間板の“夜間膨張”と、それを受け止める神経機能の状態です。このコラムでは、朝だけ痛みが出る仕組みを解剖学と神経生理学の両面から説明し、カイロプラクティックケアがどのように根本からの改善へ導けるのかをお伝えします。
■ 椎間板の夜間膨張と朝の腰痛の仕組み
背骨の間にある椎間板は、日中は重力で圧縮され、夜間の睡眠中に水分を取り込んで回復します。これは健康な人にも起こる自然なリズムです。
ただし腰椎や骨盤の関節にわずかな機能低下があると、膨張した椎間板の圧力が特定の部位に偏ってかかりやすくなります。起床直後は椎間板が最も膨らんでいる時間帯なので、関節の余裕が小さく、神経の出口や靭帯に機械的ストレスが集中します。
この時、局所の血流は不安定になり、組織は酸素不足や軽い浮腫を起こしやすくなります。酸素が足りない組織では神経受容器が過敏になり、通常なら痛みにならない小さな刺激さえ、脳へ“痛み”として強く伝わります。
さらに体は防御反応として筋肉を硬直させ、仙腸関節の動きを抑えます。左右どちらか一方の仙腸関節の可動が制限されると、反対側は代償的に動き過ぎ、腰椎にはねじれのストレスが積み上がります。結果として、起き上がりや前屈といった最初の数動作で鋭い痛みや強いこわばりが出やすくなるのです。
日中に痛みが弱まるのは、椎間板が再び圧縮されて内圧が下がるためですが、これは原因が解消したわけではありません。夜ごとに同じサイクルが繰り返されることで、脳は「朝は痛い」というパターンを学習し、実際の損傷が小さくても痛みを再生産するようになります。
いわゆる痛みの記憶が固定化する方向へ進むため、朝だけの腰痛が慢性腰痛の入り口になることも少なくありません。
■ 椎間板と神経を整えるカイロプラクティック
カイロプラクティックケアは、筋肉を揉みほぐすことではありません。椎間板や筋肉、関節をコントロールしている“神経の流れ”に着目し、そこを妨げている根本原因を見極めて最小限で正すアプローチです。朝の腰痛では、夜間膨張という生理的な変化そのものが問題ではなく、その変化に適切に適応できない神経システムの乱れこそが問題の中心になります。
当院で実践しているガンステッド・システムでは、体表温度検査・視診・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を用い、神経伝達を妨げているサブラクセーションを特定します。
重要なのは、広く漠然と“ほぐす”のではなく、原因となる一点に的確にアプローチすることです。必要最小限で精密なアジャストメントによってその一点を解放すると、脳と体のあいだを行き来する情報がクリアになります。
神経伝達が整うと、まず局所の防御的な筋緊張がほどけ、仙腸関節や腰椎の微細な“遊び”が回復していきます。これにより夜間の椎間板膨張が起きても圧力は分散され、神経の出口に一点集中するようなストレスが減ります。
血流は安定し、酸素不足による受容器の過敏化は鎮まり、朝の立ち上がりで感じていた鋭い痛みは次第に弱まります。
加えて、異常な感覚入力が減ることで脊髄レベルの過剰興奮が落ち着き、脳に刻まれていた“朝は痛い”という痛みの回路は徐々に上書きされます。結果として、痛みの再生産そのものが収まり、朝だけ痛む体から一日を通して安定して動ける体へと変化します。
ここで大切なのは、アジャストメントが筋肉を直接ゆるめているのではなく、筋肉の状態や関節の可動、血流や炎症の収束を“神経の上流から”整えている点です。神経の流れが整えば、体は自分で調整できる余地を取り戻し、動けない体を動ける体へ導けるようになります。
寝具を見直したり、ストレッチで一時的に血流を促すことは健康維持には役立ちますが、毎朝繰り返す腰痛の根本には届きません。サブラクセーションを特定し、その一点に的確なアジャストメントを行うことで、椎間板の生理的なリズムに体が自然に適応できるようになり、朝の痛みは再発しにくくなります。
神経の流れを整えることで根本から改善し、日々の回復サイクルを取り戻す。これがカイロプラクティックケアの本質です。
■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ
「朝の一歩目がつらい」
「寝起きのこわばりで一日が重く始まる」
その背景には、椎間板の夜間膨張と神経機能の乱れが隠れているかもしれません。神経の流れを整え、朝から軽く動ける体を取り戻していきましょう。カイロプラクティックケアで、再発を遠ざける体づくりをサポートします。
📍前田カイロプラクティック藤沢院
神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 第一興産28号館402
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。
笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。