【月経とアトピー性皮膚炎】女性ホルモンと自律神経の深い関係性とは?

なぜ月経前にアトピーが悪化するのか?
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激に対する過敏な炎症反応が起こる慢性的な皮膚疾患です。アレルギー体質や遺伝的要因が主な原因とされますが、近年では「ホルモンバランス」や「自律神経の乱れ」といった内的要因も症状の増悪に関わっていることが注目されています。
特に女性の場合、「月経周期」によってアトピーの症状が悪化するケースが多くみられます。「月経前になると肌がかゆくなる」「湿疹がひどくなる」「睡眠中に無意識に掻いてしまう」などの変化は、女性ホルモンと自律神経の複雑な相互作用が関係していると考えられています。
今回のコラムでは、自律神経とアトピー性皮膚炎の関係性についてお伝えしていきます。
女性ホルモンと皮膚の深い関係
女性の体は、思春期から閉経まで、月経周期に伴ってエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンが交互に増減します。このホルモンのリズムは、皮膚の状態や免疫反応にも大きく影響します。
エストロゲンには、皮膚の保湿力を高め、コラーゲンの産生を促進し、皮膚の弾力や再生能力をサポートする作用があります。また、血管拡張作用によって血流が良くなり、細胞への栄養供給がスムーズになることで、皮膚の健康が保たれます。
一方、プロゲステロンは妊娠を維持するためのホルモンであり、免疫抑制作用を持つ反面、皮脂分泌を促進し、皮膚の炎症反応を高める働きもあります。特に、月経前の時期にはプロゲステロンが優位になるため、皮膚が敏感になりやすく、バリア機能が一時的に低下します。
その結果として、乾燥・かゆみ・湿疹といったアトピーの症状が強く現れることがあります。
自律神経の働きが肌トラブルを左右する
さらに、月経周期はホルモンだけでなく、自律神経の働きにも密接に関与しています。自律神経とは、私たちが意識せずに体の状態をコントロールしている神経系で、「交感神経」と「副交感神経」の2つから構成されています。
交感神経は、活動的な状態やストレス時に優位になり、血管を収縮させたり、内臓の働きを抑制したりします。逆に副交感神経は、リラックス時や睡眠時に働き、体の回復や修復を助けます。
自律神経のバランスの乱れは、月経前になるとホルモンバランスの変化に伴って体への負担となることもあります。これによって血行が悪くなり、皮膚への栄養や酸素の供給が低下し、バリア機能が弱まり、アトピー症状が悪化しやすくなるのです。
さらに、交感神経の緊張状態が続くと、かゆみの神経伝達も過敏になり、わずかな刺激にも強いかゆみを感じやすくなります。
ストレスと睡眠の影響も見逃せない
月経前はホルモンの影響により感情が不安定になりやすく、ストレスが増加します。ストレスもまた交感神経を刺激し、皮膚の炎症や免疫反応を悪化させる原因となります。また、月経前の不眠や睡眠の質の低下も、自律神経のバランスを崩す大きな要因です。
このように、ホルモンバランス・自律神経・睡眠・ストレスといった多くの要素が複雑に絡み合うことで、アトピー性皮膚炎のコントロールが難しくなるのです。
カイロプラクティック・ケアと自律神経の関係性
こうした肌の不調に対し、カイロプラクティックでは背骨や骨盤を整えることで神経系の機能を改善し、自律神経のバランスを取り戻すことを目的としたアプローチを行います。
背骨の周囲には自律神経が密集しており、椎間関節の可動性が低下すると神経伝達に影響を及ぼすことがあります。関節の可動性が改善されると、神経の働きがスムーズになり、交感神経と副交感神経のバランスも整いやすくなります。結果として、皮膚のバリア機能が回復し、かゆみや炎症の改善が期待できるのです。
月経前にアトピー性皮膚炎の症状が悪化する背景には、女性ホルモンの変動と、それに伴う自律神経の乱れが深く関係しています。単なる「肌荒れ」と片付けず、体の内側で起きているリズムを理解することが、根本的な体質改善への第一歩です。
体の不調を感じる前に日常からカイロプラクティック・ケアを取り入れることで、月経と上手につき合いながらアトピーとうまく向き合っていくことができるはずです。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。