階段の上り下りすら恐怖に感じる股関節の痛み

階段の上り下りすら恐怖に感じる股関節の痛み

車椅子の生活を覚悟した私が、もう一度自由に歩けるようになりました!

50代女性
来院に至った経緯
数年前から左股関節に違和感を覚えるようになり、歩き始めや長時間の立ち仕事の後にズキズキとした痛みが出ることがあった。最初は「年齢のせい」だと考え、湿布や痛み止めでやり過ごしていたが、次第に症状は強まり、日常生活に影響を及ぼすようになった。

やがて腰にも重だるい痛みを感じるようになり、朝起き上がるときや椅子から立ち上がるときに股関節から腰にかけて強い突っ張り感が走るようになった。さらに、夜間には足がつりやすくなり、眠りが浅く途中で何度も目が覚めることが増え、疲労感が抜けない日々が続いた。

整形外科を受診しレントゲンを撮影したところ、「年齢による関節の変化」と説明され、鎮痛薬とリハビリを勧められた。しかし薬を飲んでも痛みは一時的に和らぐだけで、股関節の可動域は徐々に制限され、その場でしゃがみ込むといった動作が困難になった。

20分歩くだけでも左股関節に痛みを感じるようになったため、整体やマッサージにも通うようになった。施術直後は楽になるものの、すぐに痛みと腰の重さが戻ってしまい、根本的な改善には至らなかった。

趣味であった旅行や買い物も、長時間歩くと股関節が痛み出し、思うように楽しめなくなった。家族と外出しても途中で休まざるを得ず、「自分だけが迷惑をかけている」という罪悪感さえ抱くようになった。

さらに階段の昇り降りでは強い痛みで手すりに頼らなければならなかった。次第に階段の上り下りでは、股関節のみならず膝にも痛みを感じるようになり、将来に対する不安は日に日に募っていった。

「このまま歩けなくなり、車椅子の生活になるのではないか」という恐怖心すら芽生えた。

そんな折に、知人から「私が通っているカイロプラクティックの先生凄いから、一度相談してみたら?」と紹介された。調べてみると、塩川満章先生という有名な先生のお弟子さんであることを知った。

長年の経験と確かな技術を持つ人物であれば、これまで改善しなかった股関節の痛みも変わるのではないかと希望を抱き、「もう一度自由に歩きたい」という切実な思いから、ご紹介という形で当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    腰部起立筋と殿筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左仙骨翼に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と殿筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、階段の上り下りが手すりを使わないと不安感があったが、手すりを使わなくても上り下りができるようになった。また、階段の上り下りでは膝にも痛みを感じていたが、この頃には膝には痛みは出なくなった。

7週目(7回目のアジャストメント)には、20分歩くだけで感じていた左股関節の痛みは、30分以上歩いても感じなくなっていた。また、階段の上り下りではまったく不安感がなくなった。

10週目(10回目のアジャストメント)には、腰痛はまったく気にならなくなり、左股関節の痛みも一切感じなくなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

18週目(14回目のアジャストメント)には、旅行に出かけて数時間歩いても左股関節の違和感は一切出なかった。この頃には、しゃがむ動作もスムーズにできるようになった。

現在は、左股関節の症状は完全に落ち着いたが、二度と同じように苦しみたくないという思いから、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の左股関節の痛みは、骨盤部にある左仙腸関節の可動域制限が原因であったと考えられる。

股関節は球状関節といって、解剖するとビリヤードの玉くらいツルツルの形状をしており、本来は引っかかりようのない構造になっている。その股関節に違和感を覚えるということは、ハマっている玉よりも受け皿側の骨盤を疑うべきである。

レントゲン評価では、整形外科で診断されたいたように股関節に軽度の変形が確認されたが、これは人間が本来持っている防御反応が働いた結果ともいえる。

骨盤の不安定さから、股関節を通る神経に負担が掛かると、これ以上神経を損傷させないように関節の可動域を制限する。また、「痛み」というシグナルを出すことで、「今、体に負担が掛かっているから動かさないでくださいね。」と体が脳へSOSのサインを送っている状態ともいえる。

脳は決して無駄なことはせず「神経の保護」を第一に考えるため、股関節を徐々に変形させて、物理的な制限を掛けることで神経を保護している結果といえる。

股関節の役割としては、上半身から掛かってきた重さを地面に二分する役割があるが、骨盤の不安定さから重さを上手く地面に伝えられず、結果として膝関節にも負担を掛けていたものと考えられる。

骨盤に制限が加わることは、これだけではすまないことが多い。骨盤には左右に仙腸関節というものが存在している。人間には補正作用というものがあり、どちらかの仙腸関節の動きが制限されると反対側は過剰に動いてしまう。

これが、日常生活において歩くたびに片側だけが過剰に動いた結果、腰部には常に捻じれの動作が加わってしまう。骨と骨の間にあるクッションである「椎間板」は、捻じれの動作に弱いため徐々にその厚みが減少してしまう。

この状態で股関節が動かないと、自体はそれだけではすまない。本来、股関節は「動くべき関節」となり、腰や膝は「支えるべき関節」となる。ここにも人間の補正作用が働くため、本来は「動くべき関節」が動かないと、「支えるべき関節」が過剰に動いてしまう。

結果として、股関節の痛みのみならず、本来は「支えるべき関節」である腰や膝に過度な負担が掛かったことで、腰痛や膝の痛みを誘発していたと考えられる。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、骨盤部の神経機能が回復し各関節が本来の役割を取り戻したことで、股関節の痛みのみならず、腰痛や膝痛の改善に繋がったと考えられる。

痛みなどの症状が出ているところに囚われるのではなく、問題の根本原因を特定する検査が何よりも重要だと改めて認識するとともに、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
階段の上り下りすら恐怖に感じる股関節の痛み
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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