鍼灸やリラックス法でも改善しなかったイライラと感情の起伏

鍼灸やリラックス法でも改善しなかったイライラと感情の起伏

イライラせずに穏やかに過ごせるようになりました!

40代女性
来院に至った経緯
3年ほど前から感情のコントロールが効かなくなり、些細なことでイライラするようになった。子育てや家事、フルタイムでの仕事に追われる毎日の中で、最初は「忙しいから仕方ない」と思っていたが、気づけば娘たちから「お母さん、何でそんなに怒ってるの?」と心配されるほどになっていた。

家族に言われるだけならまだ我慢できたが、職場の同僚や久しぶりに会う友人にまで「最近、前より怒りっぽくなったね」と指摘され、自分では変わったつもりがなかっただけにショックを受けた。

気分転換をしようと、以前よく通っていたスーパー銭湯に久しぶりに足を運んだ。しかし、そこで出会ったのは小さな女の子の泣き声に対して、どうしようもなくイライラしている自分だった。「ただ子どもが泣いているだけで、なぜ私はここまで腹を立ててしまうのか」と愕然とし、感情が自分の意思ではどうにもならなくなっていることに気づかされた。

なんとか自分を変えようと色々試した。ヨガや半身浴、アロマを使ったリラックス法、睡眠をしっかり取るためにサプリメントも取り入れた。休日には自然の中を散歩して心を整えようともした。

しかし「イライラしないようにしなきゃ」と思えば思うほど、ちょっとした出来事に感情が爆発し、結局自己嫌悪に陥る。その繰り返しで、自分の努力がすべて空回りしているように感じられた。

ママ友からは「針治療が良いらしいよ」と聞き、SNSで評判の鍼灸院に3か月ほど通ったこともあった。施術後は体の軽さを感じても、感情のコントロールには全く変化がなく、期待が大きかった分だけ落胆も大きかった。

改善しない自分に苛立ち、また家族に当たってしまう。「良くなりたいのに、なぜ良くならないんだろう」という思いは焦燥感に変わり、友人との約束も断るようになり、気づけば人間関係も狭まっていた。

そんな母親を心配した長女がインターネットで当院のホームページを見つけてくれた。そこには、自律神経の乱れや感情の不安定さで悩んでいた人が改善した症例が掲載されており、「ここなら今までとは違う道が開けるかもしれない」とわずかな希望を持てた。長女の後押しもあり、当院への来院を決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 02

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    右仙腸関節の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と右仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の多忙や娘さんの受験も重なり、週1回のケアから開始した。

1週目(初回のアジャストメント)には、顕著な変化はなかったものの「夜の寝つきが少し良かった気がする」と話していた。頸部の緊張がわずかに和らぎ、体全体の重さが軽減したことで、久しぶりに深い眠りを感じられたようであった。

3週目(3回目のアジャストメント)には、依然としてイライラは残っていたが、これまで感じていなかった「仰向けで寝ているときに腰が軽い」という感覚を自覚するようになった。本人も「腰の重だるさが和らいでいる」と驚き、体の変化を少しずつ実感していた。

9週目(9回目のアジャストメント)には、日常生活でのイライラが強く爆発することは減り、感情が乱れても「すぐに切り替えられる」と話すようになった。娘さんからも「前より落ち着いてる」と声をかけられるなど、家族が先に変化を感じ取っていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

18週目(12回目のアジャストメント)には、以前のように小さなことで感情が揺さぶられることが少なくなり、本人も「ようやく自分の中で穏やかさを取り戻せた」と実感していた。家庭でも笑顔で過ごせる時間が増え、娘さんたちからも「お母さん、最近楽しそうだね」と言われるようになった。

現在は、感情の激しい起伏も落ち着いたが、再び感情が不安定にならないように、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のイライラは、上部頸椎および骨盤部において神経に強い反応が確認されたことからも、自律神経の乱れが背景にあると考えられる。

イライラや怒りっぽさといった感情の変化には、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が関与しているが、それらは視床下部からの信号を受けて下垂体、副腎、卵巣といったホルモン分泌器官を介して調整されている。

特に交感神経が過剰に働くと、副腎からコルチゾールやアドレナリンが過剰に分泌され、常に「戦闘モード」の状態が続く。このとき副交感神経の働きが低下していると、セロトニンの産生やエストロゲンの安定的な分泌が妨げられ、気分を落ち着かせる仕組みが機能不全に陥る。

女性ではエストロゲンやプロゲステロンの分泌が情動の安定に大きな役割を担っている。エストロゲンはセロトニンの働きを高め、気分を安定させるが、自律神経が乱れることでその分泌リズムが崩れると、感情が不安定になりやすい。

プロゲステロンには鎮静作用があるが、これが不足すると小さな刺激にも敏感に反応してしまう。つまり、自律神経の乱れはホルモン分泌異常を介して、直接的に感情の起伏を悪化させる要因となるのである。

今回の患者では、検査により上部頸椎と骨盤部に強い反応が確認されており、これはまさに副交感神経領域の機能低下を示唆する所見であった。この状態では交感神経優位が慢性化し、ストレスホルモンが過剰に分泌され、同時に感情を安定させるホルモンの働きが抑制されるという悪循環が固定化していたと考えられる。

アジャストメントによって神経系の働きが整うと、副交感神経の活動が回復し、HPA軸や卵巣機能を含むホルモン調整機構が正常化していく。その結果、アドレナリンやコルチゾールの過剰反応が抑えられ、セロトニンやエストロゲンの分泌が安定することで、感情のコントロールが徐々に取り戻されていったと推測される。

この症例は、単なる「イライラ」という一見心理的な問題も、自律神経とホルモンバランスの密接な連動を通じて説明できることを示している。そして、背骨を中心に全身を整えるカイロプラクティックケアが、根本的な改善に寄与できることを再確認させる症例であった。
鍼灸やリラックス法でも改善しなかったイライラと感情の起伏
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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