薬を飲んでも止まらない強い眠気に苦しんだ高校生のナルコレプシー

薬を飲んでも止まらない強い眠気に苦しんだ高校生のナルコレプシー

授業中に寝てしまう不安がなくなり、自然に朝すっきり起きられるようになりました!

10代女性
来院に至った経緯
高校に入学して間もない頃、授業中にどうしても眠気に耐えられなくなった。夜更かしをしているわけでもなく、きちんと睡眠を取っているのに、突然強い眠気が襲ってきて、気がつくとノートの上でペンを握ったまま寝てしまっていた。最初は「新生活の疲れかな」と思っていたが、日が経つにつれてその頻度は増えていった。

授業中だけでなく、部活動のミーティング中や友達との会話の最中にも意識が途切れることがあり、次第に「また寝ちゃうんじゃないか」と不安が強くなっていった。夜はしっかり眠っているはずなのに、朝起きても体が重く、まるで眠りが浅いまま朝を迎えているような感覚だった。自分でも何が起こっているのか分からず、心と体がどんどん離れていくような感覚に襲われた。

学校では居眠りを注意されることが増え、「だらけている」「やる気がない」と誤解されることが辛かった。真面目にやっているのに理解してもらえないことへの悔しさと、どうしようもない眠気への恐怖が重なり、友達にも打ち明けられずにいた。昼休みは一人で机に伏せて過ごすことが多くなり、放課後も部活動に参加する気力がなくなっていった。

ある日、国語の授業中に突然強い眠気に襲われ、そのまま机に突っ伏してしまった。先生に声をかけられてもすぐに反応できず、クラス中が静まり返った。恥ずかしさと混乱で涙が止まらず、保健室に運ばれて休んでいたとき、保健の先生から「一度病院で調べてもらったほうがいい」と勧められた。

その後、母親に付き添われて病院で検査を受けた結果、「ナルコレプシー(過眠症)」と診断された。薬を処方され、しばらく服用を続けたが、思うような改善は見られなかった。薬を飲むと確かに眠気は抑えられるものの、頭がぼんやりして集中力が続かない。授業の内容も頭に入らず、テスト前には焦りと不安で涙が出た。学校生活にも支障が出て、次第に欠席が増え、部活動もやめざるを得なくなった。

家では母親が支えようとしてくれたが、「どうしてこんなことになったのか」と自分を責める気持ちが強かった。母親の前では平気なふりをしていたが、内心では「また寝てしまうかもしれない」「ちゃんと学校に行けなくなるかもしれない」という不安でいっぱいだった。

朝、母親に「ちゃんと寝たのに眠いの?」と聞かれるたびに、説明できないもどかしさを感じた。眠っても疲れが取れず、頭がぼんやりしたまま時間だけが過ぎていく。勉強したくても集中できず、テストの点数も下がっていった。周囲からの期待に応えられないことが重なり、「このまま自分は駄目になっていくんじゃないか」と感じるようになった。

母親も心配のあまり、インターネットや本で情報を集めていたが、どれも薬や生活リズムの改善といった表面的な方法ばかりで、根本的な解決にはつながらなかった。そんな中、たまたま当院のホームページを見る機会があった。娘と同じような年代の子でナルコレプシーが改善されたという記事を見て、「ここなら娘も改善されるかもしれない」と藁にもすがる思いで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼にスポンジ状の強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中2段階のD2レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

まずは睡眠のリズムを安定させるために、さまざまな検査所見を加味して初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、日中の強い眠気が少しずつ軽減し、授業中に眠り込む回数が減った。本人も「寝てしまうかも」という不安が少なくなり、気持ちが少し前向きになったと話していた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、朝の目覚めが以前よりも楽になり、起床後の体の重さやだるさが和らいできた。学校に行く準備をする際も、以前のようにぼんやりすることが減り、授業への集中が続くようになったという。母親も「最近は笑顔が増えた」と変化を実感していた。

14週目(11回目のアジャストメント)には、睡眠時間は以前と変わらないものの、眠りの質が改善していることを本人が自覚できるようになった。午前中に眠気が出ることはほとんどなくなり、午後の授業や部活動にも参加できるようになった。周囲との関わりも増え、以前のような孤立感は薄れていった。

18週目(13回目のアジャストメント)には、日中の眠気はほとんど見られず、授業中の集中力が安定してきた。本人も「最近は自然に夜眠くなって、朝すっきり起きられる」と話しており、睡眠と覚醒のリズムが整ってきた。

現在は、ナルコレプシーによる過睡眠もなくなり安定したが、二度と同じ症状に苦しみたくないという思いから、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のナルコレプシーは、思春期特有のホルモン変化と精神的ストレスが重なり、自律神経系と中枢神経系の協調が乱れたことが主な原因であったと考えられる。高校入学という環境の変化は、心理的緊張と生活リズムの変化を伴い、脳幹の覚醒維持機構に過剰な負担をかけていたと推測される。

ナルコレプシーでは、脳内で覚醒を司る神経伝達物質オレキシン(ヒポクレチン)の分泌が低下することが知られている。オレキシンは視床下部から放出され、延髄や脳幹における神経ネットワークを通じて睡眠と覚醒のリズムを制御している。本症例では、上部頸椎に明確な機能障害が認められたことから、この延髄レベルでの神経伝達に干渉が生じ、結果的にオレキシン分泌リズムが不安定化していた可能性が高い。

上部頸椎の可動性低下は、迷走神経をはじめとする副交感神経の出力にも影響を与える。これにより夜間の回復反応が抑制され、眠っても疲労が抜けない、あるいは日中の覚醒を維持できないという「リズムの断絶」が生じる。一方、仙骨の可動性低下は骨盤内副交感神経の働きを鈍らせ、身体の基礎的な循環や体温調整、内臓活動のリズムを不安定にさせる。結果として、脳と身体のリズムが同期できず、覚醒中にも“眠りの指令”が混在するような状態に陥っていたと考えられる。

カイロプラクティックケアにより上部頸椎と仙骨の神経干渉が解放されることで、延髄と骨盤神経の双方向性が回復し、全身の自律神経リズムが再統合された。これは単に眠気が軽減したという表面的な変化ではなく、「睡眠と覚醒」という生命活動の根幹リズムが本来の秩序を取り戻した結果である。アジャストメントの継続に伴い、日中の覚醒度が高まり、情緒の安定、集中力の向上といった心理的側面にも明確な改善が見られた。

本症例は、ナルコレプシーの本質が単なる睡眠障害ではなく、脳幹と自律神経の連携不全という根本的な神経調整の問題であることを示している。上部頸椎と仙骨という自律神経の要所を整えることで、体内の神経リズムが再び統合され、自然な覚醒と休息のサイクルが取り戻された。これはサブラクセーション(根本原因)の解放によって、神経系が本来の調整機能を再び発揮したことを証明する症例であった。
薬を飲んでも止まらない強い眠気に苦しんだ高校生のナルコレプシー
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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