薬を増やしても治まらなかった関節リウマチの痛みとこわばり

薬を増やしても治まらなかった関節リウマチの痛みとこわばり

朝のこわばりが消え、趣味のアクセサリー作りを再開できるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
子どもの頃から手先を使うことが好きで、裁縫や料理をして家族を喜ばせるのが何よりの楽しみだった。細かい作業をしていると時間を忘れて没頭してしまうタイプで、何かを形にすることが心の支えでもあった。

社会人になってからはデザイン関係の仕事に就き、色や形にこだわりながら作品を作る日々を送っていた。休日にはアクセサリー作りをしたり、友人とお気に入りのカフェを巡ったりと、充実した時間を過ごしていた。

数年前から、朝起きたときに指の関節がこわばって動かしにくくなることが増えていった。最初は「寝ている間に冷えたのかな」と思い、手を温めながらしばらくすれば治るだろうと軽く考えていた。

しかし、こわばりは次第に長く続くようになり、やがて痛みを伴うようになった。ペンを握ると関節が軋むような鈍い痛みが走り、仕事中も指先に力が入らず、パソコンのキーボードを打つのさえつらい日もあった。

整形外科で検査を受けたところ、血液検査でリウマチ因子が陽性と出た。医師から「関節リウマチ」と診断され、薬の服用を勧められた。初めのうちは痛みも和らぎ、仕事にも支障なく過ごせていたが、半年ほど経つ頃から再び関節の腫れと痛みが戻ってきた。

薬の量を増やしても劇的な改善は見られず、「このままずっと薬に頼り続けるしかないのだろうか」という不安が頭をよぎるようになった。それからしばらくして、痛みは手首や肘、膝にまで広がった。

朝は体を起こすのにも時間がかかり、洗顔や着替えの動作もひとつひとつ慎重に行わなければならなかった。家事をしていても手が思うように動かず、湯呑みを落として割ってしまったときは、自分の体が別人のように感じて涙がこぼれた。「なんで私だけが…」という思いと、周囲に弱音を吐けないつらさが重なり、次第に気持ちも沈みがちになっていった。

そんなとき、職場の先輩から「私も関節リウマチだったんだけど、ここの先生に診てもらったらすごく楽になったから行ってみて」と当院を紹介された。

最初は「リウマチにカイロプラクティックなんて効果があるの?」と半信半疑だったが、信頼している先輩からの紹介だったのでホームページを見てみると、自分の症状と同じような人が改善していることを知った。「このまま何もしなければ、もっと関節が変形してしまうかもしれない」と藁にもすがる思いで、ご紹介と言う形で当院に来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    隆椎周辺の強い浮腫感

  • 02

    下部頸椎の明らかに可動域制限

  • 03

    首から肩にかけての過緊張

経過と内容
初診時の状態では、下部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、下部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺に強い浮腫が確認され、首から肩にかけては過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中2段階のD2レベルが確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は仕事の関係で間に合わないとのことだったので、無理のない範囲で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、朝のこわばりの持続時間が短くなり、手指の動きが少しずつスムーズになってきた。仕事中のタイピング動作でも以前のような強い痛みは減少し、手を温めなくても動かせるようになった。本人も「痛みでイライラすることが減った」と話しており、睡眠の質にも変化が見られた。

8週目(7回目のアジャストメント)には、関節の腫れが落ち着き、指を曲げ伸ばしするときの引っかかり感が和らいだ。体全体の倦怠感も減り、朝の支度にかかる時間が短くなった。体表温度の左右差も縮小傾向を示し、自律神経の安定が進んでいることが確認された。

12週目(10回目のアジャストメント)には、痛みの再発がほとんど見られず、休日には趣味のアクセサリー作りを再開できるまでに回復した。以前は細かい作業をしているとすぐに指が疲れていたが、「気づけば長時間作業できるようになった」と笑顔で話していた。職場でも集中力が増し、紹介してくれた先輩からも「最近明るくなったね」と声をかけられるようになった。

20週目(14回目のアジャストメント)には、痛みや腫れはほとんど見られず、朝のこわばりも消失した。体の冷えやむくみも軽減し、夜の睡眠が深くなったと本人が実感していた。以前は薬を飲んでも完全に取れなかった指先の違和感がなくなり、体全体が軽く感じられるようになったという。


現在は、関節リウマチによる諸症状は症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
本症例の関節リウマチは、自律神経の恒常性が崩れた結果、免疫系の働きが適切に制御されなくなったことが主な原因であったと考えられる。

免疫反応は独立して存在するものではなく、自律神経系による精密な調整を受けている。交感神経の過活動が続くと顆粒球が優位となり、炎症性サイトカインの放出が亢進する。一方、副交感神経が十分に機能しているときはリンパ球が優位となり、炎症の抑制と修復過程が進む。つまり、このバランスが崩れたときに自己免疫疾患は慢性化し、炎症が全身へと拡大する。

初診時に確認された下部頸椎の可動域制限と隆椎周囲の浮腫は、交感神経領域の機能低下を示唆していた。下部頸椎は自律神経の切り替え点でもあり、ここにストレスがかかると内臓機能や免疫反応の調整に狂いが生じやすい。特に関節リウマチのような炎症性疾患では、この領域の神経機能障害が免疫の暴走を助長する可能性が高いと考えられる。

アジャストメントにより下部頸椎の神経機能が回復し、首から肩の筋緊張が緩和されるにつれて、体表温度の左右差が減少していった。これは交感・副交感神経の切り替えが円滑になり、自律神経系の恒常性が回復しつつあることを示している。

この変化に伴い、手指の腫れや痛みが軽減し、朝のこわばりの持続時間が短縮したことは、神経系が免疫反応の制御を取り戻した結果であると解釈できる。

また、関節リウマチにおける上部頸椎のアプローチには特別な注意が必要である。リウマチ患者では環椎横靭帯の弛緩が起こる場合があり、不適切な刺激は脊髄や延髄に損傷を及ぼすリスクを伴う。

そのため、レントゲン評価におけるADI(Atlanto Dental Interval)スペースの確認は欠かせない。本症例でも慎重な評価を行い、ADIスペースの軽度拡大が認められたため、上部頸椎への直接的なアジャストメントは避け、安全性を最優先とした臨床判断を下部頸椎中心で行った。

結果として、免疫反応の過剰亢進は抑制され、全身の炎症活動が沈静化へと向かった。夜間の睡眠が深くなり、日中の倦怠感が軽減したことも、自律神経のリズムが整い、夜間の修復機能が適切に働き始めた証拠である。

本症例は、関節リウマチを「免疫の異常」ではなく「神経による免疫制御の破綻」として捉え、カイロプラクティックケアによる神経回復がいかに免疫バランスの安定と炎症鎮静に寄与するかを示したものである。

また、レントゲン評価を基盤とした安全な臨床判断が、自己免疫疾患に対するカイロプラクティックの有効性と安全性を両立させるうえで極めて重要であることを明確に示した症例であった。
薬を増やしても治まらなかった関節リウマチの痛みとこわばり
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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