自律神経の乱れが招いた全般性不安障害による不安感

自律神経の乱れが招いた全般性不安障害による不安感

心も体も休まらなかった毎日が嘘のように、自然と笑えるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
大学卒業後からずっと同じ会社で働き、仕事にも人間関係にも恵まれていた。責任感が強く、どんな仕事も最後までやり遂げるタイプで、周囲からの信頼も厚かった。忙しいながらも、同僚との食事や休日のショッピングを楽しみ、充実した日々を送っていた。

学生時代から努力家で、目標を立てては計画的に物事を進める性格だった。失敗を人に見せることを極端に嫌い、常に「しっかりしなければ」「迷惑をかけてはいけない」と自分を奮い立たせてきた。

社会人になってからもその真面目さは変わらず、遅くまで残業が続いても愚痴をこぼさず、任された仕事は必ずやり遂げる。周囲からの信頼は厚く、気づけば後輩たちからも相談を受ける立場になっていた。

しかし、30代に入ってから仕事の責任が増し、部下の指導や取引先との調整など、気を張る時間が長くなった。最初は「少し疲れているだけ」と思っていたが、ある日、理由もなく胸がざわつき、手の震えや息苦しさを感じるようになった。そのときから、いつも心のどこかに不安が居座るようになった。

もともと几帳面な性格ゆえに、「なぜこんなに不安になるのか」「どうして落ち着かないのか」と自分を責めてしまい、さらに心が休まらない。夜になると、明日の仕事のことや、まだ起きてもいないトラブルのことを考えてしまい、なかなか眠れない。浅い眠りのまま朝を迎える日が続き、寝ても疲れが取れず、出勤前には動悸が起こるようになった。

心療内科を受診すると「全般性不安障害」と診断され、抗不安薬が処方された。服用すると一時的に落ち着くものの、頭がぼんやりし、仕事への集中力が低下した。薬に頼らずに改善できる方法を探し、カウンセリングやヨガ、呼吸法、睡眠改善のためのサプリなどを試してみたが、どれも思っているような効果はなかった。

当時は家庭でも笑顔が減り、家族と食事をしていても上の空で会話が頭に入ってこない。休日に外出しても、楽しさよりも疲労感が先に立ち、どこか常に不安と緊張を抱えたまま過ごしていた。周囲から見れば「真面目で頑張り屋」だが、内面では常に自分を追い込み、休むことが罪悪感となってしまう状態だった。

次第に外出が億劫になり、休日も家にこもるようになった。「何かをしなければ」という焦りと、「何をしても無駄かもしれない」という諦めが交互に押し寄せ、心身ともに限界を感じていた。

そんなとき、知人から「私が通っているカイロプラクティックの先生に聞いたら、カイロプラクティックってメンタル面にも効果があるみたいよ。一度行ってみたら?」と当院を紹介された。「薬以外の方法で心が安定するなら」と、わずかな希望を抱いて当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中D3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は仕事のあとは家事で忙しいとのことで、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、施術後すぐに体がポカポカと温まり、「久しぶりに深く呼吸ができた」と話していた。夜はいつもより早く眠気が訪れ、途中で目が覚めることもなく朝まで眠れたという。

6週目(6回目のアジャストメント)には、日中の動悸や息苦しさの回数が減り、出勤前の不安感もやわらいできた。これまでは何か予定があるだけで気持ちが落ち着かなかったが、「気づいたらあまり考え込まなくなった」と本人も変化を実感していた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

10週目(8回目のアジャストメント)には、仕事中に集中できる時間が増え、夕方になっても頭の重さや倦怠感を感じにくくなった。以前は気分の浮き沈みが激しく、感情を抑え込むような日々だったが、「最近、自然に笑えるようになった」と表情にも明るさが見られるようになった。

16週目(11回目のアジャストメント)には、睡眠の質がさらに改善し、朝の目覚めもスッキリとするようになった。以前は休日も外出を避けていたが、友人とカフェに行ったり、趣味の読書を再開するなど、少しずつ行動範囲が広がっていった。

現在は、不安感や動悸などの症状はほとんど落ち着き、気持ちの波に左右されにくい状態を維持している。再発予防と自律神経の安定を目的として、定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の不安感(全般性不安障害)は、自律神経の乱れによってホルモン分泌異常が起こっていたことが原因であったと考えられる。

人間のメンタル面はホルモンバランスによって保たれており、そのホルモン分泌を調整しているのが自律神経である。自律神経の働きが乱れることで、体内のホルモン分泌リズムが崩れ、気分の安定や意欲、睡眠といった精神機能にも直接的な影響が現れる。

本症例では、上部頸椎と骨盤部という、いずれも副交感神経支配の領域に問題がみられた。副交感神経の働きが低下すると、身体はそれを補うために交感神経が過剰に働くようになる。交感神経が優位な状態が長く続くと、体は常に緊張を強いられ、筋肉のこわばりや呼吸の浅さ、動悸、さらには漠然とした不安感などが現れる。

上部頸椎の機能障害は、延髄や迷走神経の働きを妨げることで、呼吸・心拍・感情のコントロールに影響を及ぼす。これにより、脳は常に危険を察知するような状態に置かれ、理由のない不安感や焦燥感が続く。

また、骨盤部の機能低下は仙骨副交感神経を介して内臓機能の調整力を弱め、ホルモン分泌のリズムを乱す。こうした自律神経のアンバランスが長期間続いた結果、体と心の両面で慢性的な過敏状態を引き起こしていたと考えられる。

アジャストメントを行うことで、上部頸椎および骨盤部の機能が回復し、副交感神経の働きが整った。これにより過剰に高ぶっていた交感神経の活動が抑制され、自律神経のバランスが安定した。呼吸が深まり、心拍や血流も整い、ホルモン分泌のリズムが正常化することで、神経とホルモンの協調が回復していった。

その結果、脳内でセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の働きも整い、感情の安定と睡眠の質の改善がみられた。患者が「自然に笑えるようになった」「あまり考え込まなくなった」と感じた背景には、この神経とホルモンの協調回復があったと考えられる。

本症例は、不安という感情を単なる心理的な問題として捉えるのではなく、交感神経の過剰反応による生理的反射として理解する重要性を示している。カイロプラクティックケアによって上部頸椎と骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)を取り除き、自律神経とホルモンの協調を取り戻すことが、心の安定を取り戻すうえで極めて有効であることを示した症例である。
自律神経の乱れが招いた全般性不安障害による不安感
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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