腰椎すべり症による激しい腰痛でイスから立ち上がれなくなった

腰椎すべり症による激しい腰痛でイスから立ち上がれなくなった

長時間のデスクワークでも痛みを気にせず、安心して仕事に集中できるようになりました!

40代女性
来院に至った経緯
若い頃は外回りがメインで、歩くことが多かったが、30代後半から管理職に昇進してからはデスクワーク中心の生活に変わった。座っている時間が増えるにつれて、腰に重さを感じるようになり、最初のうちは「座りっぱなしだから仕方ない」と思っていた。

しかし、40代に入るころから、長時間座っていると腰の奥がズーンと重くなり、2時間も経つとハッキリと痛みを感じるようになった。特に午後の会議などで長く座り続けると、腰を支えるのが辛く、姿勢を変えても痛みが抜けず、集中力を保つのが難しくなっていった。

ある日、午前の業務を終えてお昼にしようとイスから立ち上がった瞬間、腰に「ビリッ」と電気が走るような激痛が走った。そのまま腰が抜けるような感覚になり、動けなくなってしまった。午後にはオフィス内を歩くことも困難になり、翌日、整形外科を受診すると「腰椎すべり症」と診断された。医師からは「手術をするほどではないが、安静にしてください」と言われ、痛み止めとコルセットを処方された。

薬を飲んでいる間は少し楽になるが、仕事を再開すると再び痛みが戻り、イスから立ち上がる動作が怖くなった。寝起きから腰痛を感じる日も増え、朝の支度にも時間がかかるようになった。慢性的な痛みが続くことで、気持ちも沈み、日常生活そのものに不安を覚えるようになった。

腕が良いと評判の整体院にも通ってみたが、「腰椎すべり症の方は腰まわりは触れないですね」と言われ、毎回マッサージで筋肉をほぐすだけの施術を受けた。施術直後は一時的に腰が軽く感じるものの、翌朝にはまた同じ痛みが戻り、根本的な改善には至らなかった。

そんなとき、職場の部下が「腰、辛そうですね。うちの母がカイロプラクティックに通って腰痛がすごく良くなったんですよ」と教えてくれた。もともと「すべり症=治らない」と思い込んでいたが、「手術以外で改善した人がいるなら…」という希望が芽生え、最後の頼みのような気持ちで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    腰椎5番から正中仙骨稜にスポンジ状の浮腫

  • 02

    腰部起立筋の過緊張

  • 03

    仙骨第二仙結節の異常な圧痛

経過と内容
初診時の状態では、体表温度検査では、腰椎5番と仙骨第二仙結節に明らかに左右の温度の誤差が確認された。腰椎5番から正中仙骨稜にかけてスポンジ状の強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。また、第二仙結節には異常なほどの圧痛も確認された。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の仙骨の前傾に伴い過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、日々の業務や家事で時間の確保が難しいとのことで、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、立ち上がり動作時の鋭い痛みが軽減し、「イスから立ち上がるときに怖さが減った」と話していた。朝の寝起き時に感じていた強いこわばりも和らぎ、腰全体に動きが出始めていた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、長時間のデスクワーク後に出ていた鈍痛が軽減し、「午後になっても腰が重くならなくなった」と報告があった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

10週目(8回目のアジャストメント)には、立位姿勢の安定性が明らかに向上し、歩行時の腰の不安定感が減少していた。本人も「腰をかばわずにスッと立ち上がれるようになった」と話していた。寝起きの痛みもほとんどなくなり、朝の準備がスムーズに行えるようになっていた。

16週目(11回目のアジャストメント)には、日中の腰痛はほとんど消失し、長時間座っていても腰痛を感じることがなくなった。「会議が続いても痛みを気にせず集中できるようになった」と笑顔で話していた。骨盤の動きが安定し、体幹部の柔軟性も改善していた。

現在は、腰椎すべり症に伴う腰痛は落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスのため、定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のすべり症による腰痛は、骨盤部の中心に位置する仙骨の機能低下が主な原因であったと考えられる。仙骨は脊柱と骨盤をつなぐ要の部位であり、ここに可動性の低下や神経伝達の乱れが生じると、上位である腰椎に過剰な代償負荷が加わる。本症例では特に腰椎5番に持続的な剪断力(ずれる方向の力)が加わり、すべり症を助長していたと推察される。

仙骨の前傾と骨盤の開きが強くなると、腰椎の生理的前弯が過剰となり、いわゆる「反り腰」の状態になる。これにより腰椎5番の椎間板には前方へ押し出されるような力が加わり、椎間関節や神経根に慢性的な圧迫刺激を与える。さらに、こうした構造的負担により腰部起立筋や多裂筋などの深層筋が防御的に緊張し、痛みと可動域制限を繰り返す悪循環に陥っていた。

神経生理学的には、仙骨周囲の神経圧迫によって副交感神経系の働きが低下し、交感神経が優位な状態が長く続いていた可能性がある。交感神経優位の状態では筋肉や靭帯の血流が低下し、組織修復能力が著しく低下するため、痛みが慢性化しやすい。特に管理職として日々緊張感の高い環境に置かれていたことも、自律神経のアンバランスを助長していたと考えられる。

すべり症の場合、直接腰椎に対してアプローチをすることは禁忌となる。このような場合は仙骨部を使って腰椎に掛かっている負担を取るような高い検査力と技術力が求められる。このとき正しい方向、正しい深さで的確にアプローチをできなければ、腰椎すべり症が悪化してしまうため、細心の注意が必要となる。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、仙骨と腰椎5番の神経機能が回復したことで、骨盤全体の支持バランスが整い腰椎に加わる剪断ストレスが軽減された。その結果、腰部の筋緊張が緩和し、関節可動性と循環が回復したことで、椎間板や神経根の炎症反応が沈静化していった。また、自律神経のバランスが正常化したことで、筋肉や靭帯の血流が改善し、組織の再生力が高まり、再発を防ぐ安定した身体機能を取り戻すことができた。

本症例は、腰椎すべり症が単なる構造的変位ではなく、仙骨の機能低下と神経伝達の乱れに起因する全身的な問題であることを示している。骨盤—仙骨—腰椎という機能連鎖を整えることで、神経・筋・構造の調和が回復し、痛みだけでなく姿勢や日常動作の安定性までも改善することを臨床的に示した重要な症例であった。
腰椎すべり症による激しい腰痛でイスから立ち上がれなくなった
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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