突発性難聴による耳鳴りと閉塞感で不安に押しつぶされそうだった日々

突発性難聴による耳鳴りと閉塞感で不安に押しつぶされそうだった日々

お客様の声がハッキリ聞こえるようになり、仕事中も笑顔が戻りました!

40代女性
来院に至った経緯
接客業をしており、長年ホテルのフロント業務を担当していた。常に笑顔を求められる職場環境の中で、神経を使う日々が続いていた。どんなに忙しい日でも表情を崩さずに対応することを心がけ、スタッフの指導やクレーム対応なども率先して引き受ける性格だった。

根が責任感の強いタイプで「自分が頑張らなければ職場が回らない」と感じることも多く、気がつけば休憩時間も削って働くのが当たり前になっていた。

数年前までは、多少の疲労も一晩眠れば回復していたが、40代に入ってからは体のリズムが乱れやすくなり、肩や首の重だるさ、耳鳴り、めまいなどの不調が少しずつ増えていった。

特に繁忙期や季節の変わり目には、耳の奥が詰まるような違和感が出ることが多く、相手の話が聞き取りづらい瞬間があった。本人は「疲れているだけ」と深く考えずにいたが、体のサインを無理に押し込める生活が続いていた。

ある朝、目が覚めると突然右耳の聞こえが極端に悪くなり、「キーン」という高音の耳鳴りが途切れなく鳴り響いていた。まるで水の中にいるような感覚で、自分の声がこもって聞こえる不快感もあった。

仕事を休み、すぐに耳鼻科を受診したところ「突発性難聴」と診断され、ステロイド治療を開始。点滴と内服を続けながら安静を保ったが、数日経っても聴力の戻りは乏しく、医師から「発症から2週間を過ぎると回復が難しくなる」と伝えられた。

その言葉が強い不安を呼び起こし、夜になると耳鳴りが気になって眠れない日が続いた。

治療を始めてから3日経っても耳の閉塞感や高音の耳鳴りは消えず、仕事中に相手の声が聞き取りづらい状況が続いた。特に静かな環境では耳鳴りが際立ち、頭の奥が締めつけられるような圧迫感が生じ、集中力が持たなくなった。

業務中は笑顔を絶やさないよう努めていたが、帰宅後はどっと疲れが出て、家事をする気力も湧かず、週末は寝込むようになっていた。家族にも心配をかけまいと明るく振る舞っていたが、内心では「このまま聞こえが戻らなかったらどうしよう」という恐怖に押しつぶされそうになっていた。

ある日、同じ職場の同僚から「ストレスや自律神経の乱れで耳の不調が出ることがある」と聞き、半信半疑ながらネットで「突発性難聴 自律神経」といった言葉を調べ始めた。

そこでも「突発性難聴は時間との勝負」という記事を何度も目にし、不安ばかりが募っていた。そんなときに当院のホームページにたどり着き、「ここしかない」と直感が働き、藁にもすがる思いで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎右横突起の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起にスポンジ状の強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中D3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では、さまざまな検査所見を加味して週2回のケアを提示した。本人も早期の改善を望んでいたため、週2回のケアから開始した。

1週目(初回のアジャストメント)には、ケア直後から首の奥に温かさを感じ、「頭の中の圧が抜けて軽くなった」と話していた。その日の夜は久しぶりに耳鳴りが弱まり、途切れずに眠れたという。翌朝には「右耳のこもった感じが少し減った」と変化を感じていた。

1週目(2回目のアジャストメント)には、耳の閉塞感がさらに軽減し、「水の中にいるような感覚がかなり薄れた」と話した。耳鳴りの高音が弱まり、断続的に静寂を感じる時間が増えた。施術後には顔の血色も良くなり、「耳の奥まで血が通っていくような感じがある」と表現していた。睡眠も安定し、朝の倦怠感が軽減したことで、仕事中の集中力が戻り始めた。

2週目(3回目のアジャストメント)には、耳鳴りの音がさらに小さくなり、会話中の聞き取りがスムーズになった。本人は「相手の声がはっきり届く」と実感し、仕事への復帰にも前向きな姿勢を見せた。頸部の筋緊張が明らかに緩み、姿勢のバランスも改善。体表温度検査では上部頸椎の左右差がほぼ消失し、神経伝達と血流の正常化が進んでいることがうかがえた。

3週目(5回目のアジャストメント)には、耳の閉塞感は完全に消失し、耳鳴りも日常生活でほとんど気にならない程度に落ち着いた。聴力検査でも高音域の反応が改善し、医師からも「回復が早い」との説明を受けていた。本人は「音が立体的に聞こえる」と話し、表情にも明るさが戻っていた。

4週目(7回目のアジャストメント)には、耳鳴りはわずかな残響を感じる程度となり、仕事にも完全復帰。以前のように声のトーンを気にせず会話ができるようになり、「ようやく自分らしく話せるようになった」と笑顔で語った。首肩の緊張も取れ、睡眠の質が安定。神経系全体の働きが安定したことで、体力と気持ちの両面で余裕が生まれた。

現在は、聴力・耳鳴りともに安定しており、突発性難聴に伴う閉塞感や耳鳴りなどもほとんど落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の突発性難聴は、上部頸椎における可動域制限と神経への持続的なストレスが引き金となり、自律神経の調整機能が崩れた結果として発症したと考えられる。

突発性難聴は一般に、内耳の血流障害や聴覚神経の伝達異常によって生じるとされるが、実際にはその背景に存在する神経系のアンバランスが大きく関与している。本症例でも、第一頸椎右側に浮腫と可動制限が確認され、頸動脈および椎骨動脈の循環経路に影響を与えていた可能性が高い。

上部頸椎は脳幹を包み込むように位置し、その微細な負荷が血流と神経伝達の精度を左右する重要な部位である。この領域での神経機能低下は、聴覚系全体の働きに直結しやすく、特に内耳や脳幹への循環調整に影響を及ぼす。

突発性難聴の発症過程では、内耳血流の一時的な遮断により蝸牛や聴覚神経の活動が低下する。加えて、交感神経が過度に優位となることで血管収縮が起こり、酸素供給が不足する悪循環が形成される。

結果として聴覚受容器の一部が過敏化し、脳が「音を探そう」と過剰反応することで、実際には存在しない音を耳鳴りとして知覚する。この神経過敏の状態は精神的ストレスや睡眠不足によってさらに助長されることが知られている。

患者が発症当初に強い不安と緊張を抱えていたことも、この交感神経の過活動を促進していたと考えられる。

一方で、副交感神経の働きが低下していたことも見逃せない要因である。上部頸椎は迷走神経をはじめとした自律神経の調整に関与するため、この領域に機能障害があると内耳周囲の血流・代謝が低下し、細胞の再生能力が十分に発揮されにくくなる。

本症例ではアジャストメント後、副交感神経の機能が回復するにつれて内耳の血流と代謝が改善し、酸素および栄養供給が促進された結果、聴力の回復が早期に現れたと考えられる。

特に、発症から間もない段階でケアを開始できたことが良好な経過を導いた要因であった。突発性難聴は時間の経過とともに内耳組織の変性が進行しやすく、発症後2週間以内に神経機能を回復させられるかが予後を大きく左右する。

今回、早期に上部頸椎への的確なアプローチを行えたことで、自律神経のバランスが速やかに整い、耳鳴りや閉塞感の改善が短期間で得られた。

本症例は、「耳の症状は耳だけの問題ではない」という臨床的事実を改めて示している。上部頸椎における神経機能と血流の回復は、内耳や脳幹への酸素供給を支える根幹であり、突発性難聴の改善に欠かせない。

今回のケースは、神経系全体の調和を取り戻すことで身体の自然治癒力が十分に働き、結果として聴覚の回復につながったことを示すものであった。サブラクセーション(根本原因)を正確に見極め、神経の働きを正常化させることこそが、突発性難聴の真の回復に必要な要素であるといえる。
突発性難聴による耳鳴りと閉塞感で不安に押しつぶされそうだった日々
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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