眠れないほど悪化した肩こりと頭の重さ

眠れないほど悪化した肩こりと頭の重さ

マッサージも鍼も整体も効かなかった“痛みに変わった肩こり”が解消されました!

40代女性
来院に至った経緯
テレワークが長期化し、仕事・家事・親の介護がすべて重なる生活が続いていた。自分のための時間はほとんどなく、日中はパソコンに向かい続け、夜は家事と介護に追われ、気づけば何ヶ月も「休んだ」という実感のない日々を送っていた。そんな生活の中で、背中の上部から両肩、さらに首から後頭部にかけてまで、まるで板が入っているかのように突っ張り、振り向いたり腕を上げたりするだけで強い張りを感じる状態が当たり前になっていった。

「肩がこる」という軽い表現では済ませられないほどで、常に肩から首にかけて硬い帯を巻きつけられているような圧迫感があり、ひどい時には頭皮にまで重だるさが広がった。多忙のため元々睡眠時間は短かったが、ここ最近は“疲れているのに眠れない”日が増え、布団に入っても肩や首の不快感が気になって神経が休まらず、何度寝返りを打っても楽にならないまま朝を迎えることもあった。眠れない理由が肩のせいなのか、ストレスなのか、自分でも判断できないほど疲弊していた。

症状をなんとかしたくてマッサージには何度も通った。しかし、施術直後は気持ちが良くても、その効果は数時間しか持たず、すぐに元の張りに戻ってしまう。その後、鍼灸院にも足を運んだが、肩の深い部分にある重だるさはまったく変わらなかった。本格的な整体にも通ってみたが、そこでも期待した変化は得られず、むしろ「自分の肩こりは一生付き合っていくしかないのかもしれない」と思うようになっていた。

仕事の負担は減らない。家のことも、介護も待ったなし。肩こりは日に日に強くなり、「こり」というより“痛み”に近い感覚へ変わっていった。肩が重いことが当たり前になり、朝起きても疲れが抜けず、家事に取り掛かる前からすでに肩が張っている。日常生活のすべてが負担に感じられ、このままでは仕事も介護も続けられなくなるのではないかという不安が頭をよぎるようになった。

そんな折、知人から「前田カイロに通って肩こりが良くなった」という話を聞いた。何十年も肩こりに悩んでいた人だったため、その言葉には強い現実味があった。半信半疑の気持ちはあったものの、背中から首、後頭部まで広がる異常なこわばりに耐え続けることはもはや限界で、わずかな希望にすがる思いで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    脊柱起立筋全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起にスポンジ状の強い浮腫が確認され、脊柱起立筋は全体的に過緊張の状態であった。通常、背中は後弯カーブがあるが、背中はまっ平らな状態で生理的な弯曲が減少していた。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、仕事に家事・育児・介護と多忙を極めていたため、無理のない範囲で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、施術直後から背中の圧迫感がわずかに軽くなり、「肩の重さが少し抜けた感じがする」との変化があった。睡眠はまだ浅い日が続いたが、起床時の首の突っ張りが初診時よりも軽減していた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、肩から首への強い張りが半分ほどに減少していた。日中のパソコン作業で感じる締めつけ感が緩和され、夕方になると必ず出ていた後頭部の重だるさが出ない日が増えていた。家事の最中の肩の痛みも軽減し、「夜に寝つきやすくなった」と本人から報告があった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

12週目(9回目のアジャストメント)には、朝起きたときの肩の硬さが大きく減少し、夜間の寝返りでも痛みを感じなくなっていた。これまで毎日のように通っていたマッサージに行く必要がなくなり、「気づけば肩が気にならない時間が長くなっている」と明確な変化を実感していた。仕事中の肩の盛り上がるような緊張もかなり和らぎ、介護の動作で痛みが走ることもなくなっていた。

18週目(12回目のアジャストメント)には、肩こりとして感じていた“痛みの段階”がほぼ解消されていた。首から後頭部にかけて広がっていた強い突っ張りは消失し、背中全体に余裕が生まれたことで、深く呼吸ができる感覚も取り戻していた。仕事量は相変わらず多かったものの、疲れていても布団に入れば自然に眠れるようになり、翌朝のスッキリ感が戻っていた。

ほとんどの症状が落ち着いており、日常生活の中で「肩こりを気にしない日」が当たり前になった。再発防止と今後の生活負荷に備えるため、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の肩こりは、骨盤部と上部頸椎に存在していたサブラクセーション(神経機能の滞り)によって、副交感神経の働きが低下し、交感神経が長期間にわたり過剰に優位となっていたことが主な要因であったと考えられる。骨盤部(仙骨領域)と上部頸椎はどちらも副交感神経と深く関係する領域であり、この部分の神経機能が低下した状態が続くと、身体を休ませるべき副交感神経が十分に働けなくなる。つまり、本来ブレーキとして働く神経が機能しないことで、アクセルである交感神経が必要以上に踏み続けられる状態になり、筋緊張・循環不全・睡眠障害へとつながる。

本症例では、テレワークによる長時間の座位姿勢、家事・育児・介護の連続、休息時間の不足といった生活習慣が重なり、身体全体が常に緊張を強いられている状態が続いていた。背中の生理的弯曲が消失し、脊柱起立筋全体に強い過緊張が生じていた所見は、副交感神経の低下によって全身の防御反応が持続し、交感神経が過剰に働き続けていたことを示している。本人が「疲れているのに眠れない」と訴えていた点も、まさにこの自律神経の破綻を反映していた。

サブラクセーションが取り除かれ始めると、副交感神経の働きが徐々に回復し、過度に優位となっていた交感神経の緊張が自然に緩和していく。この神経バランスの回復が、まず肩や背中に“余裕が生まれる感覚”として表れ、その後、筋緊張のコントロール、循環の改善、姿勢の安定へと連動していった。肩の張りや重さが軽減し、後頭部の重だるさが消えていった変化は、筋肉そのものの硬さが取れたというより、神経が休息と活動の切り替えを正常に行えるようになった結果である。

睡眠の改善がみられたことも重要である。副交感神経が働けるようになることで、入眠時の身体の緊張が緩み、眠りの質が上がり、翌朝の回復感が戻っていく。これは、単に「よく眠れた」という主観的な変化ではなく、神経システム全体の負荷が軽減され、身体が本来の回復サイクルを再獲得したことを示している。

結果として、慢性的に続いていた肩こりは、筋肉を揉んだり、一時的に血流を促すだけでは決して改善しなかった深層の問題であったにもかかわらず、神経機能の正常化とともに段階的に解消していった。生活の負荷そのものは大きく変わっていないにもかかわらず、肩こりが“痛み”として感じられなくなっていった点は、まさに神経の働きが再統合され、身体が本来の恒常性を取り戻した証拠と言える。

本症例は、テレワーク・家事・育児・介護といった多重負荷によって交感神経が過剰に働き続けた結果、深刻な肩こりと睡眠障害が生じていたケースであった。カイロプラクティックケアによって副交感神経の働きが回復し、筋緊張・姿勢・睡眠といった複数の要素が統合的に改善していった経過は、肩こりを単なる“筋肉の問題”として捉えるべきではないことを示す臨床例であった。
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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