理由のない不安感と眠れない夜に悩まされた睡眠障害

理由のない不安感と眠れない夜に悩まされた睡眠障害

落ち着きを取り戻し、心も体も安定して過ごせるようになりました!

50代男性
来院に至った経緯
二人の娘も成人を迎え、家庭的にはひと段落ついた時期であった。社会人生活でもこれまで順調に昇進を重ね、経済的にも将来的な不安はそれほど大きくはなかった。

それにもかかわらず、理由もなく胸の内に落ち着かない感覚が湧き上がり、常にソワソワとしてしまう自分に気づくようになった。職場内で孤立しているわけでもなく、家庭内に居場所がないわけでもない。それでも説明のつかない不安感が続くことが不思議でならなかった。

心療内科を受診すると「不安障害の傾向がある」と言われ、抗不安薬を処方された。しかし薬を飲むと一時的に心は落ち着くものの、どこか本質的には変わっていないような感覚が残り、「このまま薬を飲み続けるだけで本当に良いのだろうか」と疑問を抱き続けていた。

自分なりに状況を改善しようと、軽いジョギングやストレッチを習慣にしたり、整体やマッサージにも通ってみた。しかし一時的な気分転換にはなるものの、不安そのものが解消することはなく、根本的な改善にはつながらなかった。

そんな中で、妻から「最近ボーっとしてない?」と言われたり、娘からは「お父さん、なんだか前より暗くなったね。大丈夫?」と心配されることが増えた。その言葉を受けて、自分の内面だけでなく外から見ても変化が表れていることに気づき、事態をより深刻に受け止めるようになった。

若い頃は物事を前向きにとらえ、不安に駆られることはほとんどなかった。それだけに、なぜ今になって理由もなく心が落ち着かないのか、自分自身でも理解できず戸惑いは深まる一方であった。

特に夜間は不安感が強く、眠ろうとしても頭が冴えてしまい、浅い眠りのまま朝を迎えてしまう日が続いた。眠りが浅いせいで日中の集中力も途切れやすくなり、「このままでは心身ともに壊れてしまうのではないか」という恐怖が募っていった。

ある夜、強い不安感で全く眠れないまま朝を迎えたとき、「薬や一時的な気分転換ではなく、本当に体の根本から変わる方法を探さなければならない」と強く決意した。インターネットで「中年の危機(ミッドエイジクライシス)」という言葉に行き当たり、心と体の不調には自律神経の問題が深く関わっているのではないかと考えるようになった。

そうした過程で自律神経の改善に力を入れている治療院を探していたところ、当院のホームページを見つけ、「神経の働きを整えることで心身の安定を取り戻す」という説明に強く共感した。そこで「ここなら本当に根本から改善できるかもしれない」と感じ、来院を決断するに至った。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや椎骨の変性が確認された。首の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、平日の夕方に都合をつけられるのは1回が限界とのことだったので、平日1回と週末1回の週2回のケアから開始した。

4週目(8回目のアジャストメント)には、依然として強い不安感が夜間に出ることが多かったが、以前のように一晩中眠れないという日は減ってきた。本人も「少しだけ眠りに入りやすくなった気がする」と話すようになり、小さな変化を実感し始めていた。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

9週目(13回目のアジャストメント)には、日中に理由もなく胸がざわつくような不安感が軽減し、仕事に集中できる時間が以前よりも増えてきた。妻からも「最近は顔色が良くなった」と言われるようになり、家庭での会話も少しずつ明るさが戻りつつあった。

15週目(19回目のアジャストメント)には、夜の浅い眠りが改善し、途中で何度も目が覚めることが減ってきた。深い眠りを実感できる日が増えたことで、日中の疲労感や倦怠感が軽くなり、「朝起きても気持ちが前より楽だ」と本人が語るようになった。この段階でケアの間隔を週1回に広げることができた。

23週目(27回目のアジャストメント)には、以前のように漠然とした不安感に支配される時間はほとんどなくなり、気分の浮き沈みも安定してきた。家族からも「前のお父さんに戻ってきた感じがする」と言われ、本人も趣味や外出を楽しむ余裕を取り戻していた。

現在は、不安感や睡眠障害といった主な症状は落ち着いているが、ホルモンバランスや自律神経の安定を維持するために、体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の不安感は、自律神経の乱れによりホルモン分泌異常と脳内伝達物質の不均衡が引き起こされていたと考えられる。

更年期障害といえば女性を連想しがちであるが、実際には男性にも同様の現象が起こる。男性の場合は、テストステロンの分泌低下が進むことで、気分の落ち込みや不安感といったメンタル面の不調が現れることは決して珍しくない。

患者においても、集中力の欠如、気分の沈み込み、睡眠障害といった症状が確認され、家族からも「暗くなった」「ぼーっとしている」と心配される変化が見られていた。ここで重要なのは、同じ年齢層でも強い不安感を示す人とそうでない人が存在するという点であり、その違いは自律神経の安定性にあると考えられる。

体内には100種類以上のホルモンが存在し、その分泌をコントロールするのが自律神経である。同時に精神面に深く関わるのがセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンといった脳内伝達物質である。

交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、これらの放出リズムが乱れ、心身の安定が損なわれる。特に交感神経が過剰に優位になると、体は常に「戦う・逃げる」反応を維持するため、コルチゾールのようなストレスホルモンが増加し、反対にセロトニンやメラトニンといった安定・睡眠に関わるホルモンの働きが抑制される。その結果、不安感や不眠といった症状が強まりやすくなる。

また、セロトニンの大部分(約90%)は腸で分泌されるが、脳から分泌されるわずか2%ほどが精神の安定に大きく寄与していることも知られている。自律神経の乱れが腸の働きやセロトニンの伝達に影響を及ぼすことで、気分の不安定さがさらに助長されるという悪循環も考えられる。

今回の検査では、骨盤部と上部頸椎という副交感神経の支配領域に顕著な反応が確認された。副交感神経の働きが抑制されることで交感神経が過剰に優位となり、脳内伝達物質やホルモン分泌のバランスが乱れていたと推測される。その結果、理由の説明がつかない不安感や睡眠障害が慢性的に続いていたのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが回復したことで、ホルモンと脳内伝達物質の働きが安定化した。その過程で不安感が軽減し、睡眠の質も改善していったことは臨床的に明らかである。あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例であった。
理由のない不安感と眠れない夜に悩まされた睡眠障害
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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