日常生活にも影響した更年期のホットフラッシュと不定愁訴

日常生活にも影響した更年期のホットフラッシュと不定愁訴

眠れない夜と止まらない発汗が落ち着き、安心して毎日を過ごせるようになりました!

40代女性
来院に至った経緯
40代半ばを過ぎた頃から、突然顔がカーッと熱くなり、全身から汗が噴き出すようになった。典型的なホットフラッシュであり、最初は「更年期の入り口かもしれないけれど、そのうち落ち着くだろう」と軽く考えていた。

しかし発作の頻度は日に日に増え、通勤電車の中や職場での会議、買い物中や家族との外食といった、人の目がある場面で起こることが多くなり、周囲の視線を気にして強い恥ずかしさを感じるようになった。

夜間も例外ではなく、寝入りばなや明け方に強い熱感で目が覚めてしまい、汗でパジャマやシーツを何度も変えざるを得なかった。慢性的な睡眠不足で翌朝は体が重く、頭がすっきりせず、一日中ぼんやりと過ごすことも増えていった。

仕事中の集中力は落ち、ちょっとしたことでイライラしたり、逆に気持ちが沈んで涙が出てしまうなど、精神的にも不安定な状態に陥っていった。

ホットフラッシュだけでなく、動悸や肩こり、全身の倦怠感、めまいといった不定愁訴も重なり、「このまま自分の体は壊れていくのではないか」という不安が募った。家庭では子育てや家事に気力が湧かず、家族と一緒に過ごす時間を心から楽しめなくなっていた。

自分でも「母親としても妻としても、このままではいけない」と感じながらも、体が思うように動かないもどかしさに苛まれていた。

婦人科を受診すると「ホルモンの変化による自然な現象です」と説明され、ホルモン補充療法や漢方薬を勧められた。しかしホルモン補充療法は副作用への不安から続けられず、漢方薬も大きな変化は得られなかった。

サプリメントやアロマ療法なども試したが、どれも一時的な気休めにとどまった。「結局、何をやっても変わらないのだろうか」と諦めかけていたとき、同じ年代の友人と体調の話になった。

その友人もかつてホットフラッシュに悩んでいたが、今では症状をほとんど感じないという。その理由を尋ねると、「実はカイロプラクティックに通うようになって楽になった」と教えてくれた。以前より表情が明るく元気そうな友人の姿を見て、最初は意外に思ったものの「本当に自分にも効果があるかもしれない」と希望が湧いた。

友人から具体的に当院を紹介してもらい、これまで婦人科や代替療法を試しても改善しなかった経験を振り返りつつ、「ここなら根本的に体を整えられるかもしれない」と感じ、来院を決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

レントゲン評価やその他の検査所見、また患者の状態も加味して初期集中期の段階では週2回のケアから開始した。

2週目(4回目のアジャストメント)には、依然としてホットフラッシュは毎日のように起こっていたが、夜間に汗で目覚める回数が減り、以前より眠りが深まったと感じるようになった。翌朝の倦怠感もわずかに軽減し、「体が少し休めている」との実感が出てきた。

4週目(7回目のアジャストメント)には、日中のホットフラッシュの発作が短時間で収まるようになった。以前は会議や人前で突然発症すると動揺し、汗が引かずに強い恥ずかしさを感じていたが、この頃からは発作が出ても以前ほど長引かず、気持ちの上でも余裕が生まれた。また、慢性的だった肩こりも軽快し、動悸を感じる頻度も減少していた。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

10週目(13回目のアジャストメント)には、夜間のホットフラッシュはほとんどなくなり、睡眠の質が大きく改善された。熟睡感が得られるようになったことで、日中の集中力も回復し、仕事への意欲が戻ってきた。家族と過ごす時間にも以前のように前向きに取り組めるようになり、精神的にも安定感が増していた。

17週目(20回目のアジャストメント)には、ホットフラッシュそのものを感じることは稀になり、更年期特有の不定愁訴も大幅に軽減された。患者自身も「体が軽くなり、気持ちも安定している」と実感しており、生活全体の質が向上していた。この時点でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

現在は、ホットフラッシュ以外の更年期特有の不定愁訴もほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のホットフラッシュは、自律神経の乱れが根本的な要因であったと考えられる。更年期といわれる年齢になると、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量は自然に低下する。しかし本来であれば、脳と卵巣が神経を介して正しく情報をやり取りしていれば、ホルモン量の減少があってもホットフラッシュを代表とする更年期障害は発症しない。

ところが、本症例では脳と卵巣を繋ぐ神経機能に異常が生じていたと考えられる。そのため脳は「卵巣からホルモンが分泌されていない」と誤った認識をし、分泌を促す命令を送り続ける。しかし、すでに役割を終えつつある卵巣はその命令に応じることができない。この不一致により脳は混乱し、なぜ命令に従わないのかとさらなる信号を発し続ける。結果としてその信号は交感神経を刺激し続け、自律神経のバランスを崩し、顔のほてりや発汗といったホットフラッシュをはじめとする更年期症状を引き起こすのである。

加えて、初診時の検査では骨盤部と上部頸椎という、副交感神経の支配領域に強い反応が確認された。副交感神経の機能が低下すると、交感神経が過敏に働いてもそれを抑えるブレーキが効かず、ホットフラッシュや動悸、不眠といった更年期症状を増悪させる要因となる。

さらに交感神経が優位な状態が長く続くと、体全体が過緊張を起こしやすくなり、特に姿勢を支える筋群である脊柱起立筋の慢性的な緊張を助長していた。このような悪循環が患者の症状を長引かせていたと解釈できる。

骨盤部と上部頸椎に存在していたサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、副交感神経の働きが回復し、交感神経とのバランスが整った。結果として血管運動が安定し、ホットフラッシュの頻度や強さは次第に軽減された。あわせて睡眠の質や気分の安定も回復し、生活全体の質が大きく改善した。

今回の症例は、単なるホルモン分泌の変化に留まらず、自律神経機能の不均衡が更年期障害の本質に深く関わっていることを示している。神経の流れを整え、体の情報を脳に正しく届けることの重要性をあらためて浮き彫りにした症例であった。
日常生活にも影響した更年期のホットフラッシュと不定愁訴
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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