日常生活が送れなくなった頻脈性不整脈による動悸発作

日常生活が送れなくなった頻脈性不整脈による動悸発作

原因不明とされた不整脈が落ち着き、再び安心して日常を取り戻せました!

40代男性
来院に至った経緯
若い頃から体を整えることに興味があり、社会人になってから20年以上、整体やマッサージに通ってきた。

肩こりや腰痛を和らげる目的でマッサージやストレッチ中心の整体院に行くこともあれば、首や腰を強くひねってボキボキと音を鳴らす施術を受けたこともあった。

しかし、症状が一時的に軽くなるだけで「その場しのぎにすぎないのではないか」という疑問を抱くことも少なくなかった。

40代に入り、管理職として責任ある立場を任されてからは生活リズムが乱れ、終電近くまで残業する日が続くようになった。疲れやすさを感じ、階段を上るだけで息切れすることが増えた。

ある晩、深夜のオフィスで突然心臓がドキドキと暴れ出し、吐き気と寒気に襲われたときには、「このまま心臓が止まるのではないか」と本気で恐ろしくなった。

その後も、動悸が起こるたびに「またあの恐怖が来るのではないか」と不安に怯え、満員電車や会議室のような逃げ場のない場所では発作が起きるのではと心配で集中できなくなった。

次第に外出や人との予定すら億劫になり、仕事や家庭にも悪影響を及ぼしていた。不安になり病院で精密検査を受けた結果、「頻脈性不整脈」と診断された。

しかし心臓や脳には器質的な異常はなく、「ストレスが原因でしょう」「疲れをためないように」と言われるだけであった。薬を飲んでも根本的な変化はなく、発作の恐怖と「なぜ自分がこんな状態なのか分からない」もどかしさだけが募っていった。

そんなとき、偶然YouTubeで塩川満章先生の動画を目にした。薬や一時的な対処ではなく、神経の働きを整えることで体を根本から改善していく考え方や、同じように不整脈や自律神経の乱れに悩んでいた人の体験談を目にし、「自分が求めていた答えはこれだ」と強い衝撃を受けた。

調べてみると、その塩川先生の弟子が藤沢駅前で開院していることを知った。今までどこに行っても答えが見つからなかったが、「ここなら本当に自分の不安を理解してくれる」と確信し、迷いなく来院を決めた。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部左胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、動悸の強さそのものは続いていたが、発作後に長時間ぐったりするような極端な疲労感は減り、回復が早くなってきた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、階段を上がったときの息切れが和らぎ、以前よりも呼吸が楽に感じられるようになった。動悸の頻度も少しずつ減り始め、「今日は出なかった」という日が出てくるようになった。

12週目(12回目のアジャストメント)には、夜中に突然動悸で目が覚めることがなくなり、ぐっすり眠れる日が増えた。日中の集中力も少しずつ戻ってきて、「仕事を途中で中断せずに続けられるようになった」と本人も変化を実感していた。

20週目(20回目のアジャストメント)には、動悸は週に1回あるかないかの程度に落ち着き、発作が出ても短時間で自然に収まるようになった。この頃には「久しぶりに普通の生活が戻ってきた」と笑顔で話すようになり、体力の消耗感も大幅に軽減されていた。

現在は、不整脈の症状は落ち着いたが、心身の安定を維持するために定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の頻脈性不整脈は、心臓や脳に器質的異常がないことから、心拍数調整のメカニズムに関与する自律神経の不安定さが背景にあったと考えられる。

心拍リズムは洞結節から発生する電気信号によって維持されるが、その活動は交感神経と副交感神経(主に迷走神経)の拮抗支配を受けている。

交感神経はノルアドレナリンを介して心筋のβ1受容体を刺激し、洞結節の発火頻度を上昇させる。一方、副交感神経はアセチルコリンを介してM2受容体を刺激し、洞結節の脱分極速度を抑制する。つまり、両者のバランスが取れていることで心拍数は安定している。

しかし慢性的なストレスや過労が続くと、視床下部―下垂体―副腎(HPA軸)が過剰に作動し、交感神経優位な状態が長期化する。その結果、心拍変動(HRV)は低下し、心拍リズムの柔軟な調整ができなくなる。

特に迷走神経機能の低下は、不整脈の発症リスクを高めることが数々の研究で報告されている。検査で確認された上部頸椎と仙骨部は、自律神経系の副交感神経と密接に関係する部位である。

また、上部頸椎への負荷は頸静脈孔を通過する迷走神経への機械的・循環的ストレスを引き起こし、心臓への副交感神経支配を不安定にさせる要因となる。一方、仙骨部は骨盤内臓神経を介して副交感神経機能に関わっており、この領域の機能低下も全身の自律神経調整に影響を及ぼす。

迷走神経が安定して働くようになると、洞結節の過剰な発火が抑制され、心拍数の変動性(HRV)が改善する。結果として、心拍リズムが安定し、不整脈や動悸の頻度が減少していったと考えられる。

臓器などに器質的な異常がない場合、頻脈性不整脈による動悸などは「今、体に負担が掛かっていますよ。」と体が教えてくれているSOSのサインである。アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、神経伝達を介して体の情報を脳へ届けることの重要性がわかる症例であった。
日常生活が送れなくなった頻脈性不整脈による動悸発作
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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