失恋による食欲不振と吐き気に苦しみ、食べることが怖くなった女性

失恋による食欲不振と吐き気に苦しみ、食べることが怖くなった女性

心と体のバランスが整い、食事を楽しめるようになりました!

20代女性
来院に至った経緯
アパレル関係の仕事に就いて3年目。おしゃれが好きで、常に笑顔を絶やさず明るく振る舞う性格だった。アパレル店員という職業柄、スタイルには常に気を使っていた。プライベートでは2年付き合っていた恋人との時間を何よりの楽しみにしていた。

しかし、ある日ふとした会話の中で恋人から「最近、太ってきてない?」という言葉を投げかけられた。その一言がきっかけで、自分の中で何かが崩れた。もともとスタイルには自信があっただけに、「太った」と言われたことが耐え難く、強いショックを受けた。そこから過度な食事制限と運動を始め、数字ばかりを気にするようになっていった。

体重は順調に落ちていったが、心はどんどん疲弊していった。食べたいのに食べることが怖くなり、次第に笑顔も減った。そんな中、恋人から突然の別れを告げられた。「努力しても認めてもらえなかった」「自分には価値がないのかもしれない」と深い虚無感に襲われ、何も手につかなくなった。

それでも「このままじゃいけない」と気持ちを立て直そうと、友人を誘ってスウィーツ食べ放題に出かけた。「食べて忘れよう、思い切り笑おう」と自分に言い聞かせていたが、テーブルいっぱいに並んだケーキを目にした瞬間、喉が締めつけられ、強い吐き気に襲われた。フォークを持つ手も震え、結局ほとんど口にできないまま店を出た。

その翌日から、食べ物を見るだけで吐き気を感じるようになった。匂いにも敏感になり、職場のランチタイムですら苦痛になった。1週間も経つ頃には、ゼリーなど流動食を口にするのがやっとで、体重はさらに減少。

同僚から「なんかやつれてない?大丈夫?」と心配されるようになり、鏡を見るたびに頬がこけていく自分を見て、「どうしてこうなったんだろう」と涙がこぼれた。

病院では「精神的なストレスが原因でしょう」と言われただけで、具体的な治療法も提示されなかった。「食べなきゃいけない」と頭では分かっていても、体が受けつけない。そんな日々が続き、仕事中もふらつきや冷えがひどくなっていった。

ある日、母親と電話で話していたときに、「最近、声が元気ないね」と心配された。食欲がなくなってから人と会うのも億劫になり、母親にも本当のことを話していなかった。思い切って「ご飯を食べると気持ち悪くなる」と打ち明けると、しばらく沈黙のあと、「それ、ちゃんと体を診てもらった方がいいんじゃない?」と言われた。

数日後、母親が「藤沢に自律神経を専門にみてくれるカイロプラクティックがあるみたい」と連絡をくれた。最初は「腰が痛いわけでもないのに、私が行ってもいいのかな」と迷ったが、ホームページを見て「心と体のつながり」という言葉に強く惹かれた。

ページを読み進めるうちに、自律神経と胃腸の働きが深く関係しているという説明に納得感があり、「ここなら、ちゃんと話を聞いてもらえるかもしれない」と感じ、勇気を出して当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜にスポンジ状の浮腫

  • 02

    脊柱起立筋全体の過緊張

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また正中仙骨稜と第一頸椎右横突起にスポンジ状の強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と脊柱起立筋は全体的に過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中2段階のD2レベルで仙骨前方への傾きによる過前弯、いわゆる反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中2段階の慢性的なD2レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

食欲不振による体重低下が顕著であり、固形物がほとんど食べられないような状態であったため、検査所見から初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、食事の際に感じていた強い吐き気がやや軽減し、スープやおかゆなどの柔らかい食事が少量ながら摂れるようになった。睡眠中に浅い呼吸が多く、寝ても疲れが取れないと訴えていたが、アジャストメント後は「少し眠れるようになった」との変化を感じ始めた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、朝の目覚めが以前よりも軽くなり、仕事中のふらつきや冷えが減少した。これまで食事中に「喉が詰まるような感覚」があったが、それが和らぎ、「おにぎり半分くらいなら食べられるようになった」と笑顔で話すようになった。表情にもわずかな明るさが戻り、声のトーンも変化が見られた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、昼食を取る時間を意識して確保できるようになり、食後の気分の落ち込みも減少した。「久しぶりに甘いものが美味しいと感じた」と話すなど、食べることに対する恐怖心が薄れていった。この頃から下腹部の温かさを感じるようになり、体温が安定してきた。

17週目(11回目のアジャストメント)には、食事量が徐々に増え、体重も少しずつ回復してきた。外食をしても体調を崩すことがなくなり、「友人と一緒に食事を楽しめるようになった」と話すなど、食に対する前向きな感情が戻ってきた。体力も安定し、仕事後に散歩をする余裕が出てきた。

現在は、食事に対する抵抗感や吐き気はほとんど消失し、食欲も安定している。精神的にも落ち着きが見られ、表情や会話にも明るさが戻った。再発防止と自律神経の安定を維持するため、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の食欲不振は、精神的ストレスによって自律神経の機能が乱れ、消化機能を司る副交感神経の働きが著しく低下していたことが原因であったと考えられる。

強い感情的ショックを受けた際、交感神経が過度に優位となり、体は「防御モード」に入る。その状態が長期間続くと、副交感神経が抑制され、胃や腸の働きが鈍化し、食欲の低下や吐き気が生じる。本症例では、失恋という心理的ストレスがきっかけとなり、脳幹を介した神経機能のアンバランスが引き起こされていたと考えられる。

上部頸椎へのアプローチは、脳幹から出る迷走神経の働きを整え、自律神経系全体のバランスを回復させるうえで重要である。迷走神経は副交感神経の主経路として胃・腸・心臓などの臓器機能を直接的に調整しており、この領域の神経干渉が解消されることで、消化器系の働きと精神的安定の両方に良い影響を与えることができる。

一方、仙骨(正中仙骨稜)へのアプローチは、骨盤内に分布する副交感神経の末梢機能を高めるうえで欠かせない。仙骨部の可動性低下は、骨盤内の循環や神経伝達を妨げ、身体全体の自律神経リズムを乱す要因となる。仙骨の可動性が回復することで、下腹部の血流が促され、消化器・生殖器系を含む内臓機能の調整が円滑になる。

上部頸椎と仙骨は、どちらも副交感神経支配の領域であり、この2点を整えることで、脳から内臓へ至る神経のリズムが全身で統合される。アジャストメントによって神経の流れが正常化したことで、心身が落ち着きを取り戻し、食事への恐怖心が薄れ、自然と食欲と代謝リズムが回復していったと考えられる。

本症例は、心理的ストレスによって乱れた神経機能が、脊柱を介して身体症状として現れることを示している。上部頸椎と仙骨という自律神経の要所を整えることで、心と体の連携が回復し、生命活動のリズムが再び正常に戻っていく。

この神経機能の回復こそが、人間が本来持つ治癒力を取り戻す鍵であり、サブラクセーション(根本原因)を取り除く意義を明確に示す症例であった。
失恋による食欲不振と吐き気に苦しみ、食べることが怖くなった女性
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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