原因不明の腹痛を伴う下痢で毎日4~5回トイレに駆け込む

原因不明の腹痛を伴う下痢で毎日4~5回トイレに駆け込む

下痢や腹痛が落ち着き、安心して仕事にも集中できるようになりました!

30代男性
来院に至った経緯
半年前ほどから、原因のわからない下痢が続くようになった。最初のうちは「食あたりかな」「ストレスのせいかもしれない」と軽く考えていたが、症状は一向に改善せず、気づけばほぼ毎日4〜5回トイレに駆け込むようになっていた。

最初に症状を感じたのは、仕事中に突然お腹がゴロゴロと鳴り、強い腹痛とともに下痢を起こしたときだった。その後も似たような腹痛と下痢が繰り返され、特に朝の出勤前や昼食後に腹痛が起こりやすくなった。下痢のたびに体が冷えるような感覚があり、トイレに行った後はしばらく脱力感が続くようになった。

食事内容を見直し、脂っこいものや刺激物を避けてみたが、症状に変化はなかった。整腸剤や市販の下痢止めを試しても一時的に落ち着くだけで、翌日にはまた同じような腹痛と下痢が繰り返された。朝起きてから出勤するまでのわずかな時間にも腹痛が起こることがあり、家を出るのが怖くなる日もあった。

心配になって内科を受診し、血液検査や便検査を受けたが、特に異常は見つからなかった。「過敏性腸症候群(IBS)の可能性がある」と言われ、ストレスや自律神経の乱れが関係しているのではないかと指摘された。医師からは「しばらく様子を見ましょう」と言われたが、原因がはっきりしないまま下痢が続き、不安と苛立ちが募っていった。

職場では急な腹痛で何度も席を立つことが増え、会議中や外出時にも「トイレに行きたくなったらどうしよう」という不安が常につきまとうようになった。人と話していても頭の片隅では常に「またお腹が痛くなったらどうしよう」と考えてしまい、集中力が続かない。精神的なプレッシャーからさらに症状が悪化し、外食を避けるようになり、生活そのものに支障をきたしていた。

夜になると下腹部が張るような違和感があり、腸が休まっていないような感覚が続いた。睡眠の質も悪く、朝起きてもスッキリせず、常に体が重だるい状態だった。こうした状態が長く続いたことで、「このまま一生、下痢が治らなかったらどうしよう」という不安が強まり、気持ちまで沈みがちになっていた。

そんなとき、学生時代の友人が銀座の塩川カイロプラクティックに通っており、「自分が通っているカイロプラクティックは自律神経に強いところで、グループ院が藤沢にあるみたいよ」と当院を紹介された。

自分でも「この下痢は自律神経の問題じゃないか」と考えていたタイミングだったので、「これで少しでも変わるなら」と藁にもすがる思いで、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    上部腰椎の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、左仙腸関節と上部腰椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左仙骨翼と上部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、平日は残業も多く通院が難しいとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、下痢の回数が1日4〜5回から2〜3回へと減少し、「朝の通勤前の腹痛が少し楽になった」と話していた。腹部の張り感が軽くなり、体の緊張が和らいだことで睡眠の質にも改善がみられた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、下痢の回数がさらに減少し、1日1〜2回の通常便の日も出てきた。体表温度検査では骨盤部の左右差が縮小し、上部腰椎の浮腫も軽減していた。本人も「お腹が冷えにくくなった」と話し、体全体の温かさを感じるようになっていた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、下痢はほとんどみられなくなり、食後の腹痛も消失していた。以前は外食を避けていたが、「人と食事に行ってもトイレの心配をしなくなった」と笑顔で話していた。この頃には睡眠の質も安定し、朝の目覚めが軽くなったと実感していた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

12週目(10回目のアジャストメント)には、下痢症状は完全に落ち着き、腸の働きが安定していた。体表温度検査では骨盤部の左右差はほとんどなく、仙腸関節と上部腰椎の可動域も良好に保たれていた。体調全体が安定し、仕事にも集中できるようになった。

現在は、下痢や腹痛の症状は完全に改善しているが、再発防止と自律神経安定のため定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の痛みを伴う下痢は、骨盤部の機能低下から、その補正作用によって大腸と繋がる上部腰椎に二次的負荷が掛かっていたことが原因であったと考えられる。

上部腰椎は自律神経のうち交感神経支配と深く関係しており、この部位の神経機能が乱れると腸の運動リズムや分泌機能に直接的な影響を及ぼす。交感神経が過剰に優位になると、腸管の蠕動が不均衡となり、一時的に過活動を起こして激しい腹痛や下痢を伴うことがある。さらに、腸の血流が制限されることで粘膜防御が低下し、腹部全体の違和感や冷感、慢性的な倦怠感を生じることも少なくない。

通常、胃腸の動きは副交感神経が優位なときに活発に働く。副交感神経が適切に機能していれば、腸の蠕動運動や消化液の分泌がスムーズに行われ、排便リズムも安定する。しかし、交感神経に問題があると、腸は「戦う・逃げる」反応を示すような過緊張状態に入り、腸内の内容物が急速に押し出される結果、激しい下痢として排出される。

上部腰椎のような交感神経部位は、骨盤部の補正によって二次的負荷を受けるケースが非常に多く、骨盤のわずかな歪みや仙腸関節の可動制限でも神経系の興奮バランスが崩れてしまう。したがって、どの神経系に負荷が掛かっているのかを正確に見極める検査力が何よりも重要となる。

アジャストメントによって上部腰椎と骨盤部の神経機能が回復すると、自律神経のバランスが整い、腸管の過剰な収縮反応が抑えられる。これにより、腸は副交感神経優位の安定した状態を取り戻し、蠕動運動が正常化したことで、痛みや下痢といった症状が自然と消失していったと考えられる。さらに、神経機能の回復は内臓だけでなく、全身の循環や体温調節にも良い影響を与え、睡眠リズムや精神的安定にもつながった。

本症例は、一見すると単なる消化器系のトラブルに思える下痢であっても、その根底には自律神経の機能異常が存在していることを示している。すなわち、カイロプラクティックが目指す「神経機能の正常化」は、胃腸の働きの回復だけでなく、全身の恒常性を取り戻すうえで欠かせない根本的アプローチであることを裏づける症例であった。
原因不明の腹痛を伴う下痢で毎日4~5回トイレに駆け込む
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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