何度も繰り返すぎっくり腰と慢性的な腰痛に苦しんだ配送ドライバー

何度も繰り返すぎっくり腰と慢性的な腰痛に苦しんだ配送ドライバー

コルセットに頼らず動けるようになり、腰痛が気にならなくなりました!

40代男性
来院に至った経緯
子どもの頃からサッカーが好きで、学生時代は部活動にも打ち込んでいた。特に大きなけがをしたこともなく、体力にも自信があり、周囲からも「頑丈だ」と言われていた。社会人になってからは配送業の仕事に就き、体を動かすことが日常となった。

若い頃は、重い荷物を持っても腰に痛みを感じることはなかった。しかし、30歳を過ぎたあたりから仕事終わりに腰の重さを感じるようになった。最初のうちは「少し疲れているだけだろう」と思い、マッサージに通うと翌日にはスッキリしていたため、特に気に留めなかった。

ところが35歳のとき、人生で初めてぎっくり腰を発症した。ほんの軽い荷物を持ち上げた瞬間、腰から下半身にかけてビリッと電気が走り、そのまま動けなくなった。幸い、数日で仕事に復帰できたものの、その出来事をきっかけに「腰に不安を抱えた生活」が始まった。

それ以降、腰痛は慢性的になり、仕事中も常に腰痛を感じるようになった。整体に通うと少しは楽になるが、翌日には再び痛みが戻る。次第に休みの日は整体に通うことが当たり前になり、家族と一緒に外出する機会も減っていった。

整体の先生に「腰を守るためにコルセットをしたほうがいい」と言われ、その整体院で勧められたコルセットを購入。仕事中に着けていると多少動きづらさはあったが、腰痛が和らぐため、いつしかコルセットを手放せなくなっていた。

ところが37歳のとき、再びぎっくり腰を発症。コルセットをしていたにもかかわらず、立ち上がることも困難になった。それからは毎年のようにぎっくり腰を繰り返すようになった。職業柄、周囲の同僚も皆腰痛持ちで、「腰が痛くて動けない」「またやっちゃったよ」という会話が当たり前になっていた。

そんなある日、別の営業所から異動してきた同僚が「腰痛だったら、俺が通ってるところに行ったほうがいいですよ」と当院を紹介してくれた。最初は「整体ならもう通ってるから大丈夫」と伝えたが、「そこは整体とは違いますよ。本当に良くなるから一度行ってみてください」と強く勧められた。

最初は半信半疑だったが、その同僚はいつも姿勢が良く、腰を痛そうにしているところを見たことがなかった。「自分が通っている整体とは何か違うのかもしれない」と感じ、藁にもすがる思いで当院に来院された。


【神奈川県平塚市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端内縁と下部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアが必要な状態であったが、仕事の日は朝から晩までで当院診療時間内には間に合わないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週2回のケアから開始した。

1週目(初回のアジャストメント)には、コルセットを極力しないように指導をした。最低限、朝の荷物の積み込みだけにしてもらった。「コルセットを着けないと腰がふわふわして怖い」と話していたが、身体の回復には必要な行為だったため、できる限りコルセットを使用せずに日常生活を送ってもらうことにした。

2週目(3回目のアジャストメント)には、朝起き上がるときの腰の重さが少し軽くなり、動き始めのこわばりがやわらいだ。長時間の運転後に感じていた腰のズーンとした痛みも弱まり、「仕事終わりの疲れ方が以前より違う」と話していた。

4週目(7回目のアジャストメント)には、この頃には仕事中にコルセットをしたいと思わなくなった。「コルセットを外していても怖くない」と感じられるようになり、腰の可動性が広がってきた。夜も腰の痛みで目が覚めることがなくなり、睡眠の質も改善していた。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

7週目(10回目のアジャストメント)には、荷物を持ち上げる際の不安感はほとんどなくなり、「動作の途中で腰をかばう癖がなくなってきた」と実感していた。帰宅後の疲労感も減り、家族と過ごす時間を楽しめるようになった。この段階でケアのペースを週2回に一度に広げることができた。

13週目(13回目のアジャストメント)には、仕事中に腰痛を感じることはほとんどなくなり、積み込みや階段の上り下りもスムーズにこなせるようになった。「一日中体が軽い」と話し、休日には子どもと公園でボール遊びをするまでに回復していた。

現在は、腰の痛みは完全に落ち着き、再発もなく安定した状態を維持している。長年悩まされていた腰への不安が解消され、「もう腰を気にせず仕事ができる」と自信を取り戻しており、再発防止と体のメンテナンスを目的として定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の腰痛は、右仙腸関節の機能低下が原因であったと考えられる。

配送業という職業柄、荷物の積み下ろしや長時間の運転姿勢など、骨盤部に対して反復的なストレスがかかりやすい。とくに片側で体重を支えるような動作が続くと、骨盤を構成する仙腸関節に微細なねじれが生じ、関節の動きが制限される。この状態が続くと、身体は神経を保護するために腰部の筋緊張を高め、可動域を意図的に制限する防御反応を示す。

つまり、仙腸関節の可動性が低下しているのは単なる構造的問題ではなく、神経生理学的な防御反応の結果である。サブラクセーション(根本原因)とは、まさにこの神経の誤作動によって、脳が「動かすと危険」と判断してしまう状態を指す。脳は常に生存を最優先に行動しており、痛みはその防御の表現である。

この状態が長く続くと、腰部の深層筋群である多裂筋や腰方形筋が常に緊張し、局所的な血流障害を引き起こす。血液循環が滞ることで、組織内の酸素供給が減少し、代謝産物が蓄積する。これが痛みをさらに誘発し、慢性的な腰痛の悪循環を形成する。さらにこの情報は求心性の神経を介して脊髄・脳幹へ伝えられ、神経中枢の過敏化を引き起こす。結果として、わずかな姿勢変化でも痛みが再燃しやすくなる。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、骨盤部の固有受容器が正確に刺激され、脳と脊髄との情報伝達が再構築される。神経の伝達が回復すると、脳は「この関節はもう動かしても安全だ」と再認識し、過剰な筋緊張を解除する指令を出す。結果として、仙腸関節の自然な可動性が回復し、腰部の筋肉や循環機能が整ったことで慢性的な腰痛が解消されたと考えられる。

骨盤部は副交感神経支配の領域となる。神経の興奮状態が鎮静化することで副交感神経系の働きが回復し、末梢血流や代謝が正常化していく。これは単なる筋肉の弛緩ではなく、神経系全体の恒常性が再び整い始めたサインである。

今回の症例でも、アジャストメントを重ねるごとに神経機能が回復し、腰部の防御的な緊張が自然に緩和されていった。コルセットに頼らずに動けるようになったのは、構造的な安定が戻ったからではなく、神経が本来の働きを取り戻した証である。

人間の身体は、正しい神経の伝達が確保されれば、自ら回復へと向かう「治るチカラ」を備えている。サブラクセーションが取り除かれ、神経・筋・循環の秩序が再統合されると、身体は「守る」状態から「治る」状態へと自然に切り替わる。

今回の症例は、長年の慢性腰痛においても神経の回復が起こりうること、そしてカイロプラクティックの目的が“矯正”ではなく“回復の引き出し”であることを明確に示した、極めて象徴的なケースであった。
何度も繰り返すぎっくり腰と慢性的な腰痛に苦しんだ配送ドライバー
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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