仕事と育児の疲れで悪化した慢性的な肩こり

仕事と育児の疲れで悪化した慢性的な肩こり

肩こりも腰痛も軽くなり、朝の目覚めがスッキリと変わりました!

40代女性
来院に至った経緯
社会人になってから保険会社に勤務し、外回りと事務作業を両立する日々を送っていた。外ではお客様との面談が続き、社内ではパソコンを使って契約書の作成や報告書の入力を行う。常に時間に追われ、緊張と集中の連続だった。

30代のころから肩こりを感じるようになり、仕事が忙しい時期は特に肩から首にかけて硬く張るような感覚があった。最初は「少し肩こりが強いだけ」と軽く考えていたが、40代に入ってからは肩こりが慢性化し、常に重だるさを感じるようになった。肩こりが強い日は頭痛や吐き気を伴うこともあり、気づけば肩こりが生活の一部のようになっていた。

30代後半で出産を経験したが、育児と仕事の両立によって体への負担が増えた。抱っこや授乳など中腰の姿勢が続いたことで、出産後は腰痛も感じるようになった。朝起き上がるときや子どもを抱き上げるときに腰が重く感じ、肩こりと同時に全身の疲労感が取れにくくなっていった。

営業職という仕事柄、常に笑顔でいなければならず、気を抜く時間がほとんどなかった。契約が続かない時期やプレッシャーの強い商談では、緊張で体がこわばり、肩こりがさらに悪化していった。夜も体の力が抜けず、眠りが浅くなる日が増えていった。

市販の湿布や鎮痛剤は若いころから常備しており、肩こりがひどい日は夜寝る前に貼るのが習慣になっていた。一時的に肩こりが和らぐことはあっても、翌日にはまた元に戻っていた。マッサージや整体にも何度も通ったが、その場では軽くなっても、数日経つと再び肩こりが戻ってしまう。

そうした生活を何年も繰り返すうちに、「肩こりは一生付き合うもの」と思うようになっていった。出産後は腰痛も加わり、体全体の疲労が抜けなくなっていったが、忙しさに追われて自分の体と向き合う時間もなかった。気づけば、慢性的な肩こりと腰痛を抱えたまま過ごすことが当たり前になっていた。

そんなとき、長年お付き合いのあるお客様から「私も肩こりで悩んでいたけど、カイロプラクティックを受けたら本当に楽になった」と当院を紹介された。最初は「また一時的に軽くなるだけでは」と思ったが、信頼しているお客様の勧めでもあったため、一度行ってみようと思い、当院に来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    脊柱起立筋全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と脊柱起立筋全体が過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中D3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事と育児で時間の確保が難しいとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、肩から首にかけての強いこわばりがやや軽くなり、デスクワーク中に感じていた重だるさが和らいだ。依然として夕方には肩の張りが出るものの、「朝の肩の重さが少し違う」と本人も変化を実感していた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、肩こりの頻度が減少し、仕事中に肩を回す回数も減った。以前は午後になると必ず頭痛が出ていたが、最近は「頭がスッキリする時間が増えた」と語っていた。姿勢も安定し、肩の位置が自然に整うようになった。腰の重さも軽くなり、子どもを抱き上げる動作が楽になった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、肩こりの程度が明らかに軽減し、肩甲骨まわりの可動性が改善した。仕事終わりの疲労感が減り、夜も眠りやすくなった。「以前は寝ても疲れが取れなかったが、今は朝の目覚めが全然違う」と話していた。仕事中の集中力も高まり、ストレスを感じても肩に力が入りにくくなっていた。

19週目(12回目のアジャストメント)には、慢性的だった肩こりはほとんど消失し、頭痛や腰の重さも出にくくなった。長時間のパソコン業務をしても、以前のように肩が固まることはなくなり、「体の軽さを実感できるようになった」と語っていた。

現在は、肩こりも腰痛も気にならない程度に落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の肩こりは、交感神経の過剰な緊張と、それに伴う筋緊張・血流低下が主な原因であったと考えられる。肩こりは単に筋肉の使いすぎや姿勢の悪さだけで起こるものではなく、神経系のバランスが深く関与している。

長年にわたって緊張状態が続く生活環境(営業職のプレッシャー、長時間のデスクワーク、育児による睡眠不足など)では、交感神経が常に優位な状態となり、体が“戦闘モード”のまま休まらない。

これにより筋肉内の血管が収縮し、肩や首の筋肉への酸素・栄養の供給が滞る。その結果、筋肉が硬直して弛緩できず、慢性的な肩こりが形成される。

交感神経が過剰に働く状態が続くと、呼吸が浅くなり、体全体の代謝も低下する。これにより乳酸などの老廃物が筋線維内に蓄積し、肩のこり感や張り感がさらに強まる。さらに、慢性的な筋緊張は脳への血流を減少させ、痛みを感じる閾値を下げるため、わずかな刺激でも痛みとして知覚しやすくなる。

検査所見では、上部頸椎と骨盤部という副交感神経の支配領域に明らかな機能低下がみられた。これにより副交感神経の働きが抑制され、交感神経が過剰に優位となっていた。アジャストメントによってこれらのサブラクセーション(根本原因)が取り除かれたことで、副交感神経の活動が回復し、自律神経全体のバランスが整い始めた。その結果、筋肉の血流が改善し、肩こりが軽減したと考えられる。

さらに、副交感神経の回復によって骨盤部の循環機能も改善し、腰部の慢性的なこわばりも軽減していった。交感神経の過剰な緊張が全身の筋膜連鎖に波及していたため、肩こりと腰痛は実際には同一の神経的背景を共有していたといえる。神経機能の正常化によって全身の筋緊張が緩み、姿勢保持における負担も軽減されたことで、腰痛も同時に改善していった。

また、副交感神経の働きが正常化したことで睡眠の質が向上し、体の回復力が高まったことも重要な要素である。十分な休息が取れるようになったことで、日中の交感神経の過活動が抑制され、肩こりが再発しにくい安定した状態へと移行していった。

肩こりは、単なる筋肉疲労ではなく、自律神経と循環、さらに心理的ストレスが複雑に関わる全身的な問題である。本症例は、長年の肩こりに対して神経機能を中心にアプローチすることで、筋肉の過緊張と血流障害の連鎖を断ち切り、自然治癒力の回復へと導いた好例であった。
仕事と育児の疲れで悪化した慢性的な肩こり
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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