交通事故による頸椎捻挫(むちうち)で首が動かせず、寝返りのたびに激痛が走った

交通事故による頸椎捻挫(むちうち)で首が動かせず、寝返りのたびに激痛が走った

事故後も続いていた首の痛み・頭痛・しびれが改善し、朝もスッと起き上がれるようになりました!

30代男性
来院に至った経緯
30代になって間もない頃、信号待ちで停車していた際、後方からノンブレーキで追突された。警察の話では加害車両は時速60kmほどのスピードが出ていたとのことで、衝撃は想像以上に強く、体が前後に大きく振られた瞬間、首の後ろに“バキッ”という音がした。直後から首の付け根から背中にかけて電気が走るような痛みが広がり、体を動かすことができなかった。

すぐに救急搬送され、病院では「頸椎捻挫(むちうち)」と診断された。幸い骨折や脱臼はなかったものの、首の強い痛みと重だるさが残り、頸部カラーを装着して安静を指示された。医師からは「数週間もすれば落ち着いてくる」と言われたが、時間が経っても痛みは和らぐどころか、むしろ首の動きがどんどん硬くなっていった。寝返りのたびに鈍い痛みが走り、朝起き上がるときに首が動かず、手で支えながらでないと起き上がれないほどであった。

1週間ほど経過すると、首だけでなく肩や背中の張りも強くなり、頭痛やめまい、吐き気のような症状も現れるようになった。デスクワークに復帰しても長時間座っていられず、パソコン画面を見ると首の後ろが突っ張るように痛み、集中力が続かなかった。夜も首の痛みで眠れないことがあり、慢性的な寝不足で日中の倦怠感が強くなっていった。

整形外科では温熱療法と電気治療を受けていたが、一向に改善の兆しが見られなかった。医師からは「気長に通ってください」と言われたが、痛み止めを服用しても効果は数時間しか続かず、根本的な変化を感じられなかった。事故から1か月が経つ頃には、首の痛みだけでなく右肩から腕にかけての張り感やしびれも出始め、「このまま一生痛みが残るのではないか」という不安が頭をよぎるようになった。

そんなとき、職場の同僚から「むちうちは後からどんどん悪くなるから、整体で早めに体を整えた方がいい」と言われ、近所の整体院に通ってみることにした。最初のうちは「少し楽になった気がする」と感じたが、2〜3日経つと逆に痛みが強まり、特に朝の寝起きは首を動かすことさえできなくなった。何度か通っても症状は改善せず、むしろ悪化しているように感じられたため、不安が募っていった。

「このままでは日常生活に支障が出る」と感じ、改めて自分でも原因を調べようとインターネット検索を始めた。そこで当院のホームページを見つけ、これまでのように筋肉をほぐすだけではなく、「レントゲンで背骨の根本的な原因を整える」という説明を見て、直感的に「ここなら違うかもしれない」と感じた。

Google口コミを読んでも、ここなら信用できそうだと感じたため、「しっかり原因を見つけて、本気で治したい」という思いで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    首から肩にかけての異常な筋緊張

  • 02

    頸部全体の強い熱感(炎症)

  • 03

    脊柱起立筋全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、脊柱全体に何か所も明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、交感神経領域・副交感神経領域ともに明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺に強い浮腫が確認され、肩から首にかけての異常な筋緊張に加え、脊柱起立筋全体が過緊張の状態であった。いわゆる、むちうち特有の「防御性筋収縮」が全体に広がっていた。頸部は全体的に強い熱感があり、明らかに炎症状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

レントゲン評価だけなら週2回のケアが必要な状態であったが、交通事故の強い外傷から急性期のような状態が2ヶ月近く続いていており、頸部全体の炎症が続いていたため、初期集中期の段階では週3回のケアから開始した。

1週目(3回目のアジャストメント)には、首を動かす際の鋭い痛みがやや軽減し、「朝起きるときに手で首を支えなくても起き上がれるようになった」との報告があった。依然として後頸部の熱感は残っていたが、体全体の緊張がやや緩み、睡眠の質が改善し始めていた。

2週目(5回目のアジャストメント)には、頭痛とめまいの頻度が明らかに減少した。デスクワーク中の首の突っ張り感も軽減し、肩の可動域が広がった。「首を回しても怖さがなくなった」との本人の表現通り、恐怖回避姿勢が解消されつつあった。この時点で炎症反応も落ち着き、週2回ペースへの移行が可能となった。

5週目(10回目のアジャストメント)には、右肩から腕にかけてのしびれが消失。筋緊張の左右差も大幅に改善され、体表温度のバランスも安定した。頸椎の可動域検査では、屈曲・伸展ともに正常範囲に回復し、本人も「長時間のパソコン作業でも痛くならない」と話していた。

7週目(14回目のアジャストメント)には、首から背中にかけての張りが完全に解消し、全身の緊張が抜けて自然な姿勢を維持できるようになった。体全体の柔軟性が戻り、「朝起きても体が軽い」「以前より集中して仕事ができるようになった」と話していた。この時点でケアの頻度を2週間に1回に広げ、回復期のメンテナンス段階へと移行した。

現在は、交通事故によるむちうち症状は落ち着いたが、ケアを受けるたびに身体が軽くなっていく気がするとのことから、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の症例は、交通事故によって急激な衝撃を受けたことにより、首や背中の筋・靭帯・関節包などの軟部組織が損傷し、その結果として全身に強い防御反応が起こっていたケースである。

むちうちの特徴は、外見的な損傷が少なくても、内部の神経・筋・関節が複雑に影響を受ける点にある。外傷の直後、身体は自己防御のために筋肉を硬直させ、可動域を制限して患部を守ろうとする。この防御反応は短期間であれば自然な回復を助けるが、長期間持続すると神経伝達が乱れ、筋の緊張・血流の停滞・組織修復の遅延といった悪循環を生む。

本症例では、首から背中にかけての広範な筋緊張、隆椎部の浮腫、体表温度の左右差といった所見が見られた。これらは、神経系が過剰に興奮した結果、局所循環が阻害されていたことを示唆している。特にむちうちのような外傷性のケースでは、交感神経と副交感神経のいずれかが優位になるという単純な話ではなく、全身の神経システムが防御的モードとして統合的に働いている状態である。すなわち、「交感神経・副交感神経」という二項ではなく、神経全体の過緊張状態が継続していると捉えるのが適切である。

そのため、単に筋肉をほぐしたり、温めて血流を促すだけでは根本的な改善には至らない。筋の緊張は神経の反射的な命令によって起こっているため、表層の緩和では一時的な変化しか生まれない。実際に本症例でも、電気治療やマッサージを受けても症状が戻ってしまい、逆に防御反応が強化されるような経過をたどっていた。

カイロプラクティックケアでは、こうした外傷後の防御反応を神経学的な観点から正常化させることを目的としている。具体的には、外傷の影響で可動性を失った脊椎(サブラクセーション)を的確に検出し、その部位に対して精密なアジャストメントを行うことで、神経の伝達機能を回復させる。本症例では、急性期のサブラクセーション(根本原因)が取り除かれたことで、防御反応が解除され、正常な可動性と循環が回復した。それにより、組織修復のプロセスが促進され、神経・筋・血管の連携が再び整い始めたと考えられる。

痛みやしびれが段階的に軽減していった経過は、神経機能が再統合されていった過程を反映している。これは、筋や靭帯が直接「治った」というよりも、神経系が過度な防御を解除し、身体が本来の自己修復能力を取り戻した結果である。カイロプラクティックのアプローチは、構造を無理に矯正するものではなく、神経の働きを整えることで身体が自らバランスを回復できる環境をつくり出す点に特徴がある。

また、むちうち後の慢性症状の多くは、外傷そのものよりも「防御反応の残存」に起因する。痛みやこわばりが数か月、あるいは数年続くケースでは、身体が“危険信号”を解除できていない状態が多い。今回のケースでは、アジャストメント後に睡眠の質が向上し、頭痛や倦怠感が消失していったことからも、神経系の緊張が緩み、全身的な恒常性(ホメオスタシス)が回復したことが明らかである。

本症例は、交通外傷後の頸椎捻挫(むちうち)に対して、神経・筋・循環の三位一体の回復を目指すカイロプラクティックケアがいかに有効であるかを示すものである。痛みの軽減だけでなく、身体全体の協調性が回復していくプロセスを通して、人が本来もつ「治るチカラ」を引き出せることを裏付けた臨床例であった。
交通事故による頸椎捻挫(むちうち)で首が動かせず、寝返りのたびに激痛が走った
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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