10代で1年以上生理が止まった無月経

10代で1年以上生理が止まった無月経

生理不順が解消し、毎月生理が来るようになりました!

10代女性
来院に至った経緯
小学校高学年で初潮が来てから、生理はずっと不規則であった。中学3年間は2~3か月に一度しか生理が来なかった。たまに来る生理は経血の量も多く、数日で終わってしまうときもあれば、逆にダラダラと長く続くこともあり、貧血のような症状もあった。

高校生になると、生理がまったく来なくなった。本人は「生理がなければ貧血にならないし楽だ」と軽く考えていたが、母親に打ち明けることもなく、月日だけが過ぎていった。高校生活の忙しさの中で、部活や友人関係は一見順調に見えたが、体調の不安を口にすることはなく、母親も特に気づかずに過ごしていた。

高校2年生になったある日、突然激しい腹痛と吐き気に襲われ、倒れてしまった。病院へ救急搬送され、仕事中だった母親は慌てて病院に駆け付けた。検査の結果「特に異常はないので様子を見ましょう」と言われただけで、その日は帰宅することになった。

帰宅後、母親が「最近何か変わったことはないの?」と改めて尋ねると、娘は「もう1年以上、生理が来ていないくらい」と打ち明けた。その言葉に母親は愕然とし、どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのかと、自責の念に押しつぶされそうになった。

高校2年生の娘が1年以上も無月経なんて、このままで将来大丈夫なのか?と慌ててインターネットで調べてみると、「無月経を放置すると将来の不妊や子宮がんのリスクが高まる」という情報が目に飛び込んできて、母親は恐怖で胸が締め付けられた。

すぐに婦人科に連れて行くと、生活習慣の改善を求められ、ホルモン療法や漢方薬を勧められた。薬を服用し始めても毎月生理が来ることはなく、3~4か月に一度、なんとか来る程度であり、期待したほどの変化は見られなかった。

何か良い方法はないかと模索を続けていたが、これといって決定的な解決策は見つからなかった。そんなとき、小中学校時代から付き合いのあるママ友に相談すると、「それならすぐにここに連れて行ってあげて!」と当院を強く勧められた。

普段から信頼している相手の言葉だったこともあり、母親は「生理不順にカイロプラクティック?」と半信半疑になりながらも、当院のホームページを隅々まで読み込んだ。

そこには「神経の流れが乱れることで体のリズムも崩れる」という説明があり、「なるほど、これなら娘の体調も変わるかもしれない」と妙に腑に落ちる感覚を覚えた。「ここなら娘の未来を守れるかもしれない」という一縷の望みにかけ、当院に来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一系ちう右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、学業や部活動の影響で平日の来院はなかなか難しいとのことで、無理のない範囲で週末の週1回からケアを開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、当初みられていた強い倦怠感や朝のだるさがやや軽減し、以前より目覚めがすっきりする感覚が出てきた。母親も「最近、起こさなくても朝に自分から起きてくるようになった」と変化を感じ取っていた。

4週目(4回目のアジャストメント)には、カイロプラクティックケアを始めてから、初めての生理が来た。このときは経血の量が異常に多く、激しい貧血のような症状も出ていた。

10週目(10回目のアジャストメント)には、前回の生理から6週間後に生理が来たことに本人も母親も驚いていた。今回は経血の量もそれほど多くなく、体調も安定していた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

15週目(13回目のアジャストメント)には、30日周期で生理が来るようになった。これ以降、毎月生理が来るようになり、体調面も貧血のような症状は出ることは一切なくなった。

現在は、生理不順は解消されたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
本症例の生理不順・無月経は、自律神経の乱れが原因であったと考えられる。

女性の生理周期は「視床下部―下垂体―卵巣軸(HPO軸)」と呼ばれる精密なシステムによって管理されている。視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)により、下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)が分泌され、卵巣がエストロゲンやプロゲステロンを産生する。この一連の流れによって子宮内膜は厚くなり、排卵・月経が繰り返される。

しかし、このHPO軸は環境変化やストレスに非常に敏感である。特に思春期は神経・内分泌系がまだ安定していないため、睡眠不足や過度の学業・部活動による負担、不安や緊張などが重なると、視床下部の働きが容易に乱される。その結果、GnRHの分泌が抑制され、排卵が起こらない「無排卵周期」や月経停止が生じやすくなる。

本症例では、初診時に右仙腸関節の可動域制限や仙骨翼の浮腫、頸部の過緊張が確認された。これらはいずれも自律神経、特に副交感神経との関連が強い部位である。

これらの部位にサブラクセーション(根本原因)が存在したことで、神経の伝達に偏りが生じ、自律神経のバランスが崩れ、交感神経の緊張状態が続いていた可能性が高い。交感神経が過剰に働くと、末梢血管の収縮や代謝の乱れが生じ、ホルモン分泌の精密なリズムを阻害してしまう。

思春期から続いていた冷えや倦怠感も、この交感神経優位の状態に起因していたと考えられる。血流が滞ることで卵巣や子宮への栄養供給も不十分となり、ホルモンの分泌・反応の低下を招いていた。

アジャストメントによって骨盤部や頸椎部のサブラクセーションが取り除かれると、自律神経のバランスが整い、HPO軸が本来の働きを取り戻すようになった。その結果、視床下部―下垂体―卵巣間の情報伝達が安定し、ホルモン分泌が正常化したことで、生理が周期的に再開したと考えられる。

今回の症例は、単に「生理が来ない」という表面的な症状だけでなく、その背後にある自律神経と女性ホルモンの密接な関わりを再確認させるものであった。症状に捉われず、神経機能を回復させることの重要性を改めて示した症例である。
10代で1年以上生理が止まった無月経
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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