頭痛薬が手放せなくなった慢性的な頭痛

頭痛薬が手放せなくなった慢性的な頭痛

午後になると出ていた頭痛が気にならなくなり、仕事に集中できるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
ここ数年、慢性的な頭痛に悩まされていた。仕事は広告・企画系の職種で、パソコンやスマートフォンを一日中使う生活が続いていた。朝から画面を見つめ、オンライン会議や資料作成に追われるうちに、いつの間にか頭の奥がズーンと重くなり、こめかみや後頭部が締めつけられるような痛みが出るようになった。

最初のうちは「疲れからくる一時的な頭痛だろう」と思い、市販の鎮痛薬を飲んでやり過ごしていた。しかし、次第に薬の効き目が弱くなり、週に数回だった頭痛が、ほぼ毎日のように続くようになっていった。ひどいときには目の奥まで痛みが広がり、吐き気を感じることもあった。

特に夕方になると痛みが強くなり、仕事を終える頃には頭全体が重だるく、首や肩までこわばっていた。夜もなかなか寝付けず、疲れが取れない状態が当たり前になっていた。休日にしっかり休んだつもりでも、月曜日の仕事始めは憂鬱で、午後になるにつれてまた同じような頭痛が戻ってくる。その繰り返しで、次第に気持ちまで落ち込むようになっていった。

病院でCTやMRI検査を受けたが、「脳に異常はありません。緊張型頭痛ですね」と言われ、消炎鎮痛薬を処方された。薬を飲むと一時的には楽になるものの、効果が切れると再び痛みが戻り、根本的な改善には至らなかった。「このまま薬を飲み続けるしかないのだろうか」という不安が募っていった。

リラクゼーションやマッサージにも通ってみたが、施術後は軽くなるものの、翌日には再び同じような頭痛が襲ってきた。ヨガやストレッチを取り入れても、首のこりや肩の張りは残ったままだった。気圧の変化や天候の悪い日には頭痛が悪化し、日常生活に支障をきたすほどになっていた。

頭痛のせいで集中力が落ち、ミスが増え、仕事中に何度もこめかみを押さえる自分に気づくたび、「このままではいけない」と焦りを感じていた。周囲からは「疲れじゃない?」「ストレスのせいだよ」と言われたが、自分では原因がわからず、どう対処すればいいのかも見えなかった。

そんなとき、職場の先輩から「同じような頭痛で悩んでいたけど、ここに通ったら本当に良くなった」と当院を紹介された。これまで病院でも整体でも根本的な改善がなかったため、半信半疑ではあったが、「もう薬に頼らない生活を送りたい」という思いで当院に来院された。


【神奈川県大和市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は残業も多く診療時間内に間に合わないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、午後の頭の重さが少し軽くなり、「目の奥が痛むような鈍い痛みが和らいできた」と話していた。仕事中も頭痛薬を飲まずに過ごせる時間が増え、頭痛の強さが全体的にやわらいできた。

4週目(4回目のアジャストメント)には、週に数回出ていたこめかみのズキズキする痛みが減少し、夕方まで集中して仕事を続けられるようになった。以前は午後になると頭が重く、目の奥の痛みを感じていたが、その頻度が明らかに減っていた。夜の入眠もスムーズになり、「久しぶりに朝スッキリ目覚めた」と笑顔を見せていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

10週目(7回目のアジャストメント)には、肩や首のこわばりが取れ、頭痛の発作もほとんど出なくなった。特に天候が悪い日や気圧の変化がある日でも痛みが出にくくなり、「雨の日が怖くなくなった」と話していた。表情にも明るさが戻り、仕事中に集中力を欠くことも少なくなっていた。

18週目(11回目のアジャストメント)には、朝から夜まで頭痛を感じることはほとんどなくなり、肩こりや首の張りも大幅に軽減していた。休日も頭痛を気にせず外出できるようになり、趣味のヨガや読書を楽しむ余裕が戻っていた。

現在は、頭痛や首肩の張りなどの症状はほとんど落ち着いたが、再発を防ぎコンディションを安定させるため、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の頭痛は、自律神経の乱れが原因であったと考えられる。

本症例では、上部頸椎と骨盤部という、いずれも副交感神経支配の領域に明らかな機能低下が確認された。これらの部位は、身体のリラックスや回復を担う副交感神経の中枢的な領域であり、その働きが低下すると、交感神経が過剰に優位な状態が続いてしまう。結果として体は常に緊張状態に入り、筋肉が弛緩できなくなる。

このような状態では、首や肩の筋群が防御的に硬直し、血管が収縮して血流が滞る。酸素や栄養が頭部に十分に行き渡らなくなることで、午後になるとこめかみや後頭部に痛みを感じる緊張型頭痛の症状が出やすくなる。本症例でも午後から夕方にかけて頭痛が強くなり、肩や首の張りを自覚していたことからも、このメカニズムが関与していたと考えられる。

また、副交感神経の機能低下は、筋肉の問題だけでなく、血管やホルモン、自律的な体温調節機能にも影響を及ぼす。そのため、頭痛だけでなく、眠りの浅さや集中力の低下、倦怠感なども併発しやすく、心身全体のエネルギー効率が低下していく。交感神経が過剰に働いている状態では、常に身体が戦闘モードに置かれているため、脳が過剰な刺激を受け取り、痛みに対しても敏感になってしまう。

アジャストメントによって上部頸椎および骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、副交感神経の働きが回復し、交感神経とのバランスが整い始めた。その結果、首や肩の筋緊張が自然に緩和し、頭部の血流が改善されたことで、頭痛の頻度と強さが徐々に軽減していったと考えられる。

副交感神経の回復は睡眠の質を高め、夜間に脳がしっかりと休息できる状態を取り戻す。これにより、日中の神経過敏が鎮まり、血流やホルモン分泌のリズムが整うため、結果として頭痛が起こりにくい体質そのものへと変化していく。

神経の働きを整え、身体が自然に回復できる環境を取り戻すことこそ、慢性的な頭痛を根本から解消するための本質的なアプローチであるといえる。本症例は、副交感神経機能の低下によって交感神経が過剰に働き続けた結果、緊張型頭痛が引き起こされていたことを示す典型的な症例であった。
頭痛薬が手放せなくなった慢性的な頭痛
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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