関節リウマチによる朝の手のこわばりと手指間接の痛み

関節リウマチによる朝の手のこわばりと手指間接の痛み

「薬を増やすしかない」と言われた私が改善へ向かいました!

50代女性
来院に至った経緯
昔から体調が悪く、常に倦怠感に襲われ、寝起きの頭痛で困っていた時期もあった。5年前に甲状腺の検査で「橋本病まではいかないが橋本病疑い、一歩手前の状態」と言われたこともあり、不安を抱えながら過ごしてきた。

ある朝、起きると両手が強くこわばっていて、思うように動かせなかった。仕事はパソコン作業が中心であったが、タイピングが打ちにくく、その日は午前中で仕事を早退させてもらった。

自宅で安静にしていると、夕方には症状が治まったため病院へは行かず、翌日からまた通常の生活に戻っていた。しかし1週間後、再び寝起きに手のこわばりがあり、今度は軽い痛みも伴っていた。

前回と同じ症状に加えて痛みまで出てきたため不安になり、急遽仕事を休んで病院へ向かった。血液検査や画像検査を受け、後日検査結果を聞きに行くと「関節リウマチ」と診断され、その日から抗リウマチ薬を処方され服用を始めた。

しかし関節リウマチの症状なのか、薬の影響なのか、全身の倦怠感や食欲低下に悩まされるようになった。3か月経っても症状は改善せず、むしろ朝の手のこわばりや指関節の痛みは変わらなかった。特に午前中のタイピング作業は、泣きたくなるほど辛い状態だった。

病院に「症状が治まらないどころか悪化している気がする」と伝えると、「薬を増やしましょう」「薬を変更してみましょう」と言われるだけで、次第に不信感が募っていった。

そんなとき、会社の同僚から「ここの先生、すごいから相談してみたら?」と当院を紹介された。しかし、カイロプラクティックについて調べてみると、インターネット検索の一番上に「関節リウマチの場合は、強い刺激で関節を痛める可能性があるのでカイロプラクティックは避けるべき」と書かれており、不安になって受けるのをやめてしまった。

代わりに、自分で「関節リウマチに効果がある」と評判の針治療を探し、毎週2回、3か月間通ってみた。しかし手のこわばりも痛みも一切変わらず、症状は何一つ改善しなかった。

その後、同僚に「どうだった?行ってみた?」と聞かれ、ネットで検索したらカイロプラクティックは受けない方がいいと書いてあったからやめたこと、そして代わりに針治療に通ったが全く効果がなかったことを正直に伝えた。

すると同僚から「ネットの情報なんて信用してどうするの。本当にここの先生はすごいから、一度でいいから行ってみて!」と強く勧められた。

「そこまで言うのなら…」と半信半疑ながらも、紹介という形で当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    隆椎周辺に強い浮腫感

  • 02

    隆椎周辺の熱感(炎症)

  • 03

    頸部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、頸椎7番には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎と下部胸椎、そして下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺には強い浮腫が確認され、頸部全体が過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

6週目(6回目のアジャストメント)には、毎朝強く出ていた手のこわばりが軽減し、指を少しずつ動かしやすくなった。タイピング作業はまだ負担が大きかったが、痛みによる恐怖感はやや和らいできた。

11週目(11回目のアジャストメント)には、手のこわばりが和らぐ時間が延び、午前中でもパソコン作業をある程度こなせる日が増えてきた。加えて、指の動かしやすさも徐々に戻り始め、全身の倦怠感も軽くなり、夕方以降の疲労感が少し和らいだ。

17週目(17回目のアジャストメント)には、手指関節の痛みが大幅に軽減し、朝のこわばりも短時間で解消されるようになった。患者本人からは「午前中でも泣きたくなるほどの辛さがなくなった」との声があり、日常生活に対する不安感も和らいできた。

23週目(23回目のアジャストメント)には、手指関節の痛みはほとんど気にならなくなり、パソコン作業も通常通りこなせるようになった。全身の倦怠感も消失し、体調の波に悩まされることがなくなった。さらに精神的にも安定し、生活に前向きに取り組めるようになった。

現在は、関節リウマチが原因と思われる症状は落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の関節リウマチは、単なる手指などの関節局所の問題ではなく、交感神経の機能低下を背景に、内分泌(甲状腺・副腎)と免疫の調整が崩れたことが症状の長期化に関与していたと考えられる。

既往に「橋本病疑い」があることから、甲状腺機能低下が持続的に存在していた可能性は高く、甲状腺ホルモンの不足は全身の代謝・体温調節・筋内臓機能だけでなく免疫のブレーキ役を弱め、自己免疫反応(関節への自己攻撃)を助長する要因となる。

甲状腺ホルモンの低下は抗炎症作用を弱め、関節で起きている炎症が鎮まりにくく、朝のこわばりや手指痛が続きやすい。

同時に、副腎機能低下も見逃せない。副腎はコルチゾール等を介して炎症と免疫反応を制御しているが、その働きが弱まると抗炎症作用が効かず、腫れや痛み、倦怠感が長引く要因となる。

検査では下部頸椎・下部胸椎・腰椎下部に温度左右差、浮腫、可動性低下が認められ、これらの領域は甲状腺や副腎と密接に関連している。交感神経領域の機能低下によって、ホルモン分泌や免疫制御が弱まったことが、症状の遷延と増悪に繋がっていたと推察される。

このケースでは、副交感神経を強める方向のアプローチは適切ではない。過度に副交感神経優位へ傾けると、代謝・ホルモン分泌がさらに低下し、炎症の収束を遅らせる恐れがある。

また、関節リウマチでは環椎横靭帯の弛緩がみられるケースがあるため、上部頸椎へのアジャストメントは禁忌とし、本症例でも回避した。炎症している関節そのものに局所的な刺激を加えることも避けるべきであり、過度なアジャストメントは炎症悪化のリスクとなる。

必要なのは、炎症部位をいじるのではなく、神経系の中枢―末梢の伝達を整え、交感神経の適正な働きを再起動させることである。

下部頸椎・下部胸椎・腰椎下部に対する選択的で穏やかなアジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、甲状腺・副腎のリズムと免疫の制御が回復した結果、朝のこわばりの短縮、手指痛の軽減、全身倦怠の解消へとつながったと考えられる。

本症例は、関節リウマチの背景に甲状腺・副腎を含む全身のホルモン/免疫/代謝のバランス破綻が潜んでいること、そしてそれが交感神経の機能低下と結びついていることを示唆している。

重要なことは脳とホルモン各分泌器官のどこに神経の阻害があるかと見つけ出す検査である。症状部位に囚われず、神経の流れを整えて体の情報を脳へ正確に届けるという原則こそが、慢性炎症を鎮め、生活の質を引き上げるための根本的アプローチだと改めて実感できた症例であった。
関節リウマチによる朝の手のこわばりと手指間接の痛み
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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