薬を飲んでも改善しない倦怠感とむくみに苦しんだ橋本病

薬を飲んでも改善しない倦怠感とむくみに苦しんだ橋本病

甲状腺の数値も安定し、毎日を元気に過ごせるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
20代後半の頃から、これまで感じたことのない疲れやすさが出てきた。「仕事が忙しいせいだろう」「年齢のせいだ」と思い込み、深く考えずに過ごしていたが、日々の疲労感は少しずつ積み重なっていった。

そんな中で唯一の楽しみがエステでのマッサージだった。施術後は体が軽くなるように感じられたものの、その効果は持続せず、根本的な疲労感は残ったままだった。

30歳を迎える頃、エステで「今日は脚がむくんでいますね」と頻繁に指摘されるようになった。最初は「むくみなんて誰にでもある」と軽く受け流していたが、ある朝目覚めると、脚だけでなく顔や手までむくんでいることに気づいた。

さらに、オフィスでは自分だけ空調の冷気が骨身にしみるほど寒く感じられ、同僚に「熱でもあるんじゃない?」と声をかけられることもあった。その頃から、だるさや集中力の低下、やる気の喪失といった症状が強まり、生活の質は著しく低下していった。

実家に帰省した際、母親に「最近ずっと体がしんどい」と相談すると、「私も30代で橋本病と診断された」と打ち明けられ、同じ病を抱えているのではないかという不安が一気に高まった。

病院での血液検査とエコー検査を受けた結果、甲状腺機能低下が確認され、「橋本病」と診断された。

処方されたチラーヂンSを飲み始めたが、医師からは「橋本病は一生付き合う病気です。薬は一生続けなければなりません」と説明され、頭の中が真っ白になった。

薬をきちんと飲んでも、倦怠感は解消されず、定期的に行われる血液検査でも数値は安定しなかった。そのたびに落胆し、「この先ずっとこの体調のまま生きていくのか」という恐怖と苛立ちが募っていった。

少しでも改善の糸口を求めて、地元で評判の鍼灸院に約1年間通った。施術を受けた直後や翌日までは体が軽く、希望を感じる瞬間もあった。

しかし2日も経つと、再び体が鉛のように重くなり、倦怠感は元通りに戻ってしまった。繰り返し通う中で「根本的な解決には至らないのかもしれない」と次第に限界を感じるようになった。

そんな折、人事異動で関東へ引っ越すことが決まった。引っ越した先の病院でも当たり前だが同じ検査結果だったが、「新しい環境なら、これまでとは違う解決策が見つかるかもしれない。」という淡い期待を胸に情報を探していたとき、当院のホームページに出会った。

「橋本病が改善した」という症例記事を読み、自分がずっと求めていた答えはここにあるかもしれないと強く感じ、最後の望みをかけて来院された。


【神奈川県横浜市西区から来院】
初診の状態
  • 01

    隆椎周辺に強い浮腫感

  • 02

    下部頸椎の可動域制限

  • 03

    首から肩にかけての過緊張

経過と内容
初診時の状態では、下部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺に強い浮腫が確認され、首から肩にかけては過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は残業続きで夜遅くなってしまうため、週末の週1回のケアから開始した。

7週目(7回目のアジャストメント)には、依然として倦怠感は強かったが、朝の重だるさがやや軽減する日が出てきた。むくみも完全には取れないものの、起床後すぐに動ける日が増えてきた。

13週目(13回目のアジャストメント)には、日中の強い疲労感が軽くなり、休日に寝込む時間が減った。新しい職場でも「表情が明るくなったね」と言われ、自分でも以前より仕事をこなす余裕が出てきたと感じられるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

19週目(16回目のアジャストメント)には、病院での血液検査でFT4やTSHの値に改善傾向が確認され、医師からも「数値が安定してきましたね」と説明を受けた。本人も「朝から一日動ける日が増えてきた」と体感できるようになった。

29週目(21回目のアジャストメント)には、むくみや倦怠感は大きく改善し、日常生活を問題なく送れるレベルに回復した。数値も「これまでで最も安定している」と医師から評価され、長期的な見通しが持てるようになった。

現在は、甲状腺ホルモンの数値も安定し、むくみや倦怠感に悩まされることなく日常生活を送れている。仕事でも集中力と持続力が戻っているが、再発予防と健康維持のため、定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の橋本病は、自律神経の中でも交感神経の機能低下が背景にあり、その結果として視床下部―下垂体―甲状腺(HPT)軸の調整力が弱まり、甲状腺ホルモン分泌が低下しやすい状態が持続していたと考えられる。

橋本病は自己免疫性甲状腺炎であり、免疫寛容(Treg)と炎症性サイトカインのバランスが崩れると、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体を介して甲状腺に慢性炎症が起こり、さらなるホルモン分泌低下を引き起こす。

検査においては下部頸椎と下部腰椎に明確な反応が確認された。いずれも交感神経支配の領域であり、ここに機能低下が生じることで血行や体温調節、代謝リズムといった全身的な機能が乱れやすくなる。

特に下部頸椎は甲状腺と密接な関係があるため、同部位の負担が甲状腺機能の低下に直結しやすい。結果として、冷え・むくみ・易疲労感・意欲低下といった低代謝の症状が長引く要因となっていたと考えられる。

免疫の面でも、交感神経の働きが弱い状態では炎症を抑える力が不十分となり、体が自分の甲状腺を誤って攻撃しやすくなる。その結果、慢性的な炎症が続き、甲状腺機能低下がさらに進行する悪循環が形成され、疲労やむくみが長引き、検査値の改善も遅れる状況となっていた。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、低下していた交感神経の働きが回復したことで、甲状腺への神経的サポートと血流調整が改善した。その影響はHPT軸にも及び、ホルモン分泌が安定方向に向かうとともに、倦怠感やむくみの軽減、TSHやFT4といった検査指標の改善に繋がったと考えられる。

本症例は、橋本病を甲状腺だけの疾患として捉えるのではなく、交感神経・内分泌・免疫が相互に連動する仕組みとして理解し、介入することの重要性を示した臨床例である。
薬を飲んでも改善しない倦怠感とむくみに苦しんだ橋本病
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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