薬を飲み続けても改善しなかった子宮内膜症による激しい生理痛と倦怠感

薬を飲み続けても改善しなかった子宮内膜症による激しい生理痛と倦怠感

毎月の生理に怯える日々から解放され、心も体も穏やかに過ごせるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
大学卒業後から同じ職場で広報職に就き、締切に追われる生活が続いていた。根が真面目で手を抜くことが苦手な性格であり、任された仕事は深夜でも仕上げる習慣が身についていた。学生の頃から几帳面で責任感が強く、どんな場面でも他人に弱みを見せないタイプであった。

周囲からは「頼りになる人」と見られていたが、本人は常に完璧を求め、人知れずプレッシャーを抱えていた。30代に入る頃には、メイクをしても顔色の悪さが隠せず、鏡を見るたびに「疲れが抜けなくなった」と感じるようになった。

20代の頃は多少の無理も翌朝には回復していたが、30代に入ってからは疲労が抜けにくく、月経の前後で体調の波が大きくなる自覚が強まっていった。

高校生の頃から生理痛は強い方であったが、ここ数年は下腹部から腰にかけて重い痛みが広がり、会社で椅子から立ち上がるだけでも息を止めて耐える場面が増えた。加えて、月経のない時期にも鈍い痛みや骨盤の奥の張り感が残り、会議中に集中力が途切れることが多くなった。冷え性とむくみも強く、膝掛けやカイロが欠かせないほどだった。

婦人科を受診すると「子宮内膜症」と診断され、鎮痛薬とホルモン療法が処方された。服用中は痛みが軽減する日もあるが、仕事の繁忙期や睡眠不足が重なると再び痛みが増し、薬の量が増えるほど気分の落ち込みや頭の重さが気になるようになった。

薬を飲むたびに「これをいつまで続けるのか」という不安が募り、デスクの引き出しに鎮痛薬を常備する生活に疲弊していった。手術も選択肢として提示されたが、術後のリスクを考えると踏み切れず、できる限り体の負担を抑えた方法で整えていきたいという思いが強くなった。

生活習慣を見直す目的でカフェインを控え、湯船に浸かる時間を増やし、軽いストレッチを続けたが、痛みの波や睡眠の浅さは大きく改善しなかった。月経前には体温の揺らぎとともにイライラや不安感が強まり、腹部の張りと冷えが同時に出る日が続いた。

休日は外出を避けて家で横になって過ごすことが増え、趣味の読書や友人との約束を先送りにすることが当たり前になった。笑う機会が減り、気づけば「頑張る」ことが習慣になりすぎて、心も体も休む方法を忘れていた。

そんな折、慢性的な生理痛で悩んでいた同僚が当院でのケア後に体調の波が穏やかになったと聞き、「自律神経とホルモンの関係から整える」という説明に納得感を覚えた。薬に頼り切らずに体の仕組みを整える道があるなら試したいという気持ちが固まり、痛みの少ない時期を待って当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼にはスポンジ状の強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で平日は時間が作れないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、初回のアジャストメント直後から下腹部に温かさを感じ、2回目のアジャストメントの夜は久しぶりに深い睡眠が取れたと話していた。これまで寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めていたが、朝まで途切れずに眠れたことで、「体が少し軽くなった」と実感していた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、月経前の腹部の張りと腰の重だるさがやわらぎ、以前のように痛み止めを前もって服用しなくても過ごせるようになった。仕事中も下腹部の鈍痛に意識を取られることが減り、集中力が戻ってきたという。この頃から便通のリズムも安定し、下腹部の違和感が軽減してきたため、全身の血流が整い始めたことがうかがえた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

10週目(8回目のアジャストメント)には、月経時の痛みが大幅に軽減し、鎮痛薬を服用しなくても過ごせる周期が出てきた。以前は生理前になると気持ちが不安定になり、些細なことで涙が出たり、周囲の言葉に過敏に反応したりしていたが、「気づいたらあまり落ち込まなくなっている」と話していた。自律神経のバランスが整い、ホルモン変動に伴う感情の波が穏やかになったことで、日常生活の質が明らかに向上していた。

15週目(11回目のアジャストメント)には、月経周期が安定し、経血量や持続日数にも一定のリズムが戻った。下腹部の重さや腰の違和感はほとんど消え、体全体が軽く感じられるようになった。表情も明るく、以前のように休日に出かける意欲も湧き、趣味だった読書やカフェ巡りを再開できるようになった。本人は「生理の時期を怖がらなくなった」と語っており、身体だけでなく心理的にも安定してきたことがうかがえた。

現在は、子宮内膜症に伴う生理痛や腰痛などの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の子宮内膜症による症状は、長期にわたる自律神経のアンバランスと、それに伴うホルモン分泌リズムの乱れが主な背景にあったと考えられる。

子宮内膜症は、本来子宮内にのみ存在すべき内膜組織が、骨盤内の他の部位で反応性に増殖する疾患であり、その形成過程にはエストロゲンの過剰分泌やプロゲステロンの相対的低下といったホルモン異常が深く関与している。

これらのホルモンは単独で働くものではなく、自律神経中枢を含む視床下部―下垂体―卵巣系の連動によって調整されている。したがって、精神的緊張や慢性疲労によって交感神経が過度に優位となると、視床下部のリズム制御が乱れ、ホルモン分泌の周期性にも歪みが生じる。

交感神経が過剰に働き続ける状態では、骨盤内臓器への血流が滞り、局所の酸素供給が不足する。血行が低下した組織では炎症性物質や老廃物が蓄積しやすく、痛みや張り感、冷えといった症状を助長する。

特に骨盤部の循環不全は、子宮や卵巣に慢性的な炎症を生じさせる素地をつくり、月経前後の疼痛を悪化させる要因となる。また、自律神経の不安定さは視床下部を介して体温調節にも影響を与えるため、月経周期に伴う体温変動の乱れや睡眠の質の低下として現れることも少なくない。

子宮内膜症ではプロスタグランジンや炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-αなど)の過剰産生が認められることが多い。これらの化学伝達物質は子宮の収縮を促すと同時に、疼痛受容体を刺激して痛みを強化する働きを持つ。

自律神経、とりわけ交感神経が興奮しやすい状態では、これらの物質の生成が抑えられにくくなり、結果として痛みが長期化・慢性化する。したがって、子宮内膜症における疼痛や炎症の持続は、単なるホルモン異常ではなく、神経生理学的反応の延長線上にあると捉えることができる。

本症例では、上部頸椎および骨盤部における副交感神経支配領域に明確な機能低下がみられた。これらに対してアジャストメントを行うことで、交感神経の過剰活動が抑制され、副交感神経の働きが回復したと考えられる。

自律神経のバランスが整うにつれ、視床下部―下垂体―卵巣系のリズムも安定し、ホルモン分泌や骨盤内血流が正常化した。その結果、炎症の鎮静化が進み、月経痛や腰部の不快感、下腹部の張りが軽減したと推測される。

子宮内膜症の改善過程は、単に痛みの緩和にとどまらず、心身のリズムを取り戻す過程でもある。交感神経の過緊張が解消されることで睡眠の質が高まり、エネルギー代謝や体温調整、感情の安定にも好影響が及んだ。

患者自身が「生理の時期を怖がらなくなった」と語った背景には、神経とホルモンの連動性が回復したことによる内的安定があると考えられる。子宮内膜症を単なる局所疾患としてではなく、自律神経とホルモンの協調破綻として捉え、その根底にある神経機能の乱れを整えることの重要性を示している。

上部頸椎と骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)を取り除き、神経とホルモンの調和を回復させることが、女性の健康を根本から支えるうえで欠かせない臨床的意義を持つ症例であった。
薬を飲み続けても改善しなかった子宮内膜症による激しい生理痛と倦怠感
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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