腰痛で家事もままならず、立ち上がることさえつらくなった

腰痛で家事もままならず、立ち上がることさえつらくなった

痛みを気にせず体を動かせるようになり、また家事や散歩を楽しめるようになりました!

70代女性
来院に至った経緯
数年前から腰に重だるい違和感があったが、家事や買い物など日常生活に支障がない程度だったため、そのまま様子を見ていた。ところが半年ほど前から、立ち上がる瞬間や洗濯物を干す動作の際にズキッとした痛みを感じるようになった。特に朝起き上がるときや、長時間立っていると腰が固まるような感覚があり、痛みが取れにくくなっていった。

最初のうちは「動かさなければ痛みも出ないだろう」と思い、なるべく安静に過ごしていた。しかし、じっとしている時間が増えるほど腰の重さが増し、背中から腰にかけて硬直するような感覚が出てきた。台所で料理をしていると腰が前に曲がったまま伸びにくくなり、掃除機をかけるときにも痛みが走るようになった。

以前は友人と散歩に出かけたり、趣味のガーデニングを楽しんだりしていたが、最近では少し歩くだけで腰が重くなり、外出する機会も減ってしまった。外に出ない時間が増えると気分まで沈みがちになり、「また痛くなるのではないか」という不安が常につきまとうようになった。

整形外科では「加齢による腰の変形」や「筋力低下」と言われ、痛み止めと湿布を処方された。痛み止めを飲んでいる間は一時的に楽になるものの、効き目が切れると再び痛みが戻り、夜中に寝返りを打つたびに目が覚めることもあった。

湿布を貼っても深部の鈍い痛みは取れず、朝起きるときには腰が板のように硬くなっている感覚が続いた。リハビリも勧められたが、通院のたびに腰が痛み、途中で通うのをやめてしまった。

近所のお友達に紹介された接骨院にも通ってみたが、電気治療とマッサージを繰り返すだけで、その場しのぎのようにしか感じられなかった。通った直後は少し楽になる気がしたが、翌日には再び腰の重だるさが戻り、根本的な変化は見られなかった。「いろいろ試したけれど、やっぱり歳だから仕方ないのかもしれない」と半ば諦めかけていた。

そんなとき、娘から「痛みを抑えるだけじゃなくて、原因をちゃんと見てくれるところがあるよ」と当院を紹介された。最初は半信半疑だったが、娘が「お母さんには本当に合うと思う」と熱心に勧めてくる姿に心を動かされた。これまでどこに行っても良くならなかった腰痛を、最後にもう一度しっかり向き合ってみようと思い、娘さんのご紹介で当院に来院された。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節と下部腰椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、骨盤部と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左上後腸骨棘上端内縁と下部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中6段階の慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

本人の「腰痛をなんとかしたい」という強い希望や、さまざまな検査所見から初期集中期の段階では週3回のケアから開始した。

1週目(2回目のアジャストメント)には、腰の動き出しの硬さがわずかに軽くなった。朝起き上がるときの痛みは残っていたものの、体を支える際の恐怖感が少し和らぎ、「動いても大丈夫かもしれない」という感覚が出てきた。立ち上がるときに手をつく回数が減り、短時間であれば台所仕事を再開できるようになった。

2週目(6回目のアジャストメント)には、動作のたびに感じていた鋭い痛みが減少し、腰を伸ばしやすくなった。これまでは5分ほど立っているだけで腰が重くなっていたが、家事を一通りこなしても痛みが出にくくなった。この段階でケアのペースを1週間に二度に広げることができた。

4週目(10回目のアジャストメント)には、朝起き上がる際の痛みがほとんど消失し、寝返りのたびに感じていた違和感も軽減した。外出への不安が減り、久しぶりに近所を散歩するようになった。歩行中の姿勢も安定し、歩幅が自然に広がっていた。腰だけでなく脚の軽さを実感するようになり、「動くことが楽になった」と話していた。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

10週目(16回目のアジャストメント)には、腰の可動性が大幅に改善し、家事や外出をしても痛みを感じることがなくなった。以前は夕方になると腰全体が重く感じていたが、その張りも消失し、一日を通して安定した状態を維持できるようになった。この頃には「以前のように庭の手入れができるようになった」と笑顔を見せるようになった。

現在は、腰痛は完全に落ち着き、日常生活を問題なく送れる状態を維持している。本人も「動かないことが一番良くないと分かった」と語り、体の回復を実感している。今後は再発防止と体のメンテナンスを目的として、定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の腰痛は、骨盤部の可動性低下と、それに伴う副交感神経機能の低下が主な原因であったと考えられる。

仙腸関節は体幹を支える中心的な関節であり、上半身の荷重を下肢へと伝える役割を担っている。この関節の可動性が失われると、腰椎を支える深層筋群に過剰な緊張が生じ、筋肉のポンプ作用が低下する。結果として血流が滞り、酸素や栄養の供給が不十分な状態が続く。こうした循環障害は組織の代謝を阻害し、炎症が慢性化する原因となる。

本症例では、長期間にわたる活動制限と安静傾向が重なり、骨盤部および腰部の関節運動が著しく減少していた。さらに、加齢に伴う神経伝達の鈍化が重なり、副交感神経の働きが低下していたことが考えられる。

副交感神経は本来、血流促進や筋緊張の緩和、組織修復などを担う神経であるため、その働きが弱まると体の回復力そのものが低下する。これにより、炎症反応が持続し、痛みが慢性化していたと推察される。

また、痛みを恐れて体を動かさない時間が長くなることで、脳内の運動野にも抑制がかかり、「動かす=痛みが出る」という負の条件づけが形成されていた可能性がある。これは、神経生理学的には“疼痛回避行動”と呼ばれ、結果的に筋肉や関節の活動をさらに制限する悪循環を生み出す。この連鎖が、腰痛を長期化させる大きな要因となっていた。

アジャストメントによって仙腸関節の可動性が回復すると、骨盤部の神経伝達が改善し、副交感神経の活動が正常化した。これにより、血流と代謝が促進され、筋肉や靭帯の柔軟性が戻り、慢性的な炎症反応が鎮静化したと考えられる。さらに、体が再び動けるようになったことで脳へのフィードバックが増え、疼痛回避行動の連鎖も断ち切られた。

腰痛は単なる加齢や筋力低下だけで説明できるものではなく、神経系・循環系・心理的要因が複雑に関わる全身的な現象である。本症例は、年齢に関係なく、神経機能を整えることで体の修復力が再び働き出すことを示した好例であり、仙腸関節のサブラクセーション(根本原因)を的確に取り除くことで、自然治癒力が回復した臨床的意義の高い症例であった。
腰痛で家事もままならず、立ち上がることさえつらくなった
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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