腰椎椎間板ヘルニアによる繰り返す腰痛と脚のしびれ

腰椎椎間板ヘルニアによる繰り返す腰痛と脚のしびれ

手術を覚悟していた腰痛が和らぎ、仕事にも集中できるようになりました!

30代男性
来院に至った経緯
20代後半の頃から、長時間座っていると腰の奥に重だるい痛みを感じるようになった。仕事は一日中パソコンに向かうデスクワークで、集中しているうちに姿勢が崩れ、気づくと背中が丸くなっていることが多かった。慢性的な腰の張りを感じながらも、痛みが出ても少しストレッチをすれば良くなるだろうと軽く考え、深刻に捉えていなかった。

しかし、30歳を過ぎたあたりから、朝の起き上がり動作や靴下を履く動作で強い痛みを感じるようになり、次第に腰痛が慢性化していった。特に疲れが溜まる週末や天候の悪い日は腰の奥がズーンと重く、座りっぱなしの仕事が続くと鈍痛が強くなっていた。

ある日、通勤中に前かがみの姿勢で荷物を持ち上げた瞬間、腰に激痛が走り、そのまま動けなくなった。まるで腰の中で何かが「ブチッ」と切れたような感覚だった。立ち上がることができず、同僚に支えられながらなんとか整形外科を受診したところ、「腰椎4番と5番の間にヘルニアがある」と診断された。MRIでは椎間板が突出して神経を圧迫していることが確認され、「痛み止めと湿布で様子を見ましょう」と告げられた。

安静を指示され、数日間はほとんど動けない状態が続いた。痛みは時間とともに少しずつ落ち着いたが、左脚の太ももからふくらはぎにかけてしびれと重だるさが残った。座っていると次第にしびれが強くなり、30分以上同じ姿勢を保つことが難しくなっていった。

再発を繰り返すうちに、無意識に腰をかばうような姿勢が癖になり、前傾姿勢や立ち上がり動作のたびに腰の奥に不安を感じるようになった。「またあの激痛が来るのではないか」と常に恐怖心を抱き、動作全体がぎこちなくなっていった。

整形外科では「手術をするほどではないが、無理はしないように」と言われ、週1回のリハビリを勧められた。しかし、電気治療や軽いストレッチを続けても一時的に楽になるだけで、根本的な変化は感じられなかった。

日常生活でも支障が出るようになり、通勤電車で立っているだけで腰が重くなり、帰宅後はソファに沈み込むように動けなくなることもあった。痛みを抱えながら仕事を続けるうちに集中力も落ち、気持ちまで沈むようになっていった。「このまま腰痛が治らないのではないか」「将来、歩けなくなったらどうしよう」と不安が強くなり、仕事にも影響が出始めていた。

そんなとき、知人から「自分もヘルニアで歩けなかったけど、カイロプラクティックを受けてかなり良くなった」と当院を紹介された。腰痛が慢性化してから月日が経っていたが、この「苦しみから解放されるなら」と、藁にもすがる思いで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左仙腸関節と下部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左上後腸骨棘上端内縁と下部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と両殿筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要であったが、腰椎ヘルニアを発症した時に仕事を休んでいたため、これ以上会社に迷惑はかけられないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、左腰部の張りが軽減し、「朝起き上がるときの痛みが少し和らいだ」と話していた。依然として腰の奥には重さが残るものの、座位から立ち上がる際の鋭い痛みが減少していた。腰の動きに伴う恐怖感もやや薄れ、通勤中に立っている時間が以前より楽になったと話していた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、左脚のしびれが以前より軽くなり、「座っていてもしびれが気にならない時間が増えた」と報告があった。腰部起立筋の緊張も和らぎ、体幹部の可動性が回復し始めていた。夜間の寝返り動作でも痛みが出にくくなり、熟睡できる日が増えていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

12週目(9回目のアジャストメント)には、腰の深部痛が大幅に軽減し、デスクワーク中に感じていた腰の重だるさもほとんど消失していた。「一日座って仕事をしても、以前のように腰が張らなくなった」と笑顔で話していた。歩行時の動きにも柔軟性が戻り、左脚のしびれは日常生活でほとんど気にならない程度まで改善していた。

18週目(12回目のアジャストメント)には、痛みやしびれの症状は完全に落ち着き、身体全体のバランスが安定していた。「もう腰をかばうような動きを意識しなくても自然に動ける」と話しており、発症前の生活リズムを取り戻していた。

現在は、腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛や脚の痺れの症状は完全に落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛および左下肢のしびれは、左仙腸関節の機能低下により腰椎への負担が過剰に集中した結果、椎間板に慢性的な圧迫ストレスがかかっていたことが主な原因であったと考えられる。

仙腸関節は骨盤の運動連動の中心であり、脊柱の安定に極めて重要な役割を担っている。この関節の可動性が低下すると、体幹の動作時にその動きを補うように腰椎下部、特に腰椎4番5番間レベルの椎間板に過度の剪断力が加わる。椎間板は本来、縦方向の圧力には強いが、ねじれや偏った荷重には脆弱であり、こうした慢性的なストレスの蓄積が、椎間板の線維輪を損傷させ、突出や神経圧迫へとつながる。

さらに、本症例では骨盤部の左腸骨に後方外転変位が確認された。これにより補正作用で仙骨が前方へ傾くことで腰椎前弯カーブが過剰になり過前弯、いわゆる反り腰の状態となってしまう。それにより、胸部の後弯カーブ(猫背)が強くなり、頭部が前方へ移動することで前後のバランスを取ろうとしてストレートネックとなってしまう。これによって、全身の姿勢バランスに連鎖的な影響を及ぼしていた。

アジャストメントによって左仙腸関節の神経機能が回復したことで可動性が戻り、骨盤の支持バランスが整ったことで、下部腰椎にかかるメカニカルストレスが軽減された。その結果、椎間板および神経根周囲の炎症が鎮静化し、神経圧迫による症状が改善したと推察される。また、仙腸関節の可動性回復は、腰椎の運動分節における異常運動(ハイパーモビリティ)を防ぎ、神経機能の正常化を促進した。

腰部椎間板ヘルニアはしばしば構造的な問題として捉えられるが、実際にはその背景に機能的な神経制御の乱れが存在するケースが多い。仙腸関節の機能低下により、骨盤神経叢を介する神経伝達が阻害され、筋群のバランスが崩れることで、椎間板への力学的負担が慢性化していく。本症例では、神経機能を正常化させるカイロプラクティック的アプローチによって、構造的な負担が軽減し、自然治癒力が最大限に働いた結果、手術を行わずに腰痛や下肢のしびれの改善に至ったと考えられる。

本症例は、腰部椎間板ヘルニアが単なる局所的な椎間板の問題ではなく、骨盤機能・姿勢バランス・神経機能の三要素が密接に関与する全身的な機能障害であることを示している。すなわち、カイロプラクティックによる正確なサブラクセーション(根本原因)の除去が、神経生理学的回復と構造的安定性の再構築に直結することを臨床的に裏づける症例であった。
腰椎椎間板ヘルニアによる繰り返す腰痛と脚のしびれ
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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