腰椎分離症による慢性的な腰痛

腰椎分離症による慢性的な腰痛

もう手術のことは考えずに笑顔で話せるようになりました!

50代女性
来院に至った経緯
40代になった頃から、腰の重だるさや鈍い痛みに悩まされるようになった。最初のうちは「年齢のせいかな」「少し休めば良くなるだろう」と軽く考え、湿布やマッサージでごまかしていた。しかし、立ち仕事や家事が続くと痛みは徐々に強くなり、朝起きた瞬間から腰に違和感を覚える日が増えていった。

ある日、布団から起き上がろうとした瞬間に腰に激痛が走り、そのまま動けなくなった。まるで腰の中で何かが「パキッ」と折れたような感覚で、家族に支えられてようやく整形外科へ行ったところ、「腰椎5番の分離症」と診断された。医師からは「手術をするか、痛み止めで抑えるしかない」と説明され、リハビリの選択肢もなく、処方された痛み止めを飲みながら日常をなんとか過ごしていた。

それから10年以上、腰の痛みと付き合う生活が続いた。重い物を持つことが怖くなり、洗濯物を干す動作でさえ慎重になった。仕事中も「また痛くなるかもしれない」と不安を抱え、無意識に体をかばうようになっていた。

そんなある日、5年ぶりに再び歩けないほどの激しいぎっくり腰を発症した。立ち上がることすらできず、再度整形外科を受診したところ、「分離している部分が悪化している。このまま進行すれば歩けなくなる」と言われた。その言葉が頭から離れず、「いよいよ手術しかないのか」と覚悟したが、心のどこかで「本当にそれしか方法はないのだろうか」と迷いが残った。

日常生活でも痛みは悪化しており、椅子に座る時間が長くなると腰の奥がズーンと重く、寝返りを打つだけでも痛みで目が覚めるようになっていた。気がつけば、痛みを恐れて体を動かすことすら避けるようになっていた。

そんなとき、パート先の同僚から「腰痛で困っているなら、ここの先生に診てもらった方がいいよ」と当院を紹介された。最初は「自分の腰痛は“分離症”が原因だから、整体やカイロプラクティックでは無理だろう」と思っていたが、同僚は「私は専門的なことはわからないけど、本当にここで楽になったから一度行ってみな」と笑顔で勧めてくれた。

「手術をする前に、できることは全部試してみよう」という思いが背中を押し、半信半疑ながらも一度受けてみようと決意し、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部腰椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端内縁と腰椎5番に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。腰椎5番は整形外科で診断されている通り、腰椎分離症も確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアが必要な状態であったが、来院当初は一人で長時間歩くことも困難で家族のサポートが必要だったため、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、腰部のこわばりがやや軽減し、「朝起き上がるときの痛みが少し和らいだ」と話していた。依然として腰椎周囲には強い防御反応が見られたが、ケア後は腰の奥に温かさを感じるようになり、夜の寝返り動作も以前よりスムーズになっていた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、歩行距離が伸び、買い物などの日常動作でも「腰が抜けるような不安感が減った」と話していた。腰部起立筋の緊張が和らいだことで、立ち上がり動作の際に感じていた“ピキッとした痛み”が出にくくなっていた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、「腰の重だるさは残るものの、痛みで動けないことはなくなった」と話していた。仕事中の動作にも安定感が出はじめ、長時間座っていても痛みが出にくくなった。夜間痛も軽減し、寝返りのたびに目が覚めることがなくなっていた。

11週目(11回目のアジャストメント)には、腰の深部の痛みはほとんど消失し、体全体の軽さを実感していた。「朝の動き出しもスムーズで、腰を気にせず家事ができるようになった」と笑顔で話していた。体幹部の安定性が明らかに高まり、分離部へのストレスも減少傾向が見られた。

14週目(14回目のアジャストメント)には、痛みは完全に落ち着き、久しぶりに家族とウォーキングを楽しめるまでに回復していた。表情も明るくなり、「もう手術のことを考えなくて済むと思うと本当に気が楽になった」と話していた。

現在は、腰椎分離症に伴う腰痛はほとんど落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスのため定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の腰椎分離症に伴う腰痛は、構造的な骨の分離そのものが腰痛を引き起こしていたわけではなく、右仙腸関節の機能低下とそれに伴う神経的な適応不全が主な原因であったと考えられる。

仙腸関節は骨盤の支持と運動連動の要であり、ここに機能低下が生じると、腰椎に過剰な負担が集中する。特に分離を起こしている腰椎5番は、もともと構造的に脆弱であるため、仙腸関節の可動性が損なわれることで、その上に位置する腰椎の分離部にストレスがかかりやすくなる。結果として、分離部に慢性的な炎症反応が生じ、痛みが持続していたと考えられる。

また、腰椎分離症に伴う腰痛は、骨の変性だけでは説明できないケースが多い。実際、分離が存在しても無症状で生活できる人は少なくない。つまり、今回のように強い痛みを訴える背景には、骨盤周囲の機能的アンバランスと、それを制御する神経系の問題が大きく関与している。

本症例では、右仙腸関節に強い可動域制限が認められた。人間には補正作用があるため、どちらかの仙腸関節の機能が低下すると、反対側はそれを補うため過剰に動いてしまう。腰椎や腰の椎間板はその構造上捻じれの動作に弱くできている。

カイロプラクティックでの臨床においては、腰椎分離症のほとんどが疲労骨折という例が少なくない。今回のケースでも、外傷があったわけでも激しいウエイトトレーニングをしていたわけでもなく、日常生活においての自然な分離症が発症していた。

このようなケースの場合、腰椎5番が疲労骨折を起こしてしまうほどの負担が掛かっているわけであり、その負担がどこから来ているかといえば、ほとんどが骨盤部の仙腸関節からとなる。

アジャストメントによって仙腸関節の可動性が回復したことで、腰部の神経に掛かっていた負担が徐々に解放され、椎骨の分離部にかかるストレスが軽減されたと考えられる。それに伴って、周囲の筋緊張や循環が改善し、神経伝達が正常化した結果、痛みが消失したと推察される。

この症例は、構造的異常として捉えられがちな「腰椎分離症」においても、神経機能の回復と骨盤の動的安定性が痛みの軽減に大きく関与することを示している。手術や薬に頼らずとも、神経機能を整えることで身体は自然に回復しうることを示唆する重要な症例であった。
腰椎分離症による慢性的な腰痛
腰椎分離症による慢性的な腰痛 腰椎分離症による慢性的な腰痛 腰椎分離症による慢性的な腰痛

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

症例一覧へ戻る
pagetop