胸郭出口症候群による寝起きの腕のしびれとデスクワーク中の重だるさ

胸郭出口症候群による寝起きの腕のしびれとデスクワーク中の重だるさ

どこに行っても改善しなかった胸郭出口症候群による右腕のしびれが改善しました!

40代男性
来院に至った経緯
40代に入り、デスクワーク中心の生活が長く続くようになったころから、右肩から右腕にかけて軽いしびれを感じるようになった。最初のうちは「寝違えたのかな」「肩こりの延長だろう」と軽く考えていたが、数日経っても症状が消えず、特に寝起きのタイミングで右肩から腕にかけてのしびれが強く出るようになった。

朝の洗顔や歯磨きの際に腕を上げると、ジーンと電気が走るような感覚があり、時間が経つと少しずつ落ち着くものの、日中のデスクワークを続けると再びしびれが強くなるという状態を繰り返していた。特にパソコン作業中や電話を長く持っているときに症状が悪化し、右手で物を持つと力が入りにくく感じることもあった。

当初はストレッチやマッサージで様子を見ていたが、改善はみられなかった。夜寝ている間に腕の位置を変えるだけでしびれが強くなることもあり、眠りが浅くなって日中の集中力にも影響が出るようになった。症状が続くうちに、「感覚が鈍くなっているような気がする」と感じるようになり、徐々に腕を使う動作そのものに不安を覚えるようになった。

整形外科では「胸郭出口症候群」と診断された。また、首がストレートネックになっていると言われ、リハビリや湿布を勧められたが、数週間通っても大きな変化はなかった。痛み止めを服用しても一時的な効果にとどまり、デスクワークを再開するとすぐに症状が戻ってしまった。

その後、整体院や鍼灸院などにも通ってみたが、どこでも「肩まわりの筋肉が硬いですね」と言われ、施術直後は少し楽になるものの、翌朝にはまた同じように腕がしびれていた。鍼治療ではその場で少し温まるような感覚があったが、持続する効果は得られず、次第に「どこに行っても変わらない」と感じるようになった。

「このままでは仕事にも支障が出るのでは」と感じ、朝のしびれを恐れて寝る姿勢まで意識するようになったが、それでも翌朝には再び同じ症状が現れ、精神的にも疲弊していた。姿勢を意識して背筋を伸ばしてみても、長年のデスクワークで固まった首や肩の緊張は簡単には取れず、根本的な改善には至らなかった。

そんなとき、インターネットで“胸郭出口症候群 改善”と検索していたところ、当院のホームページを見つけた。これまでのように筋肉をほぐすだけでなく、「しびれの原因を詳しく検査して、体全体のバランスから整えていく」という説明に共感した。

「ここなら今までと違うアプローチが受けられるかもしれない。腕のしびれを本気で何とかしたい」という思いから、最後の望みをかけて当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    上部胸椎の明らかな可動域制限

  • 02

    隆椎周辺にスポンジ状の浮腫

  • 03

    首から肩にかけての過緊張

経過と内容
初診時の状態では、上部胸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、上部胸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺にスポンジ状の強い浮腫が確認され、首から肩にかけては過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、平日は残業続きで時間の確保が難しいとのことだったため、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、寝起き時のしびれが軽減し、「朝起きたときの腕のビリビリが少し弱くなった」と話していた。肩の張りもやや和らぎ、日中の作業時に腕を上げる動作が楽になり始めていた。

4週目(4回目のアジャストメント)には、パソコン作業中のしびれが軽減し、「以前のように腕がだるくならない」との報告があった。首から肩にかけての緊張も減少し、姿勢の維持が容易になっていた。この段階でケアのペースを1週間に1回から10日に1回に広げることができた。

7週目(6回目のアジャストメント)には、夜間のしびれがほとんど消失し、睡眠中に目が覚めることもなくなっていた。「朝の腕のしびれがなくなってきて、起きたときにスッと動けるようになった」と話していた。

10週目(8回目のアジャストメント)には、仕事中の腕のしびれや握力の違和感も解消し、右手で物を持った際の不安感がなくなっていた。体幹と肩の連動性が安定し、姿勢の崩れが少なくなっていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

16週目(11回目のアジャストメント)には、症状の再発もなく、長時間のデスクワークを行っても腕のしびれや重だるさを感じることがなくなった。本人も「朝も夜も全く気にならない。ようやく普通に仕事ができるようになった」と笑顔で話していた。

現在は、胸郭出口症候群による右肩から右腕のしびれは完全に解消されたが、再発防止と身体のメンテナンスのため、定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の胸郭出口症候群による右肩から右腕にかけてのしびれは、上部胸椎の機能低下により、神経や血流の働きが乱れていたことが根本的な要因であると考えられる。

胸郭出口症候群は、首から腕へと走る神経や血管が、鎖骨や肋骨、筋肉の間で圧迫されることで起こる症状である。多くの人は「筋肉の硬さ」や「姿勢の悪さ」が原因と思いがちだが、実際には背骨の一部(特に上部胸椎)が動かなくなっていることが、その土台となっている。

上部胸椎は、首(頚椎)と胸郭(肋骨・鎖骨)をつなぐ“要の関節”である。この部分が動かなくなると、鎖骨や肋骨のわずかな上下動まで制限され、腕へ向かう神経の出口が狭くなる。結果として、神経や血管に慢性的な圧力がかかり、しびれやだるさを引き起こす。体表温度検査で確認された左右差や隆椎部の浮腫は、この部位における神経伝達の乱れと局所循環の停滞を示すものであった。

さらにデスクワークでは、頭が前に出た姿勢(いわゆるストレートネック)が続く。この姿勢は胸郭を下方向に押し込み、第一肋骨を持ち上げる筋群(斜角筋や小胸筋など)に持続的な緊張を与える。その結果、腕神経叢を通るスペースがさらに狭くなり、神経の圧迫が増してしまう。この状態が長期化すると、筋肉をほぐしても根本的な改善は見られない。

アジャストメントによって上部胸椎の神経機能が回復すると、第一肋骨と鎖骨の連動が正常化し、そこを通る神経や血流の通り道が開放される。神経伝達が整うことで筋の緊張も自然に緩み、末梢循環が回復していく。本症例では、まさにこのプロセスを経て腕のしびれが段階的に軽減し、最終的には完全に消失した。

胸郭出口症候群という名前から、首や肩の問題だけに目を向けてしまいがちだが、実際は背骨の機能低下が神経の働きを乱し、結果的に腕の症状として現れているケースが多い。今回の改善は、まさに神経機能の回復がもたらした結果といえる。

カイロプラクティックは、症状そのものを追うのではなく、神経の働きを整えて身体全体のバランスを回復させる療法である。背骨のひとつひとつの働きを正確に評価し、サブラクセーション(神経機能の滞り)を取り除くことで、人が本来もつ治癒力が十分に発揮される。その結果として、しびれや痛みといった表面的な不調も自然に回復へ向かっていく。

本症例は、胸郭出口症候群のような神経圧迫症状においても、筋肉ではなく背骨の働きに着目した神経学的アプローチが極めて有効であることを示した臨床例であった。
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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