異常なしと言われ続けた不整脈の恐怖と不安

異常なしと言われ続けた不整脈の恐怖と不安

夜も眠れなかった動悸が落ち着き、安心して日常を送れるようになりました!

60代男性
来院に至った経緯
若い頃から身体が強く、特にこれといった病気を指摘されたことはなかった。しかし60歳を過ぎた頃から、時折胸の奥で「ドクン」と不自然に強い拍動を感じたり、逆に「スッ」と一瞬脈が途切れるような感覚に襲われるようになった。最初は疲れやストレスのせいだと考え、深く気にせずに過ごしていた。

ところが、ある日夜中に突然胸がドキドキと暴れ出し、息が浅くなり目が覚めた。しばらく動けず、「このまま心臓が止まるのではないか」という恐怖に全身が震えた。

翌朝病院で検査を受けたが、心臓や脳には異常が無く「年齢的に出やすい一過性の不整脈で、特に心配はいらない」と言われただけだった。その場では安心しようと努めたものの、実際の生活では症状は頻繁に現れ、むしろ不安は大きくなっていった。

散歩の途中で急に胸が締め付けられるような感覚に襲われ、立ち止まって呼吸を整えなければならなかったこともあった。ゴルフでは途中で心拍が乱れ、動悸と息切れでプレーを中断せざるを得なかった。

孫と遊んでいたときに胸の動悸が強まり、思わず座り込んでしまったときは、孫の不安そうな顔が忘れられず、「このままでは家族に迷惑をかけてしまう」と強い焦りを感じた。

不整脈はいつ襲ってくるか分からないため、外出先で突然倒れてしまうのではという不安が常につきまとった。電車に乗ると「途中で意識を失ったらどうしよう」と考えてしまい、長距離の移動を避けるようになった。夜になると「また脈が乱れるのではないか」と眠りも浅くなり、疲労感が抜けず悪循環に陥っていた。

病院では「異常なし」と言われ、薬を処方されるほどの重症でもないと言われ続けたが、自分の体は確実に悲鳴を上げているように思えた。脈が乱れるたびに「今度こそ命に関わるのではないか」と怯え、日常生活から活力が失われていった。

そんなとき、たまたまYouTubeで塩川満章先生の動画を見る機会があった。動画ではさまざまな症状の人が変化しているということを知った。中でも興味を引いたのは、塩川先生が動画の中で「ぜんぶ神経の問題だ」と言っていたことであった。

病院で「異常なし」と言われたが、自分も神経の問題なのかと疑問を持ち始めた。インターネットで調べてみると、たまたま家からほど近い藤沢駅前に塩川先生の弟子が開院していることを知った。

これは何かの縁だと思い、自分も神経の問題だとしたら不整脈も改善できるのかもしれないと希望を抱き、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

検査所見や本人の「絶対に改善したい」という強い意志のもと、初期集中期の段階では週2回のケアから開始した。

3週目(5回目のアジャストメント)には、夜中に動悸で目が覚める回数が減り、朝まで眠れる日が出てきた。本人は「少しだけ心臓が落ち着いているように感じる」と語り、生活の中にわずかながら安心感を取り戻し始めた。

5週目(9回目のアジャストメント)には、日中の不規則な脈の乱れが以前よりも軽くなり、散歩や買い物に出かけても強い不安に駆られることが少なくなった。特に「外出先で倒れるのでは」という恐怖心が薄れ、電車に乗っても落ち着いて座っていられるようになった。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

9週目(13回目のアジャストメント)には、趣味のゴルフを再開できるまでに改善し、プレー中に途中で休むことなく18ホールを回りきれた。本人は「久しぶりに孫と一緒に遊んでも不整脈が気にならなかった」と笑顔を見せた。

16週目(20回目のアジャストメント)には、脈の不規則さはほとんど気にならなくなり、以前のように胸の奥に「ドクン」と不快な拍動を感じることもなくなった。。夜も熟睡できるようになり、日常生活に対する恐怖や制限は大幅に減少していた。

現在は、不整脈による動悸などの症状はほとんどの解消されたが、いつまでも健康な身体を維持したいという思いから、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の不整脈は心臓そのものに器質的な病変が見られなかったことから、心臓リズムを調整する自律神経のアンバランスが主因であったと考えられる。

心拍は洞結節の電気信号によって規則性が保たれるが、その活動は交感神経と副交感神経の拮抗作用に依存している。交感神経が優位になれば脈は速まり、副交感神経が優位になれば安定する。つまり両者の均衡が崩れると、脈のリズムは容易に乱れてしまう。

本症例では、長年の過労や精神的な緊張が積み重なり、交感神経が過剰に働き続ける状態が慢性化していた。その結果、迷走神経による抑制作用が弱まり、夜間や安静時にも突然の動悸や不整脈が出現するという不安定な心拍リズムを生み出していたと推測される。

患者本人が「いつまた起こるか分からない恐怖」を訴えていたのは、まさに自律神経の乱れが日常生活そのものを支配していた証拠である。

検査で確認された上部頸椎と仙骨部の機能低下は、この自律神経の不安定さを裏付ける重要な所見であった。特に上部頸椎は、頸静脈孔を通過する迷走神経の走行部位と近接しており、その安定性が損なわれると、迷走神経を介した副交感神経支配が心臓に十分伝わらなくなる。

迷走神経は心臓の洞結節に直接信号を送り、心拍リズムを抑制・安定させる役割を持つため、この領域の神経機能が乱れることは不整脈の大きな要因となる。一方、仙骨部は骨盤内臓神経を介して副交感神経の働きに関わっており、この領域の機能低下も全身の自律神経バランスを乱す要因となる。

アジャストメントによって神経機能が回復し、特に上部頸椎を介した迷走神経の働きが安定することで、心拍変動性(HRV)は改善し、洞結節の過剰な発火が抑制されていった。結果として、動悸や不整脈の発作頻度は減少し、患者は「不安から解放された安心感」を取り戻すことができた。

この症例は、不整脈が単に心臓の問題として扱われるのではなく、神経系と臓器の相互作用の乱れによって引き起こされることを示すものである。特に上部頸椎と迷走神経の安定性が心臓機能に直結するという臨床的な意義を示した点は重要であった。

サブラクセーション(根本原因)を取り除くことで自律神経の働きが回復し、生命活動のリズムそのものが安定するという、カイロプラクティックケアの本質的な価値を体現した症例であった。
異常なしと言われ続けた不整脈の恐怖と不安
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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