滝に打たれるような眠れないほどの耳鳴り

滝に打たれるような眠れないほどの耳鳴り

眠れない夜と仕事への不安から解放され、日常を楽しめるようになりました!

50代男性
来院に至った経緯
最初に耳鳴りを感じたのは40代になってからだった。キーンという高い金属音が、静かな部屋でふとした瞬間に聞こえるようになった。

最初は気にしないようにしていたが、次第に仕事中のオフィスのざわめきの中でも耳鳴りが鳴り響くようになり、集中できない日が増えていった。

仕事は一日中パソコンに向かうデスクワークが中心で、耳鳴りは「ジー」「ザー」といった低く大きな音に変わっていった。疲れが溜まると椅子から立ち上がった瞬間にめまいのような感覚に襲われることもあり、不安を抱えながら仕事を続ける日々が続いた。

症状はどんどん悪化し、夜も耳鳴りが気になって眠れないことが増え、心身ともに疲弊していった。耳鼻科をいくつも受診したが、「年齢なりですね」「早い人は40代から出ますよ」と言われるばかりで、納得のいく説明は得られなかった。

脳神経内科でMRIやCTを受けても「異常なし」とされ、最終的には「ストレスが原因でしょう」と診断され、抗不安薬や漢方薬を処方された。しかし、薬を飲んでも症状は一向に改善しなかった。

藁にもすがる思いで同僚から紹介された鍼治療を受けると、その日は少し耳鳴りが和らいでよく眠れた。

ところが翌朝、これまで経験したことのないほどの轟音の耳鳴りに襲われ、まるで滝に打たれているかのような感覚に加え、立ち上がると同時に激しいめまいで倒れ込んでしまった。

妻が救急車を呼び病院で精密検査を受けたが、結果はやはり異常なし。「ストレスのせいでしょう」と言われ、1週間の休養を指示された。

1週間休むことで滝のような耳鳴りは落ち着いたものの、耳鳴り自体は治まらなかった。仕事が忙しくなると再び強烈な耳鳴りがぶり返し、日常生活の質は確実に低下していった。

正月に親戚が集まった際、耳鳴りに悩んでいることを打ち明けたところ、「ここの先生、すごいから相談してみたら?」と当院を紹介された。

正直、「耳鳴りでカイロプラクティック?」と半信半疑ではあったが、これまで何を試しても改善が見られなかったこともあり、最後の望みを託すような気持ちで当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は仕事が終わる時間が読めなかったため、週末の週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、夜眠る前の「キーン」という耳鳴りの強さがやわらぎ、寝つきが以前よりも早くなった。眠れた実感があるだけで翌日の仕事への集中力が少し戻り、本人の表情にも余裕が見られるようになった。

8週目(8回目のアジャストメント)には、日中の「ザーッ」とした耳鳴りが明らかに弱まり、会議やパソコン作業に集中できる時間が増えた。めまいのようなふらつきも起こらなくなり、仕事のパフォーマンスに大きな支障をきたさなくなった。

16週目(12回目のアジャストメント)には、夜間の耳鳴りで眠れない日がほとんどなくなり、朝の倦怠感が軽減。休日には散歩や買い物を楽しむ余裕が戻り、「久しぶりに外出するのが楽しい」と本人が喜んでいた。

24週目(18回目のアジャストメント)には、強烈な「滝に打たれるような耳鳴り」が完全に再発しなくなり、耳鳴りの存在を意識しない時間が増えた。生活の質が大きく改善し、睡眠も安定して取れるようになった。

現在は、耳鳴りをほとんど感じることがなくなり、仕事や日常生活にも全く支障がない状態へと回復している。患者自身も「耳鳴りに悩まされない生活が戻ってきた」と大きな変化を実感しており、再発予防とさらなる健康維持のために、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の耳鳴りは、上部頸椎に大きな負担が掛かり、その影響が内耳や自律神経の働きに波及したことが原因であったと考えられる。

耳鳴りやめまいは耳そのものの異常ではなく、脳と神経系の情報処理の乱れとして現れることが多い。特に上部頸椎は内耳の神経機能や血流と深く関わっており、この領域の不安定さは内耳神経(第8脳神経)の働きに間接的な影響を与える。

検査では上部頸椎と骨盤部に強い反応が確認されており、これらはいずれも副交感神経の支配領域である。副交感神経の働きが抑え込まれると、その反動として交感神経が過剰に働く状態となる。この神経バランスの乱れが、不眠や慢性的な疲労感を引き起こすだけでなく、耳鳴りの症状を悪化させていたと考えられる。

耳鳴りは「感覚の過敏さ」とも深く関係している。交感神経が過剰に働くと脳は外部からの刺激に対して敏感になり、通常なら拾わない微細な雑音まで過剰に拾ってしまう。その結果、本来は感じる必要のない音を「耳鳴り」として知覚してしまうのである。今回の患者における「キーン」、「ジー」、「ザー」といった多様な耳鳴りの表現は、まさに感覚過敏の一形態と解釈できる。

また、めまいが伴っていたことも重要な手がかりである。内耳の三半規管に存在するリンパ液は体の動きを脳へ伝える役割を担っているが、自律神経の乱れによってその産生と吸収のバランスが崩れると、内耳はむくんだ状態となる。

体が動いていないのにリンパ液が動いてしまうことで、脳が「体が動いている」と誤認識し、めまいとして現れるのである。頭の位置を変えたときに強いめまいが出ていたことは、この仕組みを裏づけている。

さらに、睡眠の質の低下も耳鳴りを慢性化させる大きな要因であった。夜間は本来、副交感神経が優位となり体を回復させる時間であるが、交感神経が過剰に働く状態では眠りが浅くなり、十分な回復が得られない。その結果、ストレスホルモンの分泌が高まり、耳鳴りやめまいをさらに悪化させる悪循環が続いていたと推測される。

継続的なケアによって上部頸椎と骨盤部の働きが整い、自律神経のバランスが回復したことで、耳鳴りやめまい、不眠が次第に改善していったと考えられる。

本症例は、耳鳴りを単なる「年齢のせい」「ストレスのせい」と片付けるのではなく、神経学的な背景と自律神経・内耳機能の関連から理解することの重要性を示す好例であった。
滝に打たれるような眠れないほどの耳鳴り
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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