更年期障害による疲労感と気分の不安定に悩まされた日々

更年期障害による疲労感と気分の不安定に悩まされた日々

睡眠も気持ちも安定し、ようやく普通の生活を取り戻せました!

50代女性
来院に至った経緯
50代に入った頃から、体調の不安定さを強く感じるようになった。夜は眠りが浅く、何度も目が覚めてしまうため熟睡感が得られず、朝から疲労感が抜けなくなった。

仕事中も集中力が続かず、以前なら難なくこなせていた業務に時間がかかり、小さなミスも増えていった。気分の波も大きく、急に涙がこぼれたり、家族や同僚に対して必要以上に強く当たってしまうことがあり、本人も「自分が自分でなくなったようだ」と感じることが増えていった。

身体的にも様々な不調が重なっていた。肩や首のこり、手足の冷えやむくみ、全身の倦怠感に加え、ときおり顔が熱くなって汗ばむこともあった。どれも命に関わる症状ではないと分かっていながら、複数の症状が同時に押し寄せることで、日常生活のあらゆる場面に支障をきたしていた。

婦人科を受診すると「更年期障害」と説明され、ホルモン補充療法や安定剤、睡眠導入剤などを勧められた。しかし薬で一時的に抑えるだけでは根本的な改善にはならないのではないか、年齢とともに薬が増えていくのではないかという不安があり、踏み出せなかった。

気づけば家庭内でも影響が出ていた。些細なことで夫や子どもに声を荒らげてしまい、そのたびに自己嫌悪に陥ってしまった。周囲に理解されにくい不調だからこそ「怠けているだけでは」と誤解されるのではないかという孤独感も募っていった。

このままではいけないと思い、インターネットで更年期障害と自律神経の関わりについての記事を目にした。ホルモンの変化だけでなく、神経の働きの乱れが症状を複雑にしていることを知り、強い関心を抱いた。

さらに検索を進める中で当院のホームページを見つけ、「神経の働きを整えることが根本改善につながる」という説明に深く共感した。

「年齢のせいだから仕方がない」と諦めかけていたが、「本当の原因を探り、体を根本から整えることで変われるかもしれない」という希望が芽生えた。

薬に頼るのではなく、自分自身の力で再び健やかな日常を取り戻したいとの思いから、当院でのケアを受けることを決断した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左上後腸骨棘上端内縁と第一頸椎左横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋から左殿筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の多忙から週2回のケアから開始した。

5週目(9回目のアジャストメント)には、依然として全身の倦怠感や睡眠の不安定さは残っていたが、体表温度の変化や頸部・骨盤部の緊張の軽減が確認され、本人も「少し体が軽くなったような気がする」と話すようになった。大きな症状の改善には至らなかったが、日常生活で感じる不調の強さがわずかに和らぎ、継続への意欲が高まった。

12週目(18回目のアジャストメント)には、夜中に何度も目が覚めることは依然あったものの、入眠までの時間が短縮され、以前よりも眠りにつきやすくなった。日中の集中力もわずかに改善し、仕事でのミスが減ったことに本人も気づいていた。この段階でケアのペースを週1回に広げることができた。

20週目(25回目のアジャストメント)には、慢性的に続いていた肩や首のこりが和らぎ、朝起きたときの疲労感も軽減された。気分の浮き沈みも以前より穏やかになり、家族から「最近、イライラすることが少なくなったね」と言われるようになった。本人も「周囲に迷惑をかけている」という罪悪感から解放されつつあり、気持ちが前向きになっていた。

32週目(38回目のアジャストメント)には、以前は日常生活に大きく影響していた倦怠感や気分の不安定さはほとんど気にならなくなり、睡眠の質も安定してきた。仕事や家庭での役割を無理なくこなせるようになり、「ようやく普通の生活が戻ってきた」と実感できるようになった。

現在は、更年期障害による諸症状は大きく落ち着いたが、年齢や生活環境に応じた再発予防と体調管理を目的として、定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の更年期障害は、自律神経の乱れが大きな要因であったと考えられる。

更年期と呼ばれる年代に入ると卵巣の働きは徐々に低下し、女性ホルモンの分泌量は自然と減少していく。これは女性であれば誰しも迎える生理的な過程であり、異常なことではない。

しかし実際には、更年期障害と呼ばれる多彩な症状に苦しむ人もいれば、ほとんど不調を感じずに過ごせる人もいる。この差を生み出している背景こそ、自律神経の働きである。

閉経に向かう過程でエストロゲンやプロゲステロンの分泌が急激に低下すると、脳はその変化を感知し、卵巣に対して分泌を促す信号を送り続ける。ところが卵巣の機能はすでに役割を終えつつあるため、その命令には応えられない。

すると脳は「命令が無視されている」と認識し、さらに強い信号を送り続ける。このとき指令の伝達経路となるのが交感神経であり、過剰な興奮状態が持続することで自律神経のバランスは大きく乱れてしまう。

結果として、倦怠感、睡眠障害、気分の浮き沈みなど、典型的な更年期障害の諸症状が引き起こされるのである。

今回の検査では、骨盤部と上部頸椎という、いずれも副交感神経と密接に関わる部位に強い反応が確認された。副交感神経の働きが低下すると、本来は交感神経の過剰な興奮を抑えてバランスを取るはずの制御機能が失われる。

その結果、すでに過敏になっている交感神経がさらに暴走し、不眠や慢性的な疲労感といった症状を助長していたと推察される。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれたことで、副交感神経の働きが回復し、自律神経の均衡が再び保たれるようになった。その結果、脳と卵巣の情報のやり取りが円滑となり、更年期障害による諸症状が徐々に軽減されていったと考えられる。

今回の症例は、更年期障害を単にホルモンの減少や加齢のせいにするのではなく、神経と骨格の機能的なつながりとして捉え直すことの重要性を示している。

神経の流れを整え、体の情報を脳へ正しく伝える環境をつくることが、更年期世代における健康の維持において欠かせない要素であることを再確認できた症例であった。
更年期障害による疲労感と気分の不安定に悩まされた日々
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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