手術後から続いた原因不明の足のむくみ

手術後から続いた原因不明の足のむくみ

薬でも治らなかったむくみが改善し、体の軽さと安心を取り戻せました!

50代男性
来院に至った経緯
数か月前、突然腹部から背中にかけて強い痛みが出た。数日続く発熱もあり、体全体に強い倦怠感を感じていたため病院を受診したところ、「膵胆管に炎症がある」と診断され、緊急的に手術を受けることになった。

手術は無事に終わったが、術後2日目あたりから両脚に異常なむくみが現れた。朝起きた時点で足首が腫れ、夕方にはふくらはぎ全体がパンパンに張り、靴下の跡がくっきりと残るようになった。足の甲までむくみが広がり、靴が履けないほど腫れ上がる日もあった。

担当医に相談したが、「この手術で脚がむくむという事例は過去にありません。手術とは関係ないでしょう。念のため血液をサラサラにする薬を出しておきますね」と言われた。4週間ほど薬を飲めば落ち着くと言われたものの、1か月経ってもむくみはまったく変わらず、それどころか動悸が強くなってきた。

不安になり別の病院で再検査を受けたところ、「頻脈性不整脈」と診断され、血圧も上が180・下が110と異常に高い数値を示していた。しかしその病院でも「膵胆管の手術後に脚がむくむ事例は聞いたことがない」と言われ、「すでに血液サラサラの薬を飲んでいるなら、うちでできることはありません」と説明され、経過観察のみとなった。

手術前にはむくみなど一度も気にしたことがなかっただけに、原因がわからないまま症状が続くことに強い不安を抱いた。薬では改善が見られず、自分でもいろいろと試してみた。

半身浴を毎日続け、寝るときには脚の下にクッションを挟んで少しでも血流が良くなるよう工夫した。知人の勧めで鍼灸院にも通ってみたが、むくみは一時的に軽くなる程度で、数時間後には元に戻ってしまった。塩分を控えたり、水分摂取量を調整してみたりと生活面でも工夫を重ねたが、思うような変化は得られなかった。

次第に脚だけでなく、全身の重だるさや疲労感も強くなり、朝起きたときから体全体がむくんでいるような感覚が続いた。まるで体の循環が滞っているようで、日常生活にも支障が出始めた頃、別の知人から「ここに通って体が軽くなった」と当院を紹介された。

「カイロプラクティックと脚のむくみなんて関係ないだろう」と思ったが、病院では原因が分からず他にやりようもなかったため、一度試してみようと思いご紹介という形で当院に来院された。


【神奈川県相模原市から来院】
初診の状態
  • 01

    下部頸椎の明らかな可動域制限

  • 02

    隆椎周辺の強い浮腫感

  • 03

    下部胸椎の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、下部頸椎・下部胸椎・下部腰椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査でも、下部胸椎・下部胸椎・下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺と下部胸椎に強い浮腫が確認され、脊柱起立筋は全体的に過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルで激しい椎骨の変性が確認された。首の椎間板の段階は6段階中5段階の慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、入院で仕事を長期間休んだことで復帰後は多忙であり、病院での再検査などもあったため、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、夕方になるとパンパンに張っていた両脚のむくみがやや軽くなり、靴下の跡が薄くなった。朝起きたときの脚の重だるさも少し軽減し、「夜のうちに足が少し楽になっている感じがする」と本人も変化を実感していた。

9週目(8回目のアジャストメント)には、日中の脚の張り感が減少し、仕事後も歩行時の重さが気にならなくなってきた。ふくらはぎの皮膚にあった圧迫感が和らぎ、冷えの訴えも少なくなった。体全体の疲労感も軽くなり、「帰宅後のだるさが以前より少ない」と話していた。

15週目(14回目のアジャストメント)には、夕方になっても足首の腫れがほとんど見られなくなった。夜になると感じていた熱感やズキズキとした圧迫痛も消失し、睡眠の質が改善した。体全体の循環が良くなったように感じ、朝の体の軽さがはっきりと実感できるようになった。

21週目(20回目のアジャストメント)には、ふくらはぎや足の甲にかけてのむくみはほとんど消失し、血圧や脈の乱れも安定してきた。仕事後も脚が張ることはなく、夜もぐっすり眠れるようになった。本人は「ようやく元の体に戻ってきた気がする」と笑顔で話していた。

現在は、むくみや倦怠感などの症状はほとんど落ち着いたが、今後も体調を安定させるために、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の下肢の強いむくみは、手術という外的ストレスによって交感神経系の機能が低下し、全身の代謝と循環機能が著しく滞っていたことが根本的な要因であったと考えられる。

本来、交感神経は血管の収縮・拡張を精密にコントロールし、静脈やリンパの還流を促す働きを担っている。特に下肢の循環では、重力に逆らって血液を心臓へ戻すポンプ作用が必要であり、その制御に関与するのが下部胸椎〜腰椎レベルの交感神経支配である。術後、この領域に神経機能の乱れが生じると、末梢の血管トーンが低下して静脈還流が滞り、結果として水分や老廃物が組織間に滞留する。これが慢性的な浮腫を引き起こす生理的背景である。

検査所見では、下部頸椎・下部胸椎・下部腰椎に明らかな可動域制限と浮腫反応が認められた。下部頸椎は甲状腺と密接な関係を持ち、甲状腺ホルモンの分泌は全身の代謝速度を左右する。交感神経の低下によりこの領域の神経伝達が乱れると、甲状腺の働きも低下し、細胞レベルでのエネルギー代謝が鈍化する。その結果、体内の水分代謝が停滞し、むくみの改善を妨げていたと推察される。

また、下部胸椎は腎臓・副腎と深い関連を持つ領域である。腎臓は体内の水分・電解質バランスを調整し、副腎は血管トーンを維持するホルモン(アドレナリン、コルチゾールなど)を分泌する。これらの臓器を支配する神経系が乱れれば、血圧や水分排泄の調整機能も損なわれる。実際に本症例では、血圧上昇と動悸という自律神経性の二次的症状もみられ、神経系の恒常性が崩れていたことを示唆していた。

アジャストメントにより下部頸椎および下部胸椎のサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、交感神経の機能が正常化した結果、甲状腺・腎臓・副腎といった代謝および循環調整に関わる臓器の活動が整い始めた。これにより全身の血流とリンパ流が回復し、組織に滞っていた余分な水分の排出が促されたと考えられる。

本症例は、手術という一過性の侵襲が引き金となって自律神経系の恒常性が乱れ、結果として代謝と循環が低下したことを示すものであった。むくみを単なる局所の循環障害ではなく、神経・内分泌・循環系が連動する全身的な機能不全として捉えることの重要性を再認識させる症例である。神経の流れを整えることで体の自己調整力が回復し、薬や対症療法では得られなかった根本的な改善へと導かれた臨床例であった。
手術後から続いた原因不明の足のむくみ
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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