学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害

学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害

起立性調節障害の不安を克服し、笑顔で受験に挑むことができました!

10代女性
来院に至った経緯
小学校高学年になってから、頭痛や吐き気、強い疲労感が出るようになり、朝は布団から起き上がれない日が続いた。中学生になってからは授業にも出席できない日が増え、心身ともに不安定な状態が続いた。

特に中学受験に向けて塾や講習が立て込み始めてからは、症状が一気に悪化し、中学3年生になった4月以降は学校に行けないほど動けなくなることもあった。

起き上がろうとすると視界が白くなるようなめまいと動悸に襲われ、強い吐き気で朝食が喉を通らない。頭痛はズキズキ、ドクンドクン、締め付けられるような痛みが日替わりで現れ、横になっていても治まらない日が続いた。

午前中はほとんど動けず、夕方になってようやく少し体が動くが、夜はなかなか眠れず、昼夜逆転のような生活リズムになっていった。

心臓の検査では心室外収縮を指摘されることがあり、脈が二度続けて跳ねるような不快感が頻繁に起こった。脈拍や血圧に大きな異常は見られないと説明されても、「このまま倒れてしまうのではないか」という不安は消えず、外出や通学への恐怖心が強まっていった。

小さい頃から便秘や腹痛を訴えることが多く、夜間に病院へ連れて行ったこともある体質で、今回も食後に吐き気がぶり返すことがあり、食事量が落ちて体力の低下に拍車がかかった。

さらに、髪が抜け落ちる円形脱毛症のような症状も現れ、見た目の変化が大きなショックとなった。友人と会うことや塾へ行くことが苦痛になり、気分の落ち込みや意欲の低下が重なって、家族全体が将来への不安を抱え込む日々が続いた。

病院で様々な検査を受け、「起立性調節障害」と診断されたが、決定的な改善策にはつながらなかった。別のカイロプラクティックや針治療にも数回通ったが、体感として大きな変化は得られず、「このままでは学校生活はおろか、受験そのものも続けられないのではないか」という焦りが募っていった。

過去に階段で転倒して頭やお尻を強く打ったこともあり、その影響もどこかに残っているのではないかという不安もあったため、骨格矯正の整体にも通ったが、本人が「施術が痛い」と強い拒否反応を示したので通わなくなった。

そんなとき、母親が近所の知人から当院のことを紹介された。実は以前にパート先の同僚からも前田先生の評判を耳にしていた。まったく共通点のない2人の知人から紹介されたことが、「この先生だったら信用できるのかもしれない。」と後押しとなって、紹介という形で当院へ来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始したが、ケア当初は動くことができずに当日来院できない日もあった。

4週目(3回目のアジャストメント)には、朝の強い吐き気が少し軽くなり、起床後に短時間であれば椅子に座れる日が出てきた。頭痛の強さも以前より和らぎ、午前中のうちに一度は顔を洗って着替えられるようになった。

9週目(8回目のアジャストメント)には、夜中に何度も目が覚めていた状態が改善し、まとまった睡眠を取れる日が増えた。睡眠が安定したことで朝の倦怠感も軽くなり、昼間の活動時間が少しずつ延び始めた。

14週目(13回目のアジャストメント)には、学校の授業に部分的に参加できるようになった。頭痛やめまいの頻度が減り、外出への不安感も和らいだ。友人と短時間会話できる余裕が出てきて、表情にも明るさが戻ってきた。

20週目(19回目のアジャストメント)には、頭痛と吐き気はほとんど見られず、受験勉強にも集中できるようになった。夜の動悸や不整脈のような症状も落ち着き、睡眠・学習・生活リズムが安定してきた。家族からも「以前の元気な様子に戻りつつある」と喜ばれるほどの回復を示した。

現在は、受験も無事に終えて高校に進学することができた。ほとんどの症状が落ち着いているが、母親の「二度と同じような症状に苦しんでほしくない。」という強い思いから、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の起立性調節障害は、自律神経の乱れが原因であったと考えられる。

起立性調節障害では、立ち上がった際に必要な血圧や心拍の調整がうまく働かず、脳血流が低下することで、めまい・立ちくらみ・頭痛・倦怠感などが出現すると報告されている。特に思春期の小児に多く見られる背景には、自律神経系の未熟さとストレスによる調節機能の破綻があるとされる。

検査では、骨盤部と上部頸椎という副交感神経支配の領域に顕著な反応が確認された。副交感神経の働きが抑制されると交感神経が過剰に働いてしまい、心拍数の上昇や血管収縮が強まり、動悸や不整脈のような症状を引き起こしてしまう場合がある。

実際に今回のケースでは心室外収縮が指摘されており、これは迷走神経の機能低下とも関連している可能性が高く、検査で異常があった上部頸椎はまさに迷走神経と密接な関係がある。

また、自律神経失調に伴う血流障害は、脳の疼痛制御に影響を与え、慢性的な頭痛や吐き気を助長することが知られている。さらに、交感神経の過剰な緊張は、睡眠・ホルモンバランス・免疫機能にも悪影響を及ぼしてしまう。

睡眠障害や気分の落ち込み、円形脱毛症が併発していたことは、交感神経の過剰状態が慢性化していた証拠といえる。加えて、高校受験という強いプレッシャーはさらなる精神的ストレスとなり、交感神経過剰な状態を助長させてしまい、自律神経の乱れが本格化してしまった可能性も否定できない。

今回のケースでは、体が偏った神経系に負担が掛かっている状態から、受験勉強による生活リズムの乱れ、精神的な緊張や不安が重なっていたことで、さらなら自律神経の乱れを引き起こしていたと考えられる。

自律神経系は脳と体をつなぐ「情報伝達の回路」であり、心理的ストレスも神経系を通して身体症状へと波及する。つまり「心」と「体」の問題を切り分けるのではなく、神経系全体の働きをどう整えるかが重要な視点となる。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、骨盤部と上部頸椎の機能が回復すると、副交感神経と交感神経のバランスが整い、自律神経系全体の調和が取り戻された。

その結果として、患者自身の自然治癒力が100%機能したことで、頭痛・吐き気・動悸・不眠といった多彩な症状が改善に向かい、学習や日常生活を再び営める状態にまで回復した。

この症例は、起立性調節障害の改善において「症状を抑える対症療法」にとどまるのではなく、自律神経系全体の働きを根本から整えることが不可欠であることを改めて示している。

特に成長期の子どもにとって、自律神経の働きが正常化することは、心身の発達や学習への意欲回復に直結する。

症状に囚われるのではなく、神経の流れを整え、体が本来持つリズムを取り戻すことこそが、根本的な改善に導く鍵であることを明確に示した症例であった。
学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害
学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害 学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害 学校にも行けず、受験すら諦めかけた起立性調節障害

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

症例一覧へ戻る
pagetop