大好きなヨガを楽しめなくなった「呼吸が浅い」悩み

大好きなヨガを楽しめなくなった「呼吸が浅い」悩み

呼吸の浅さが改善され、ヨガの指導も自分の時間も心から楽しめるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
ヨガのインストラクターとして毎日レッスンを担当し、自分自身もヨガが大好きであった。深い呼吸を通して心と体が整う感覚こそがヨガの醍醐味であったが、数年前からその大切な呼吸が思うようにできず、「呼吸が浅い」と感じる時間が増えていった。

インストラクターという立場でありながら、自分の呼吸が浅いままでは生徒に正しく伝えられていないのではないかという葛藤が募っていった。レッスンではポーズを取りながら説明を続ける必要があり、呼吸が乱れるのは自然なことと理解していた。

以前は仕事終わりに一人でヨガをすると自然と呼吸が深まり、心身がリセットされていた。ところが、担当のクラス数が増え、忙しさが増すにつれて、一人でヨガをしても「呼吸が浅い」感覚が抜けなくなった。

ある日、指導中に声が途切れそうになり、生徒の前で息が乱れたときには大きな不安に襲われ、「このままではインストラクターを続けられないかもしれない」と強い焦りを感じるようになった。

不安を抱え病院を受診したが、医師からは「異常はありません。ストレスや疲労でしょう」と言われただけで、根本的な改善には至らなかった。知人から鍼灸院を紹介され、通ってみたものの「呼吸が浅い」という感覚は変わらなかった。

諦めきれず自分でも調べて整体院に通ったが、施術を受けても一時的に楽になる程度で、深い呼吸を取り戻すことはできなかった。「結局どこへ行っても呼吸は浅いままなのだろうか」と落胆しつつも、どうしてもこの問題を放置することはできないと感じ、さらに改善方法を探し続けた。

「自律神経 呼吸」で調べると当院のホームページに行きついた。そこには、自分と同じように「呼吸が浅い」と悩んでいた人の症例が詳しく掲載されており、自分の状況と重なる部分が多かった。これまでの経験から簡単に期待はできないと思いながらも、「ここなら根本から呼吸を変えられるかもしれない」と希望を感じ、最後の望みを託して当院に来院された。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜に強い浮腫感

  • 02

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    脊柱起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また正中仙骨稜と第一頸椎左横突起に強い浮腫が確認され、脊柱起立筋は全体的に過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、仙骨の前傾が強く過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階もそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

椎間板の段階では全体的にそれほど慢性的なところは確認されなかったが、骨盤の左右差がそれほどないにも関わらず正中仙骨稜に異常なほどの浮腫があった。また、ヨガのインストラクターにしては脊柱起立筋が全体的に過緊張を起こしていたこともあり、初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、呼吸が浅い感覚そのものに大きな変化はなかったものの、仕事終わりの疲労感が軽減され、夜の睡眠が深まりやすくなったと感じるようになった。以前は寝ても疲れが取れず翌朝も呼吸が浅いまま一日を始めることが多かったが、徐々に体の回復が実感できるようになってきた。

3週目(3回目のアジャストメント)には、日常生活の中で「呼吸が浅い」と感じる時間が少しずつ減ってきた。ヨガの指導中に息が乱れて声が途切れることは相変わらずあったが、以前よりも持続力が出てきて、レッスン後に感じていた胸の詰まり感が軽くなった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、「呼吸が浅い」と意識することが大幅に減った。これまでは深呼吸を意識しても胸の奥に届かない感覚があったが、この頃から自然と呼吸が深まりやすくなり、レッスン中でも呼吸に余裕が生まれるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

16週目(11回目のアジャストメント)には、呼吸が浅いと感じることはほとんどなくなり、仕事でもプライベートでも快適にヨガを楽しめるようになった。特に自然の中でのヨガでは、かつて味わっていた胸いっぱいの解放感が戻り、本人も「やっと本来の呼吸ができるようになった」と実感していた。

現在は、呼吸が浅い問題は解消されたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の呼吸が浅い問題は、自律神経のバランスの乱れが根本的な要因であったと考えられる。呼吸は横隔膜や肋間筋といった呼吸筋の働きだけでなく、自律神経系の調整によって支えられている。

交感神経が過剰に優位な状態になると、胸郭や横隔膜の可動性は制限され、呼吸は自然と浅くなる。深呼吸をしようとしても胸の奥まで空気が届かず、「呼吸が浅い」という感覚にとらわれるのは、このような神経系のアンバランスに起因していたと考えられる。

検査では、骨盤部と上部頸椎という副交感神経支配の領域に強い反応が確認された。副交感神経が適切に働かなければ、交感神経のブレーキ役が効かず、全身が持続的な緊張状態に傾く。その影響は呼吸筋だけでなく全身に及び、特に胸郭の柔軟性を奪うことで呼吸の浅さを助長していたと解釈できる。

実際に正中仙骨稜には異常な浮腫がみられ、それに伴って脊柱起立筋が全体的に過緊張を起こしていた。交感神経が過剰に優位となると全身の筋緊張が高まるため、骨盤から脊柱にかけての支持筋群も持続的な緊張状態に置かれやすい。

このような筋緊張の背景があったからこそ、本人がヨガで意識的に深呼吸を行おうとしても、十分な解放感が得られず、浅い呼吸感覚から抜け出せなかったと考えられる。

骨盤部と上部頸椎のサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、副交感神経の働きが回復し、自律神経のバランスが整った。その結果、全身の過緊張は徐々に解放され、胸郭の可動性や横隔膜の動きが自然に回復した。

カイロプラクティックケアを重ねるごとに「無理に深呼吸を意識しなくても、自然に呼吸が入ってくる」という感覚が戻り、日常生活やヨガの指導中にも安定した呼吸を取り戻すことができた。

今回の症例は、一見するとあいまいに感じられる「呼吸が浅い」という訴えの背後に、客観的に確認できる浮腫や筋緊張、自律神経の偏りといった要素が複雑に絡み合っていることを示している。

神経の流れを整え、体の情報が正しく脳に届くようになれば、呼吸という生命活動の基盤は自然に改善される。その過程を臨床的に明らかにした、極めて示唆に富む症例であった。
大好きなヨガを楽しめなくなった「呼吸が浅い」悩み
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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