午後になるとこめかみがズキズキ痛む慢性的な頭痛

午後になるとこめかみがズキズキ痛む慢性的な頭痛

頭痛薬に頼らず仕事もプライベートも心から楽しめるようになりました!

30代女性
来院に至った経緯
30代になった頃から、仕事の忙しさとともに体の疲れを感じるようになった。毎日長時間パソコンに向かい、細かな数字の確認やメールの対応が続く。気づけば肩や首が常にこわばっており、午後になると頭がズキズキと痛み出すようになった。

最初は「疲れているだけだろう」と思っていたが、頭痛の頻度は次第に増え、いつしか毎日のように起こるようになっていった。特に午後になると、こめかみのあたりがズキズキと痛み、仕事に集中できなくなった。

痛みがひどい日は、パソコンの画面を見るだけで目の奥が重くなり、吐き気を感じることもあった。市販の頭痛薬を飲むと一時的に落ち着くものの、効果は長く続かず、数時間後には再び痛みに襲われた。気づけば薬を手放せなくなっていた。

「このままでは仕事に支障が出る」と思い、頭痛外来を受診した。MRI検査では「脳や血管に異常はない」と言われ、痛み止めとトリプタン系の薬を処方された。確かに薬を飲めばその日の頭痛は落ち着いたが、副作用の眠気や倦怠感が強く、体調が悪い日には立ちくらみが出て仕事が手につかなくなった。

頭痛が治まっても副作用がこんなに強くては意味がないと思い、薬に頼る生活を続けることに不安を感じ、服用をやめた。しかし、薬を飲まなければ、翌日の午後になれば頭痛が再び襲ってきた。

少しでも自然な方法で良くなればと考え、知人の紹介で鍼灸院に通うようになった。週に1回のペースで3か月ほど通ったが、施術後は一時的に頭が軽くなっても、翌日の午後にはまた同じようにこめかみがズキズキと痛み出した。次第に「この頭痛はもう治らないのかもしれない」と感じるようになっていった。

仕事のプレッシャーが強い時期には痛みが悪化し、会議中に頭を押さえながら発言することもあった。休日も頭痛を恐れて出かけるのを控えるようになり、気づけば「頭痛を中心に生活している」状態だった。

そんなある日、ネットで「薬を使わずに頭痛を改善したい」と検索していると、当院のホームページにたどり着いた。これまでの治療はどれも“頭痛を抑える”ことばかりだったが、「根本原因、自然治癒力」という言葉が妙に心を惹かれた。ここなら頭痛薬に頼らずに改善できるかもしれないという思いで、当院に来院された。


【神奈川県茅ケ崎市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中D3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は仕事で残業も多いとのことで、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、午後になると出ていたこめかみのズキズキした痛みが少し軽くなった。夕方まで仕事をしても頭や目の奥が重くならず、「いつもより一日が楽に終えられた」と感じるようになった。

5週目(4回目のアジャストメント)には、頭痛の頻度が明らかに減少し、薬を飲まずに過ごせる日が出てきた。「午後になると必ず痛くなっていたのに、今日は大丈夫だった」と嬉しそうに話していた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(7回目のアジャストメント)には、こめかみのズキズキとした痛みはほとんど感じられなくなり、「頭がスッキリして一日が短く感じる」と表現していた。頭痛を気にせず仕事に集中できるようになり、夕方の疲労感も減ってきた。

19週目(11回目のアジャストメント)には、午後に感じていた頭痛や頭の重さは完全に消失し、「薬を持ち歩くこともなくなった」と笑顔で話していた。休日に外出しても頭痛が起きることはなく、体調の波が少なくなったことで気持ちにも余裕が生まれたという。

現在は、頭痛の症状が落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスのため、定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の頭痛は、自律神経の乱れが原因であったと考えられる。

午後になるとこめかみがズキズキと痛み出すという特徴は、日中のストレスや姿勢負荷により交感神経が過剰に働き、脳血流が低下している状態を示している。

人間の身体は、長時間のデスクワークや精神的緊張によって神経系が常に興奮状態となると、脳が末梢からの情報を「危険信号」として受け取り、交感神経を優位にすることで体を防御しようとする。

これにより血管が収縮し、こめかみや頭部への血流が一時的に制限される。その結果、脳表や側頭部の血流バランスが乱れ、拍動性の頭痛として現れる。

神経系が緊張状態にあると、筋肉や血管のトーンも上昇し、わずかな刺激でも過敏に反応するようになる。本来であれば痛みとして認識しない程度の刺激でも、脳が「危険」と判断して痛みとして感じてしまう。

このように、神経が常に興奮している状態では、わずかな姿勢変化やストレスでも頭痛が再発しやすくなる。薬を用いて一時的に血管を拡張しても、神経の興奮が鎮まらない限り、再び交感神経が過剰に働き、痛みを繰り返すという悪循環を生む。

自律神経の中枢は脳幹に存在し、そこから脊髄を介して全身の臓器や血管をコントロールしている。この中枢は姿勢や呼吸、眼球運動などと密接に連動しており、わずかな神経情報の乱れでも全身のバランスに影響を及ぼす。特に、頸部や骨盤といった姿勢制御に関与する領域は、神経反射を通じて自律神経の安定に深く関わっている。

カイロプラクティックの目的は、構造そのものを矯正することではなく、神経の情報伝達を正確に回復させることである。神経が正しいフィードバックを脳に送れるようになると、脳は「これ以上防御する必要はない」と判断し、過剰に興奮していた交感神経活動を抑制する。これによって、筋肉や血管の緊張が自然に緩み、血流と代謝が改善する。

さらに、自律神経の安定化はホルモンや呼吸のリズムにも影響を及ぼす。神経が整うことで呼吸が深くなり、酸素供給量が増え、脳の代謝が正常化する。血流が安定することで、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌バランスも改善され、頭痛だけでなく、集中力や睡眠の質の向上にもつながっていく。

今回の症例では、神経系の働きが整うことで、午後に限って現れていた頭痛が自然に消失し、日中を通してエネルギーの安定した状態を保てるようになった。これは、身体が再び恒常性(ホメオスタシス)を取り戻し、外的ストレスに過剰反応しなくなった証拠である。

痛みを“抑える”のではなく、神経が本来の働きを“取り戻す”ことで、身体が自ら安定を維持できるようになった今回の経過は、まさにカイロプラクティックの根本理念を体現するものであった。

サブラクセーション(根本原因)を取り除き、脳・神経・筋・循環の秩序が再び統合された結果、薬に頼らずに頭痛が消失していったことは、神経生理学的にも極めて理にかなっている。外的な刺激や薬に依存することなく、神経が本来の働きを取り戻すことで身体全体の調和が回復した極めて象徴的な症例であった。
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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