前かがみになると走る腰の痛み―靴下を履く動作も困難だった腰痛

前かがみになると走る腰の痛み―靴下を履く動作も困難だった腰痛

腰部の強い痛み

60代男性
来院に至った経緯
来院の約1週間前から腰の痛みが急激に悪化し、特に前かがみになる動作で鋭い痛みが出るようになった。椅子に座って靴下を履こうとするだけでも腰に電気が走るような痛みが生じ、日常生活にも大きな支障が出ていた。

その約1か月前にはストレッチ中に右膝を痛めており、もともと右膝には慢性的な違和感があった。趣味である登山やサップの後にも膝の痛みを感じることがあり、膝を負傷してからは無意識のうちに右脚をかばう生活が続いていた。

また、腰痛自体は30代頃から慢性的に存在していた。介護職として働いていた経験があり、前屈や持ち上げ動作を日常的に繰り返していたため、これまでにもぎっくり腰を何度か発症していた既往がある。

今回の腰痛が出現してからは朝起き上がる際に右脚が固まるような感覚があり、歩行を続けると鼠径部に痛みが現れるようになった。そのため歩くことに不安を感じるようになり、移動は自転車が中心となった。これまで週3回行っていたサップも中止せざるを得ず、活動量は大きく低下していた。

さらに、新しい職場での仕事開始を控えていたこともあり、「この状態で働けるのか」という不安も強くなっていた。そうした中で塩川満章D.C.のYouTubeを視聴し、自宅から通院可能な当院を知り来院された。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    腰部周囲の筋緊張の亢進と熱感

  • 02

    右仙腸関節に明確な可動域制限

  • 03

    左後頭部に顕著な浮腫

経過と内容
初診時の状態では、体表温度検査では仙骨部と上部頚椎で左右差が確認され、仙骨部および左後頭部には明らかな浮腫が認められた。

レントゲン評価では椎間板の状態をD1〜D6の6段階で評価するが、本症例では腰椎および頚椎ともに慢性的なD6レベルが確認された。また頚椎の前弯カーブは失われ、いわゆるストレートネックの状態となっていた。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD6レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週2回のケアから開始した。

2週目(4回目のアジャストメント)には、腰の痛みは自覚的に軽減し、日常生活動作の負担もやや減少した。ただし前屈時の痛みはまだ残っており動作には注意が必要な状態であった。検査では腰部の熱感が減少し、脊柱起立筋の緊張にも改善がみられた。

4週目(7回目のアジャストメント)には、朝起床時に感じていた右脚の固まりが徐々に軽減。歩行時に出現していた鼠径部の痛みも出るまでの時間が延び、歩くことへの不安も少しずつ減少していった。活動量もわずかに増加した。

5週目(8回目のアジャストメント)には、靴下を履く際に感じていた鋭い腰痛は大きく軽減。この時期に試験的に登山を再開したが、腰痛の再発は認められなかった。触診でも仙骨部の浮腫は明らかに減少していた。

6週目(10回目のアジャストメント)には、歩行に対する不安はほぼ消失し、施術後には1時間程度の散歩が可能となった。朝の右脚の固まりも消失し、起床時の動作はスムーズに行えるようになった。
日常生活で腰痛を感じることはほぼなくなり、長時間歩行や階段昇降も問題なく行えるようになり、身体機能の回復に伴い、仕事や将来に対する不安も軽減し睡眠の質の改善も自覚されるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の腰の痛みは、腰椎の椎間板に慢性的な変性(D6レベル)が確認されたが、これ自体が直接的な痛みの原因であった可能性は低いと考えられる。

むしろ重要だったのは、骨盤部のバランスの乱れによって神経機能に負担がかかっていた点である。

骨盤の左右バランスが崩れると下肢への荷重が偏りやすくなる。今回の症例ではその影響が右膝へ集中し、慢性的な膝の負担や今回の膝の負傷につながった可能性が高い。

さらに膝をかばう生活が続いたことで骨盤や股関節への負担が増加し、結果として右仙腸関節へのストレスが蓄積していったと考えられる。

このような状態が続くと、骨盤周囲の固有受容器からの神経入力が異常となり、身体は防御反応として筋緊張を高める。腰部の筋肉が過剰に緊張することで可動域が制限され血流低下や組織の代謝低下が起こり、慢性的な椎間板にさらに負担が加わることになる。

つまり本症例では、椎間板の変性そのものではなく、骨盤のバランス異常によって腰部へ過剰なストレスが加わり続けたことが腰痛の本質的な原因であったと考えられる。

アジャストメントによってサブラクセーションが改善されると骨盤からの神経入力が正常化し、防御的な筋緊張も徐々に緩和していった。その結果、血流や組織環境が改善し、痛みの軽減とともに動作機能の回復が段階的にみられた。

また登山やサップといった活動を再開しても再発がみられなかったことから、単なる痛みの軽減ではなく、骨盤を中心とした運動連鎖の機能回復が得られたと考えられる。

本症例は、慢性的な椎間板変性が存在していてもそれだけが痛みの原因とは限らず、骨盤バランスや神経機能といった身体全体の調和が重要であることを示す一例である。そして根本原因へアプローチすることで、身体は本来の回復力を取り戻し、年齢に関わらず機能改善が可能であることを示唆している。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、腰の症状の改善に繋がったと考えられる。神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
前かがみになると走る腰の痛み―靴下を履く動作も困難だった腰痛
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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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