便秘と腰痛で日常が苦痛に - 自律神経の調整で再び動ける身体へ

便秘と腰痛で日常が苦痛に - 自律神経の調整で再び動ける身体へ

便秘と腰痛が悪循環… 1週間出ない苦しみが、施術でスムーズな排便と快適な身体へ

40代男性
来院に至った経緯
社会人になってから、長時間のデスクワークを続ける日々が続き、毎日8時間以上座りっぱなしの生活を送っていた。その影響で、社会人になってすぐに腰の張りを感じるようになり、身体のケアのためにマッサージや鍼灸院に通い始めた。施術を受けると腰が軽くなったように感じ、15年間にわたり定期的にメンテナンスとして利用していた。

しかし、3年前のある日、家族とビーチバレーをしている最中に、これまで感じたことのない腰の重だるさを覚えた。最初は「筋肉痛かな?」と思ったが、違和感が強かったため整形外科を受診。診断の結果、「軽度のヘルニア」と言われた。手術は避けたかったため、リハビリ施設で腰の牽引を受けることにしたが、特に改善は見られなかった。

その頃から、仕事中に椅子から立ち上がる際、左脚に電気が走るような感覚が現れ始めた。特に車の運転後に降りる際には、毎回のように痛みや痺れが強く出るため、恐る恐る車を降りるようになった。

腰の痛みが徐々に悪化していることを感じていたため、これまで通っていたマッサージや鍼灸院に加え、腰痛専門の整体院にも通うようになった。しかし、どこに通っても症状は改善せず、むしろ悪化しているように感じた。特に寝起きの痛みが強く、朝は熱いシャワーを浴びなければ動けない状態が続いていた。

さらに、ベルトを締めるのさえ苦痛に感じるほど、ベルトライン周辺に強い痛みが出るようになり、左脚の痺れも悪化。整体院への通院をやめ、再びマッサージや鍼治療に頼るようになったが、施術を受けた日は楽になるものの、翌朝には痛みがぶり返してしまう状態が続いた。

1年ほど前からは、寝起きに頭痛を感じるようになった。これまでも腰痛がひどく、朝の動き出しが辛かったが、そこに頭痛が加わったことでさらに生活の質が低下。痛み止めを服用するようになったが、それ以降、便秘が気になるようになった。

もともと、子どもの頃からお腹の調子が悪くなった記憶はなかったが、気づけば2〜3日排便がない状態が続き、次第に便通が極端に悪くなった。便意を感じても、排便時にお腹に力を入れると腰に痛みが走り、何もしなければ1週間以上排便がないという状態が続くようになった。便秘がひどくなると気持ち悪さが増し、仕事に集中できなくなっていた。

腰の痛みは社会人になってから徐々に悪化している自覚があったが、寝起きの頭痛や便秘は今まで経験がなく、突然現れた症状だったため、薬以外にどのように対処すればいいのか分からなかった。

特に頭痛は昼ごろには自然と治まるため仕事に支障はなかったが、便秘はかなり辛く、仕事中もお腹の張りが気になり、集中力を欠いてしまうほどだった。どうすればよいのか分からずにいたが、歩くことで腰の痛みが少し和らぎ、便通も若干改善するように感じたため、「運動不足が原因かもしれない」と考えるようになった。

そんなとき、職場の同僚から「便秘が辛いならカイロプラクティックに行ってみたら?」と勧められた。最初は「カイロプラクティックで便秘?」と疑問に思ったが、紹介されたカイロプラクティック院のホームページを見てその仕組みを理解。これなら便秘だけでなく、長年悩まされてきた腰痛も改善するかもしれないと期待し、当院に来院することを決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    腰部起立筋の過緊張

  • 02

    腰椎5番の強い浮腫感

  • 03

    隆椎周辺の強い浮腫感

経過と内容
初診時の状態では、腰椎5番には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎と下部腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺と腰椎5番に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頚椎全体は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板はD3レベルと慢性的な段階が確認された。首の椎間板の段階も慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、朝起きた際の腰痛が軽減し、左臀部から太もも裏にかけて感じていた痺れが和らいだ。さらに、左脚全体に筋肉痛のような感覚を覚える日が出てきた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、寝起きの腰痛が完全に解消し、左脚の痺れも消失。この時点で、施術のペースを2週間に1回へと調整した。

11週目(8回目のアジャストメント)には、長時間座った後に椅子から立ち上がる際の腰痛がほぼ気にならなくなり、歩きすぎた際に出ていた腰の痛みも大幅に軽減。また、以前は毎朝のように感じていた頭痛が出なくなり、患者自身もそのことを意識しなくなるほど改善が見られた。さらに、便通も安定し、1週間排便がないという状態はなくなり、2~3日に1回はスムーズに出るようになった。

31週目(14回目のアジャストメント)には、便通が1日1回のペースで整うようになり、腰の違和感も大幅に軽減。ランニングをしても腰痛を感じることなく、アクティブな活動が可能な状態へと回復した。この頃には施術のペースを3週間に1回へと拡大し、症状の安定が見られた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の便秘の主な原因は、消化器系を支配する交感神経領域にサブラクセーション(神経機能の異常)が生じていたことにあると考えられる。

消化器の正常な働きには、肝臓から分泌される胆汁、膵臓から分泌される膵液、小腸から分泌される腸液などが関与している。これらは体内で生成される「天然の下剤」のような働きをするが、それを制御する交感神経に異常が生じると、分泌量が低下し、腸の蠕動運動が乱れることで便秘を引き起こす可能性がある。

また、腸の蠕動運動は本来、副交感神経が優位なときに活発に働く。しかし、副交感神経の働きが過剰になると、蠕動運動が過剰に活発になり、大腸の収縮が強くなりすぎて便の通り道が細くなることがある。この場合、便の移動がスムーズに行われず、大腸内に便が長時間留まることで過剰に水分が吸収され、便秘が悪化する。このような自律神経の乱れが、今回の便秘の主因であった可能性が高い。

一方で、寝起きの頭痛については、体内に蓄積した毒素の影響が考えられる。便秘による体内環境の悪化が原因の一つであった可能性は高いが、もう一つの要因として考えられるのが甲状腺の機能低下である。甲状腺は体の代謝を調整する重要な器官であり、甲状腺に関連する神経も交感神経の影響を受ける。

睡眠中は代謝が低下するが、甲状腺の機能が十分に働かないと、さらに代謝が低下し、体内の老廃物の処理が滞る。これにより、体内に毒素が蓄積し、寝起きの頭痛という形でシグナルが現れていた可能性がある。

また、患者が訴えていた「長時間座るのが辛い」「椅子から立ち上がる際に痛みがある」「歩くと楽になるが、歩きすぎると痛くなる」「横になると楽になる」「寝起きの腰のこわばりが強い」「左臀部から太もも裏にかけての痺れ」といった症状は、下部腰椎の機能障害が関与している典型的なパターンである。

検査では下部頸椎、胸椎、腰椎といった交感神経支配の領域に強い反応が確認された。これらの領域のサブラクセーションが、便秘、寝起きの頭痛、腰痛、下肢の痺れといった症状を引き起こしていたと考えられる。

今回の症例のように、腰痛や下肢の痺れといった筋骨格系の症状だけでなく、自律神経の乱れに関連する症状が同時に発症している場合、根本的な原因を特定するための適切な検査が不可欠である。そして、特定された神経系に的確にアプローチすることで、症状の根本的な改善が可能となる。あらためて神経の流れを整え、身体の情報を脳に適切に伝達することの重要性が再確認できた症例である。
便秘と腰痛で日常が苦痛に - 自律神経の調整で再び動ける身体へ
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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