仕事のストレスで慢性化した肩こりと首の張り

仕事のストレスで慢性化した肩こりと首の張り

緊張し続けていた体がゆるみ、肩こりが楽になりました!

30代女性
来院に至った経緯
Webデザイナーとして勤務しており、1日10時間以上パソコンの前で作業する生活が続いていた。30歳でプロジェクトリーダーに抜擢されてからは、責任の重さと納期へのプレッシャーが重なり、仕事量はさらに増えた。ちょうどその頃、大手クライアントから新規アプリ開発の依頼を受け、チーム全体が緊張感に包まれる中、連日深夜まで作業を続けるようになった。

長時間のデスクワークに加え、常に気が張った状態が続いたことで、肩から首にかけて強いこりを感じるようになった。最初は「疲れが溜まっているだけ」と思っていたが、次第に肩こりは慢性化し、頭痛や眼精疲労を伴うようになった。肩から後頭部にかけて重く締めつけられるような痛みが出ると、集中力が途切れ、ミスを恐れて何度も同じ作業を見直すようになった。

疲れているはずなのに夜は眠れず、ベッドに入っても神経が高ぶっているのが自分でも分かった。頭の中で翌日のタスクが次々に浮かび、目を閉じても思考が止まらない。朝になると肩や背中の張りが強まり、頭が重く、体が鉛のように感じる日が続いた。

自分なりに改善しようと鍼灸院に通ったが、施術直後は少し楽になるものの、数日後には再び肩こりと頭痛が戻った。デスクワークを再開するとすぐに肩が硬直し、パソコン画面を見るだけで目の奥がズーンと重くなる。肩こりが悪化するにつれ、「このままでは頭痛も不眠も治らないのではないか」と感じ、焦りを覚えるようになった。

そんなとき、同僚から「カイロプラクティックって受けたことある?」と声をかけられた。その同僚は入社時からの同期で、仕事でもプライベートでも信頼している存在だった。「整体と同じじゃないの?」と返すと、「全然違うよ。私はここに通って肩こりが本当に良くなったから」と真剣に勧めてくれた。普段から大げさなことを言うタイプではないため、その言葉が妙に心に残った。

しばらくして、帰宅後にふと鏡を見たとき、両肩の異常に上がっていることに気づいた。首を回すと筋肉が引きつるような感覚があり、頭痛も強くなっていた。

「もうこのまま放っておくのは危ない」と感じ、同僚に紹介された当院を調べてみると、Googleの口コミ評価も高く、同じような肩こりや頭痛で悩んでいた人の体験談が多く掲載されていた。

「ここなら何か違うかもしれない」と感じ、一時的にほぐすのではなく、根本から体を整えたいという思いで当院に来院された。


【神奈川県横浜市西区から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、プロジェクトが多忙で仕事の日は終電近くまで業務をしており、週1回しか休みがないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、肩のこわばりが少し和らぎ、デスクワーク中に感じていた肩の重だるさが軽減した。依然として夕方になると肩が張ってくるものの、「朝起きたときの硬さが少し違う」と本人も変化を実感していた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、肩こりの頻度が減り、頭痛の出現もやや少なくなった。以前のように肩の筋肉が常に張りつめている感覚が減り、首を回す動作もスムーズになった。眠りが浅い状態は続いていたが、「寝入りが早くなった気がする」と語っていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、肩こりの程度が明らかに軽くなり、仕事中も肩を回すことが少なくなった。頭痛の頻度は週に数回から月に1回程度に減少し、眼精疲労による目の奥の痛みも軽くなった。全身の緊張が緩み、呼吸が深くできるようになったことで「気持ちが落ち着く時間が増えた」と話していた。

17週目(11回目のアジャストメント)には、肩こりはほとんど感じなくなり、夜も自然に眠れるようになった。寝つきの悪さや途中覚醒が改善し、朝起きたときの疲労感が大きく減少した。肩こりの再発もほとんどなく、「長時間のデスクワークをしても、体が緊張しにくくなった」と話していた。

現在は、肩こりや頭痛などの症状は落ち着いたが、再発防止と身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の肩こりは、自律神経の乱れが主な原因であったと考えられる。

肩こりには大きく分けて二つのタイプがある。一つは、下部頸椎や上部胸椎など首の土台部分に構造的な負担がかかり、頭部の重さを支えるために首や肩の筋肉が防御的に硬直するタイプ。もう一つは、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に働くことで全身が過緊張を起こすタイプである。

本症例は後者に該当する。検査では上部頸椎と骨盤部という、いずれも副交感神経の中枢に関与する領域に強い反応がみられた。これにより、副交感神経の働きが抑制され、交感神経が優位な状態が持続していたと考えられる。交感神経が過剰に働くと、筋肉内の血管が収縮し、酸素や栄養の供給が低下する。その結果、筋線維内に乳酸などの代謝産物が蓄積し、筋肉が硬直したまま弛緩できなくなる。これが肩こりを慢性化させる主な要因である。

加えて、精神的緊張による脳の興奮も肩こりを助長していたと推察される。過度な集中状態が続くと、視床下部を介して交感神経が刺激され、末梢血管の収縮がさらに強まる。こうした状態では、体は常に“戦闘モード”にあり、仕事を終えても神経が休まらない。そのため夜になってもリラックスできず、瞳孔が開いたままのような感覚や入眠困難が生じていたと考えられる。

こうした神経的過緊張が続くと、脳への血流も相対的に減少し、痛覚閾値が低下する。わずかな刺激でも痛みとして知覚されやすくなるため、肩こりの自覚症状が強く、頭痛や眼精疲労が二次的に出現する。さらに、頸部の血流低下が脳幹部の網様体に影響を及ぼし、睡眠を誘発する神経伝達経路が抑制され、不眠傾向を悪化させていた可能性も高い。

アジャストメントによって上部頸椎と骨盤部のサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、副交感神経の活動が回復し、交感神経とのバランスが整い始めた。神経機能の回復に伴い、末梢血管が拡張して筋肉への酸素供給が改善し、乳酸の代謝が促進されたことで、慢性的な筋緊張が次第に緩和された。

この変化により、まず肩のこりと重だるさが軽減し、次第に頭痛や眼精疲労も消失していった。さらに、副交感神経の働きが正常化することで睡眠リズムが整い、就寝時に自然な入眠反応が戻るようになった。身体がリラックスできる時間が増えるとともに、心身の過緊張が解かれ、回復力が安定していった。

肩こりは単なる筋肉の硬さではなく、神経と循環、そして精神的ストレスが密接に関わる全身的な問題である。本症例は、構造的アプローチだけでは改善しなかった慢性的な肩こりに対し、自律神経の働きを整えることで全身の恒常性を取り戻し、自然治癒力が再び機能し始めた好例であった。
仕事のストレスで慢性化した肩こりと首の張り
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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