人前で止まらない手汗に悩み続けた多汗症

人前で止まらない手汗に悩み続けた多汗症

汗を気にせず過ごせるようになり、毎日が楽になりました!

20代女性
来院に至った経緯
学生時代から汗をかきやすい体質だと感じていたが、20代になってからは場面を選ばず大量に汗が出るようになり、日常生活に深刻な影響が出ていた。

特に手のひらと脇の汗が顕著で、誰かと手をつなぐことや、大切な場面で握手をすることさえためらわれた。服に汗じみができていないか常に気になり、人と向き合うのが怖くなる瞬間さえあった。

大学時代のアルバイトでも悩まされることが多かった。レジ打ちのときに商品やお札が手汗で湿ってしまい、お客様に不思議そうな顔をされたこともあった。接客中に手汗で商品を落としたときには心底恥ずかしくなり、「普通に働くだけなのに、どうして自分はこんなに苦しいのだろう」と涙が出そうになった。

社会人になってからはその悩みがさらに大きくなった。会議で資料を配ると紙が湿ってしまい、同僚から視線を向けられるのが辛かった。接客中も額や手の汗が気になって相手に集中できず、「また汗をかいたらどうしよう」と思うだけで余計に汗が噴き出してしまう悪循環に陥った。次第に自分の存在そのものに自信を失いかけていた。

皮膚科を受診すると「原発性多汗症」と診断され、内服薬や塗り薬を処方された。しかし薬を飲むと強い口渇や動悸が出てしまい、仕事中に不安になることが多く、長期間続けることはできなかった。ボトックス注射や手術といった選択肢も提示されたが、費用や副作用、そして「本当にそこまでして大丈夫なのか」という不安から踏み切れなかった。

それでも「なんとか改善したい」という思いで、漢方薬やサプリメント、半身浴やヨガ、食事改善などを試みた。しかしどれも決定的な効果はなく、周囲からは「気にしすぎなんじゃない?」と軽く言われることもあり、孤独感と自己嫌悪が募っていった。

そんな娘を心配した母親が、インターネットで当院のホームページを見つけてくれた。そこには「発汗は自律神経によってコントロールされている」という説明や、同じように多汗症で悩んでいた人の症例が掲載されていた。

母親から「ここなら今までと違う可能性があるんじゃない?」と勧められ、本人にとっては「カイロプラクティックという言葉すら初めて聞いた」というほど未知の世界だったが、母親の強い後押しもあって当院へ来院された。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中2段階のD2レベルで骨盤の左右差や過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始したが、ケア当初は当院の患者着が汗でにじんでしまうような状態であった。

4週目(4回目のアジャストメント)には、依然として手からは多量の発汗は続いていたが、この頃には当院の患者着が汗でにじんでしまうというほどではなくなっていた。本人は「なんか体が少し楽な気がする」とわずかな希望を口にした。

8週目(8回目のアジャストメント)には、脇の汗の量が以前より減ったと本人が自覚できるような日が出てきた。資料を渡す際に紙が濡れてしまうことはまだあったものの、毎回ではなくなり、本人にとっては前進と感じられる変化であった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

16週目(12回目のアジャストメント)には、日常生活で手のひらが常に湿っているような状態は減り、外出時や会話の最中でも汗を強く意識せずに過ごせる時間が増えていた。母親からも「少し落ち着いてきたんじゃない?」と言われ、心理的な負担も和らぎ始めた。

24週目(16回目のアジャストメント)には、過剰な発汗は大幅に軽減し、握手や友人との接触の場面でも気にせず行動できるようになった。患者本人も「やっと普通に生活できる」と大きな安心を得ていた。

現在は、多汗症による発汗の症状がほとんど落ち着いたが、自律神経と身体のメンテナンスのため定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の多汗症は、自律神経の乱れが背景にあり、それが発汗機能を必要以上に亢進させていたと考えられる。

検査では、骨盤部と上部頸椎という副交感神経支配の領域に強い反応が確認された。副交感神経の低下は交感神経の過剰優位を固定化し、発汗に関わる神経伝達物質アセチルコリンの分泌異常を招く。通常であれば、体温調整に必要な範囲で分泌されるアセチルコリンが、過剰に分泌されることで汗腺が常に刺激され、場面を選ばず汗が噴き出す状態へと移行していた。

精神的な緊張や人前に出るといった交感神経が高ぶる場面では、必要以上に発汗が誘発され、悪循環が形成される。患者が「また汗をかいたらどうしよう」と考えるだけで交感神経が反射的に高まり、発汗が増える。この「不安 → 発汗 → さらなる不安」という連鎖こそが、多汗症を慢性化させる大きな要因であったと推測される。

自律神経の乱れは発汗だけでなく、ホルモンバランスや睡眠の質にも影響を与える。今回の患者は日常生活での不安感や自己否定感を強めており、それ自体が交感神経を刺激する要因となっていた。つまり、単なる「汗の問題」ではなく、神経系全体のアンバランスが心身両面に影響を及ぼしていたのである。

カイロプラクティックケアによって上部頸椎と骨盤部の神経機能が整うと、副交感神経の働きが回復し、交感神経の過剰反応が抑えられる。これによりアセチルコリン分泌が生理的範囲に戻り、発汗は徐々に安定化したのだろう。さらに副交感神経が整うことで睡眠や情緒の安定にもつながり、発汗を助長する心理的要因も軽減されていったと考えられる。

この症例は、多汗症が単なる皮膚や汗腺の問題ではなく、自律神経と心理的要因が複雑に絡み合った全身的な問題であることを示している。サブラクセーション(根本原因)に働きかけるカイロプラクティックが、心身を統合的に改善へと導けることを明確に示す症例であった。
人前で止まらない手汗に悩み続けた多汗症
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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