ホットフラッシュによる大量の汗に悩まされた更年期障害

ホットフラッシュによる大量の汗に悩まされた更年期障害

薬でも変わらなかった発汗が落ち着き、穏やかな毎日を取り戻せました!

40代女性
来院に至った経緯
学生時代から体が丈夫で、風邪ひとつほとんど引かない健康体だった。社会人になってからも、仕事・家事・子育てを両立しながら忙しくも充実した日々を送っていた。多少の疲れがあっても一晩眠れば回復しており、「更年期なんてまだ先の話」と思っていた。

ところが40代に入った頃から、徐々に体調に変化が現れ始めた。最初に気づいたのは、特に理由もないのに突然カーッと顔や首が熱くなるような感覚だった。電車に乗っているときや会議中など、場面を選ばずに突然発作のように熱がこみ上げ、顔が真っ赤になる。

冷房の効いた室内にいても、体の内側から熱が湧き上がるような感覚に襲われ、周囲の視線が気になって仕方がなかった。マスクの内側が汗で濡れ、恥ずかしさと焦りで余計に体温が上がっていくように感じた。

夜になると今度は体が熱くなり、寝汗で目が覚めるようになった。シーツが湿るほどの汗をかき、寝直してもすぐにまた目が覚めてしまうようになった。眠れても浅い睡眠が続き、翌朝は体が重く、頭がぼんやりして集中力が続かない。朝の支度の時間ですらやる気が出ず、鏡を見ると顔の血色も悪く、以前の自分らしさが失われていくような気がしていた。

体の変化に戸惑いながらも、最初は「年齢のせいかな」と軽く考えていた。しかし数か月経つ頃には、ホットフラッシュの頻度が1日に何度も起こるようになり、仕事中も汗が止まらず、周囲に気を遣うことが増えた。気づけば自分を責めるような思考が増え、「またみんなの前で汗をかいたらどうしよう」と不安を抱えるようになった。

婦人科で検査を受けたところ、「更年期によるホルモンの変化でしょう」と言われ、ホルモン補充療法を提案された。薬を飲み始めてから一時的に症状は落ち着いたが、数か月後には再びホットフラッシュと寝汗が戻ってきた。薬の量を増やすのにも抵抗があり、「このまま一生付き合っていくしかないのだろうか」と不安を感じるようになった。

その頃から、肩こりや首の張り、倦怠感も強くなり、午後になると体温のコントロールがきかない感覚に襲われた。体の内側が常に熱く、外気温に関係なく手足が冷たく感じることもあった。まるで体のスイッチが壊れたかのように、自分で体調をコントロールできないことに焦りを感じた。

自律神経が乱れているのではないかと思い、漢方薬やサプリメントも試してみたが、決定的な変化は得られなかった。

感情面でも不安定になり、些細なことで涙が出たり、家族にきつく当たってしまったりすることも増えた。体だけでなく心も疲弊していくような感覚に、「このままでは自分が壊れてしまう」と感じる日もあった。

そんなとき、友人から「私もホットフラッシュで悩んでたけど、ここに通って良くなったから行ってみたら」と当院を紹介してもらった。

カイロプラクティックというと骨をボキボキするというイメージしかなかったので最初は半信半疑だった。しかし、これまで病院で薬をもらってもホットフラッシュにはそれほど変化を感じなかったので、できることはやってみようと思い、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の明らかに可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼にスポンジ状の強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は仕事と家事で時間が取れないとのことで、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、夜中に何度も目が覚めていた睡眠の質が少しずつ改善し始めた。寝汗の量が減り、朝起きたときのだるさが軽くなった。日中に突然顔が熱くなる回数もわずかに減り、「少しずつ体が落ち着いてきている気がする」と前向きな変化を感じていた。

8週目(7回目のアジャストメント)には、ホットフラッシュの頻度が1日に数回ほどまで減少した。職場でも急な発汗で焦ることが少なくなり、以前のような強い不安感は薄れていた。夜も深く眠れるようになり、「寝汗で何度も起きなくなったのが嬉しい」と笑顔を見せるようになった。気持ちの浮き沈みも和らぎ、家族との会話にも余裕が出てきたという。

13週目(10回目のアジャストメント)には、体の芯にあったほてりや熱感がさらに軽減し、体温が安定してきた。冷えと熱の繰り返しによる不快感がなくなり、朝の目覚めもスッキリしていた。以前は仕事中に汗を気にして冷たい飲み物を頻繁に取っていたが、最近では体温が自然に調整できている感覚があると話していた。

18週目(13回目のアジャストメント)には、ホットフラッシュや寝汗といった更年期特有の症状はほとんど見られなくなった。体の熱感が取れたことで睡眠が安定し、疲労の回復が早くなった。集中力や気力も戻り、以前のように仕事に前向きに取り組めるようになった。

現在は、ホットフラッシュや寝汗などの症状はほとんど落ち着いたが、体調の波を防ぐために、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
本症例にみられたホットフラッシュは、単なるホルモン量の変動ではなく、体温調節を担う視床下部の機能異常が根底にあったと考えられる。更年期に入るとエストロゲン分泌の低下が起こるが、これは生理的な過程であり、必ずしも全ての女性に更年期障害が生じるわけではない。重要なのは、ホルモン変化を脳がどのように受け取り、神経を通じて全身に伝達しているかという点である。

本症例では、HPO軸(視床下部―下垂体―卵巣系)の情報伝達が乱れ、視床下部が誤った反応を起こしていたと考えられる。卵巣機能の低下によりホルモン量が減少した際、視床下部はその変化を「異常」と誤認し、恒常性を保とうとして交感神経を過剰に刺激する。この過剰反応が体温上昇や発汗中枢を刺激し、ホットフラッシュや寝汗を引き起こす一因となっていたと推察される。

検査では、上部頸椎および仙骨部に強い反応がみられた。これらの部位は、副交感神経の重要な支配領域であり、視床下部から末梢への神経伝達経路とも密接に関連している。副交感神経の働きが低下すると、交感神経の興奮を抑える制御機構が十分に働かず、結果として血管の拡張・収縮リズムや発汗調整に乱れが生じる。そのため、ホットフラッシュや不眠、情緒不安といった自律神経性の症状が増悪していたと考えられる。

また、長期間にわたり交感神経が優位な状態が続くと、末梢循環が低下し、筋肉や内臓の酸素供給も滞る。その影響で肩や首の筋緊張が強まり、体温の調節がさらに難しくなるという悪循環が形成されていた。こうした状態が続けば、心身の恒常性(ホメオスタシス)は著しく損なわれる。

カイロプラクティックケアによって上部頸椎と骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、神経系の伝達機能が正常化すると、視床下部―自律神経系の連携が回復した。結果として交感神経と副交感神経のバランスが整い、体温調節機能が安定化したことで、ホットフラッシュや寝汗は徐々に軽減された。睡眠の質が改善したことは、神経系の安定を裏づける重要な臨床的指標である。

本症例は、更年期症状を「ホルモンの問題」として表面的に捉えるのではなく、その背景にある神経系の不調和に焦点を当てる重要性を示している。神経の働きを整え、脳と身体が再び正しいリズムで情報を共有できるようになることで、人間本来の恒常性回復力が発揮されることを明確に示した症例であった。
ホットフラッシュによる大量の汗に悩まされた更年期障害
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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